年金手帳がR4年4月廃止、代わりに基礎年金番号通知書

2022年3月11日

年金手帳がR4年4月廃止、代わりに基礎年金番号通知書

2022年4月1日から年金手帳の新規発行は停止

 2020年6月5日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布されたことを受けて、2022年4月1日から年金手帳の新規発行は停止となります。そして、年金手帳に代わり基礎年金番号通知書が交付されることになります。

金手帳の新規発行が停止される理由

 年金手帳は、国民年金などの被保険者であることを証明する手帳です。基礎年金番号や国民年金の種別、厚生年金の加入・脱退歴が記載されています。基礎年金番号は、被保険者一人ずつに割り振られたすべての公的年金制度で共通する番号です。
 この基礎年金番号があることによって、年金の加入記録を効率よく管理できます。

 年金手帳は、年金の受給手続きのほか、年金について相談するときや、就職で厚生年金保険に加入するとき、退職で国民年金に加入するときなどに必要になります。なぜ新規発行が停止されるのでしょうか。

 主な理由として次の点が挙げられます。

手帳の形式にこだわる必要がなくなっている

 年金手帳の主な役割は以下の2点です。

  • 保険料納付の領収の証明
  • 基礎年金番号の本人通知

 どちらも重要な役割ですが、手帳を発行しないと果たせないわけではありません。
 なぜなら被保険者情報をすでにシステムで管理しているうえ、個人番号(マイナンバー)を導入しているからです。日本年金機構では、個人番号でさまざまな手続きを行えるようになっています。手帳以外の形式でも同様の役割を果たせるため、新規発行が停止されるのです。

手帳の必要性が低下している

 以前よりも年金手帳を必要とする機会が減っている点も、新規発行停止の理由として挙げられます。行政手続きの簡素化、利便性の向上を図るため、かつては年金手帳の提出を求めていた手続きも基礎年金番号を明らかにする書類で行えるようになっています。このような変化を受けて、新規発行を停止することになったのです。

年金手帳の代わりに基礎年金番号通知書を送付

 2022年4月以降、新たに国民年金の1~3号被保険者になる方には、年金手帳の代わりに基礎年金番号通知書が交付されます。
 基礎年金番号通知書の役割は、被保険者に基礎年金番号を伝えることです。年金手帳よりも、その役割はシンプルといえるでしょう。

 想定されている内容は次のとおりです。

  • 名称を「基礎年金番号通知書」にすること
  • 年金制度の象徴になるシンボリックな色付きの上質紙を使用すること
  • 厚生労働大臣の印影を入れること
  • 共済年金の組合員に送付している「基礎年金番号通知書」と統一を行うこと(共済年金の組合員などに送付している基礎年金番号通知書は廃止)

年金手帳の今後の扱い

 上述の通り、年金手帳の新規発行は停止されます。
 しかし、現在持っている年金手帳を利用できなくなるわけではなく、2022年4月1日以降も、基礎年金番号を確認する書類として使用できます。
 したがって、重要な書類であることは変わらないため、発行されている方はこれまで通り大切に保管しておきたいものです。

紛失などした場合は基礎年金番号通知書を交付

 年金手帳から基礎年金番号通知書へ移行するため、年金手帳の再交付申請は廃止されます。紛失・毀損した場合は、年金手帳に代わって基礎年金番号通知書が交付されます。
 書類の役割は大きく変わりませんが、異なるものが交付されるようになります。

年金手帳から基礎年金番号通知書へ

 2022年4月1日から年金手帳に代わり基礎年金番号通知書が送付されます。年金手帳以外でも同様の役割を果たせる環境が整ったからです。発行済の年金手帳は、今後も基礎年金番号を確認する書類として使用できます。実施される切り替えに向けて、以上の点を押さえておきましょう。

出典元

厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」

 以下は上記「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」からの抜粋文字起こしです。

国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え

見直しの趣旨

  • 国民年金手帳については、従来、(1)保険料納付の領収の証明、(2)基礎年金番号の本人通知という機能を果たしているが、被保険者情報が既にシステムで管理がなされていること及び個人番号の導入によって、手帳という形式で果たす必要性がなくなっている。
  • また、かつては多くの手続において国民年金手帳の添付を求めていたが、現在は、行政手続の簡素化及び利便性向上を推進する観点から、「基礎年金番号を明らかにする書類」で手続を可能としているほか、給与事務で個人番号を確認等している事業者等で、個人番号の記載をして届出をした場合は、基礎年金番号を明らかにする書類の提出は不要としている。
  • こうした環境の変化を踏まえ、事業者の業務の簡素化及び効率化等に資するため、国民年金手帳について、手帳という形式及び役割を見直す。

見直し内容(令和4(2022)年4月施行)

  • 新たに国民年金第1~3号被保険者となった者(20歳到達者、20歳前に厚生年金被保険者となった者等)に対する資格取得のお知らせとして、国民年金手帳の交付から基礎年金番号通知書の送付に切り替える。
  • ※年金手帳から新制度に移行する際の経過措置として、年金手帳の再交付申請は廃止するが、法律施行までに送付された年金手帳については引き続き基礎年金番号を明らかにすることができる書類として利用できることを規定

事務コスト

  • 年金手帳発行153万件、年金手帳再発行74.5万件⇒2.7億円(2016(平成28)年度実績)

新たな「基礎年金番号通知書」のイメージ

  • 年金手帳の代替として年金制度の象徴となるようなシンボリックなもの(色つきの上質紙など)とすること
  • 手元に丁重に保管してもらうため、名称を「基礎年金番号通知書」とし、大臣印の印影を入れること
  • 現在、共済年金加入者に送付している「基礎年金番号通知書」との統一を行うこと

 上記を検討中。(2021年12月末)

参考サイト

厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」

基礎年金番号・年金手帳について

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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