年の途中で労働条件変更があった場合の有給休暇権利は?

2024年2月8日

年の途中で労働条件変更があった場合の有給休暇権利は?

年の途中で所定労働時間数の変更があった場合の時間単位年休

 年次有給休暇の質問はとても多いので、「年の途中で所定労働日数の変更(労働条件の変更)があった場合は?」を行政通達を紹介しながら紐解いていきます。

年の途中で所定労働日数を変更する場合

 付与すべき年次有給休暇の日数は、年次有給休暇を取得する権利が発生した日(基準日)の所定労働日数・所定労働時間によって決まります。基準日前に所定労働日数や所定労働時間が変更されていたり、基準日後に所定労働日数や所定労働時間が変更されたりしたとしても、付与される年次有給休暇の日数は変わりません。

所定労働日数の変更 昭和63.3.14基発150号

(照会内容)
 労働基準法第39条第3項の適用を受ける労働者が、年度の途中で所定労働日数が変更された場合、休暇は基準日において発生するので、初めの日数のままと考えるのか、それとも日数の増減に応じ、変更すべきと考えるのか。

(回答)
 見解前段のとおり

 よって所定労働日の変更があった場合、新雇用契約の条件になります。

 例えば、勤務開始時点においては週3日勤務だったパートタイマーが、勤務開始から5か月経過した時点で週4日勤務に変更になりそのまま6か月を経過した場合は、最初の5か月の週3日勤務を基準にした5日ではなく、6か月経過時の週4日勤務を基準にした7日の年次有給休暇を付与すべきこととなります。
 1年勤務した時点で勤務日数が週3日に戻ったとしても、当該のパートタイマーが取得できる年次有給休暇が、7日から5日に減ってしまうということにはなりません。

年の途中で所定労働時間を変更する場合

 年の途中で所定労働時間を変更する場合、時間単位年休として取得できる残りのうち、日単位で残っている部分については、変更後の所定労働時間が1日あたりの時間単位年休の時間数となります。

 日単位に満たず時間単位で残っている部分については、次の例のように所定労働時間の変動に比例して時間数が変更されます。
 この場合、日単位の残日数である3日の日数については変わらず、取得対象時間が変更後の1日の所定労働時間である5時間となります。

 また、時間単位で残っている4時間については、4/8日残っているものと考え、これを変更後の所定労働時間である5時間に比例して変更すると2.5時間となりますが、1時間未満の端数は1時間に切り上げ、3時間となります。

例:1日の所定労働時間が8時間から5時間に変更される場合

  • 変更前
    3日(1日あたりの時間数は8時間)と4時間
  • 変更後
    3日(1日あたりの時間数は5時問)と3時間

労働基準法関係解釈例規 平成21年10月5日 基発1005第1号
時間単位年休(法第39条第4項及び第7項関係)〈年の途中で所定労働時間数の変更があった場合〉

問 年の途中で所定労働時間数の変更があった場合、時間単位年休の時間数はどのように変わるのか。時間単位の端数が残っていた場合はどのようになるのか。

答 時間単位年休として取得できる範囲のうち、1日に満たないため時間単位で保有している部分については、当該労働者の1日の所定労働時間の変動に比例して時間数が変更されることとなる。
 例えば、所定労働時間が8時間から4時間に変更され、年休が3日と3時間残っている場合は、3日と3/8日残っていると考え、以下のとおりとなる。

【変更前】3日(1日当たりの時間数は8時間)と3時間
【変更後】3日(1日当たりの時間数は4時間)と2時間(比例して変更すると1.5時間となるが、1時間未満の端数は切り上げる)

時間単位年休1日の時間数

 時間単位年休の制度は、労使協定を締結することにより、年5日を限度に導入することができます。1日あたりの年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するかについては、労使協定により定める事項となりますが、これは当該労働者の所定労働時間をもとに定めます。

 また、1日あたりの時間単位年休の時間数は、1日の所定労働時間数を下回らないものにしなければならないため、所定労働時間数に1時間に満たない時間数がある場合は、時間単位に切り上げる必要があります。たとえば、1日の所定労働時間が7時聞30分の場合は、1日の時間数は8時間分となります。

 なお、年次有給休暇は日単位で付与されるため、時間単位年休の時間数も1日あたりの時間数を定めなければならず、前述の例において7時間30分の5日分である37時間30分をもとに、時間単位年休を38時間分とする扱いはできません。

 時間単位年休として取得できる年次有給休暇のうち、日単位で残っている1日あたりの時間単位年休の時間数は、変更後の所定労働時間となります。
 また、1日に満たないため時間単位で残っている部分については、所定労働時間の変動に比例して残っている時間が変更されます。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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