給与計算の割増賃金や欠勤控除等の端数処理

2023年9月28日

給与計算の割増賃金や給与控除など端数処理について

給与計算の端数は賃金の全額払いの原則から外せない

 給与計算における割増賃金や欠勤控除等の円未満の端数処理に頭を悩ませることはないでしょうか。当事務所でも給与計算ソフトを2つ使っているので、その整合に苦慮することがあり、またたまにお客さんからも問い合わせがあるので、ブログに記事をまとめてみました。

 給与計算の端数に関しては、賃金の全額払いの原則があるため、支給の項目においては一律に端数を切り捨てることはできません。

 一方、控除の場合に切り上げをしてしまうと、わずかだとしても本来控除すべき金額を超えて控除することとなってしまうため、ノーワーク・ノーペイの原則に反するため、こちらも注意が必要です。

支給額の端数は切り上げ、控除額の端数は切り捨て

 ただし、以下の方法であれば、常に労働者の不利と言えず、事務の簡略化を目的としたものと認められるため、労働基準法第24条及び第37条違反とはなりません。厚生労働省の昭和63年3月14日基発150号、婦発47号を参照しています。

  • 1ヶ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
  • 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切捨て、それ以上を1円に切り上げること。
  • 1ヶ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切捨て、それ以上を1円に切り上げること。

 一般的には支給額の端数は切り上げ、控除額の端数は切り捨てにしておくことで賃金の全額払いの原則に違反すること無く端数処理をすることができます。

 以下、当該の通達文書をそのまま掲載します。参考になさってください。

賃金計算において、労働時間・賃金額に端数を生じた場合の取扱い(労働基準法第24条関係)

(昭和63年3月14日)(基発150号、婦発47号)

 賃金の計算において生じる労働時間、賃金額の端数の取扱いについては次のように取り扱われたい。

一.遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理

 5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットをするというような処理は、労働の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について、賃金の全額払の原則に反し、違法である。なお、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、法第91条の制限内で行う場合には、全額払の原則には反しないものである。

二.割増賃金計算における端数処理

 次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、法第24条及び第37条違反としては取り扱わない。

  • (一)1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
  • (二)1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
  • (三)1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、(二)と同様に処理すること。

三.1か月の賃金支払額における端数処理

 次の方法は、賃金支払の便宜上の取扱いと認められるから、法第24条違反としては取り扱わない。なお、これらの方法をとる場合には、就業規則の定めに基づき行うよう指導されたい。

  • (一)1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。以下同じ。)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと。
  • (二)1か月の賃金支払額に生じた1000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと。

参考リンク

東京労働局「残業手当等の端数処理はどうしたらよいか」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/tinginnokeisan/q3.html

東京労働局「残業手当等の端数処理はどうしたらよいか」

(問)
 賃金計算のときにいつも思うのですが、残業手当や有給休暇手当を計算すると必ずといっていいほど円未満の端数が出ます。この端数は労働基準法上どの程度まで処理 が認められているのでしょうか。

(答)
 労働基準法上認められている端数処理方法は次のとおりです。

(1)割増賃金の計算

A.1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げる。

B.1か月間における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、Aと同様に処理する。

(2)平均賃金の計算

C.賃金の総額を総暦日数で除した金額の銭未満の端数を切り捨てる。なお、平均賃金を基にして休業手当等を計算する場合は、特約がなければ円未満の端数処理はAと同じ。

(3)1か月の賃金計算

D.1か月の賃金額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した残額)に100円未満の端数が生じた場合は50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げて支払うことが出来る。

E.1か月の賃金額に1,000円未満の端数がある場合は、その端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことが出来る。

 なお、E・Dの取り扱いをする場合は、その旨就業規則に定めることが必要です。

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