労働者死傷病報告の記載や提出の注意点
労働安全衛生法により事業者は「労働者死傷病報告」の提出義務
「労働者が業務中等に負傷し、又は中毒や疾病にかかったことにより、死亡もしくは休業を要した場合」は労働安全衛生法により、事業者には「労働者死傷病報告」の提出が義務付けられています。
事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第23号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 前項の場合において、休業の日数が4日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、1月から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで及び10月から12月までの期間における当該事実について、様式第24号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
災害が発生した場合には適切な対応を
災害を起こず、労働者死傷病報告を提出する必要がないことが一番ですが、万が一、災害が発生した場合には適切な対応を行います。
「業務上災害」に該当しなくても「労働者死傷病報告」の提出が必要な場合もあります。
「労働者死傷病報告」は就業中以外であっても事業場内や付属する建設物・敷地内等で負傷等した場合も提出が義務付けられています。
「労働者死傷病報告」と「労災保険関係書類」は全く別
「労働者死傷病報告」と「労災保険関係書類」は全く別の物です。
よくある間違いに「病院に労災保険の書類を提出したから労働基準監督署への報告は大丈夫」と思われているケースがありますが、「死亡災害」「休業災害」については、労災保険の手続きに加えて(あるいは手続きとは別に)全て「労働者死傷病報告」の提出が必要です。
「労働者死傷病報告」の提出は迅速に
休業4日以上の場合の「労働者死傷病報告(様式第23号)」は災害発生後「遅滞なく」提出することと定められていますが、この「遅滞なく」とは、「正当又は合理的な理由(被災者本人と面談できない等)がある場合を除き、事情の許す限り最も速やかに」という意味であり、概ね1週間から2週間以内程度と解されています。
なお、災害発生から「労働者死傷病報告」の提出まで概ね1ヶ月を超過している場合は、提出が遅れた理由について書面による提出(報告遅延理由書)を求められることがあります。
「労働者死傷病報告」の記載内容は正確に
労働者死傷病報告の記載内容に誤りがあったり、分かりにくい場合があります。
中でも事実を正確に記載せず、故意に偽った内容で提出した場合は、悪質な事例として刑事処分になりますので、報告書作成者は被災労働者や現認者等の関係者から事実関係を的確に聞き取る等により、記載内容を誤らないよう注意して記述ください。
休業4日以上の労働者死傷病報告(様式第23号)の記入上の注意点については以下の通りです。
労働者死傷病報告(様式第23号)記入及び提出に当たっての注意点
- 労働者死傷病報告の提出義務は、被災者本人や親企業・元請事業者等ではなく、被災者を直接雇用する事業者にあります。
- 派遣労働者が被災した場合は、派遣先・派遣元(派遣会社)が、それぞれ労働者死傷病報告を提出しなければなりません。つまり、1件の労災事故に関して、労働者死傷病報告が2枚作成されることとなります。そして、労働者死傷病報告の提出者は、派遣先・派遣元(派遣会社)それぞれの事業主となります。
ちなみに、労災保険では、派遣労働者が被災したときは、派遣元(派遣会社)が事業主として労災保険の請求します。 - 労働者死傷病報告は、事業場(現場)の所轄労働基準監督署長に提出します。
- 労働者死傷病報告の提出に当たっては、記載内容に事実関係の誤りがないよう、被災者本人はもとより、関係者にも確認の上記載します。
根本原因の究明と再発防止の徹底を
労働災害は、とある確率で起こり得ます。起きてしまったときは、根本原因の究明と再発防止策の徹底が重要です。
関係者に十分に周知して再発防止を講じます。
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