「健康情報取扱規程」2019年4月策定義務化対応へ雛形完成

2020年1月22日

「健康情報取扱規程」2019年4月策定義務化への対応として規程のひな形完成

厚生労働省発表手引を参考に「健康情報取扱規程」作成

 2019年4月の労働安全衛生法改正により、企業は「健康情報取扱規程」の策定が義務づけられています。
 厚生労働省から2019年3月に、「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き(PDF)」が公開されました。それを参考に、当事務所でもようやく、お客さまにご提供可能な「健康情報取扱規程」のひな形を用意できました。

 「健康情報取扱規程」をどのように策定すればいいのか、当該規程の策定方法についてご紹介します。

「健康情報取扱規程」作成の進め方

 「健康情報取扱規程」を作成するにあたって、押さえておくべきポイントは「労働者(従業員)の関与」が必要だという点です。
 経営層や管理者層だけで決めてしまうのではなく、従業員から意見を聞いた上で作成しなければならないとされています。

 厚生労働省が示している指針では、「衛生委員会のある会社」と「衛生委員会のない会社」に分けて整理します。

衛生委員会について

 常時50人以上の労働者を雇用する場合、必ず設置する必要のある委員会です。
 衛生委員会は労使、産業医が加わり、月に1回以上、衛生委員会を開催しなければなりません。衛生委員会では、従業員の健康について議論するよう、安全衛生法で義務づけられています。

「衛生委員会」がある50名以上の会社の規程作成方法

 衛生委員会(あるいは安全衛生委員会)がある場合の作成方法は、毎月開催される衛生委員会(安全衛生委員会)時に、規程の内容について議論をして策定します。必ず従業員の意見を参考にする必要がありますので、従業員の意見をヒアリングした上で、方針を策定するようにします。

「衛生委員会」がない50名未満の会社の規程作成方法

 衛生委員会(あるいは安全衛生委員会)が無い場合は、従業員から意見を収集する場を設ける必要があります。
 従業員全員から聞く必要はありませんが、代表となる従業員から意見をヒアリングした上で策定します。36協定などの労使協定締結のために選出された従業員代表がいるはずなので、その代表者を交え複数の従業員を選出して意見交換をするといいでしょう。
 重要なのは、経営者サイドだけで決めてしまわないことです。労使で協議した上で決めなければなりません。

「健康情報取扱規程」の内容

 厚生労働省の指針によると「健康情報取扱規程」内で定めるべき内容は主に以下9点です。これらの内容について、自社の状況に合わせて方針を決めます。

  1. 心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法
  2. 心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲
  3. 心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法
  4. 心身の状態の情報の適正管理の方法
  5. 心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む)及び使用停止等(消去及び第三者への提供の停止を含む)の方法
  6. 心身の状態の情報の第三者提供の方法
  7. 事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項
  8. 心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理
  9. 取扱規程の労働者への周知の方法

 衛生委員会、あるいは労使協議の場で上記について方針や方向性が決まれば、具体的な手法を文書化し「健康情報取扱規程」として作成します。

「健康情報取扱規程」は周知が必要

 策定した「健康情報取扱規程」は、必ず従業員全体への周知が必要です。これは就業規則や労使協定などと同じように考えます。
 規程を作って終わりではなく、必ず従業員全員が閲覧できる場所に規程を置いて、常に閲覧できる状態にしておく必要があります。
 就業規則や労使協定と同じところに保存し、管理すると楽でしょう。

 また、新たに作成するというよりは、既存の就業規則へ盛り込んだり、従業員向けの個人情報保護規程に盛り込むことも可能です。マイナンバー等を扱う「特定個人情報等保護規程」などとまとめてしまうことも視野に入れると良いでしょう。

健康情報を適正に運用し会社全体で万全の管理体制を

 「健康情報取扱規程」は労使で協議し、規程を作成し、それを全従業員に周知するという流れです。
 さらに2019年4月以降は、策定したルールをもとに健康情報を適正に管理・運用していく必要があります。

 健康情報というセンシティブな情報(機微情報)が、間違っても外部に漏れることのないよう、会社全体で万全の管理体制を構築なさってください。

参考リンク

「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/000497966.pdf

「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01170.html

厚生労働省「労働者の健康情報の保護に関する検討会」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/09/s0906-3a.html

厚生労働省「衛生委員会について教えて下さい」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/10.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

【PR】茨城県で社会保険労務士をお探しなら菅野労務事務所へ