就業規則類の見直しは実態に合わせ運用確認も

就業規則類の見直しは実態に合わせ運用確認も、就業規則類の本当の見直し方法

就業規則類は決め事(文書)と運用方法の見直しが重要

 就業規則類は社内ルールとして重要な文書なことに間違いありませんが、就業規則類の見直しするにあたり、今まで500社くらいのお手伝いをした経験を基に、効果的な手法を共有したいと存じます。

 代表の菅野がまだ開業から浅い時代は、文書にだけ目がいっており、運用や社内の周知にまで目が届いておりませんでした。しかし、運用してなんぼ、各社の実態に合わせて運用までを確認する必要があります。

効果的な就業規則類の見直しを行うための手法

 就業規則類の見直しは、組織の適切な運営や従業員の幸福に影響を与える重要なプロセスです。効果的な就業規則類の見直しを行うために以下の手法を検討してみてください。

社内ルール関係者の限りない参加

 就業規則類を見直すプロセスに、従業員、管理職、法務部門、人事部門の代表者を含めることが重要です。関係者の意見や提案を取り入れることで、就業規則類がより適切で受け入れられるものになります。

法的コンプライアンスの確認

 就業規則類は現時点の労働法に適合している必要があります。法律の変更や新しい規制に対応していることを確認し、必要な修正を行います。

従業員アンケートの実施

 従業員の意見を収集するアンケートを実施し、就業規則類に関する意見や不満を把握します。これにより、従業員のニーズに合致した就業規則類の改訂が可能です。従業員の意見を吸い上げた就業規則類はけっこう少ないです。誰のための決め事かということを認識したいところです。

他社事例や成功事例の調査

 他の企業や業界の組織やプロジェクトの効果など、他の組織やプロジェクトと比較を調査し、成功のための指針や効果的な方法を採用し、効率性や品質向上を把握します。他社の成功事例を参考に、自社の就業規則類を改善します。

透明性とコミュニケーション

 就業規則類の変更について従業員に透明かつ適切にコミュニケーションを行います。変更の理由や影響を説明し、従業員からのフィードバックを受け入れます。

法的アドバイスの取得と反映

 法的なアドバイスを専門家から受けることは重要です。特に法的に複雑な変更を行う場合、法律家の助言を仰ぐことをお勧めします。

社内のこだわりの明文化

 社長や幹部が拘っている教えが各組織には必ずといっていいほど存在します。その拘りを適切に明文化します。ここがかなり重要です。服務規律や服務規程に述べるようになりますが、ここを外すと懲戒や制裁に該当します。
 いつも指導されていることならともかく、借りてきた文書だと、ここがしっくりきません。

段階的な変更の実施

 大規模な変更を一度に実施するのではなく、段階的に変更を進めることを検討します。これにより、変更が従業員と組織に適切に適用されることが保証されます。

評価と改善サイクル

 就業規則類の変更後、その効果を評価し、必要に応じて調整を行います。就業規則類は絶えず変化するものであり、改善サイクルを持つことが重要です。例えばISOのマネジメントレビューのように定期的に見直しの機会を持つことをお勧めします。
 また職場環境改善委員会のように、職場を改善する機会を定期的に持つことも肝要です。その際、決め事の明文化、文書化まで漏らさぬように行うことが大切になってきます。

教育とトレーニング

 新しい就業規則類や規程類を従業員に適切に伝え、トレーニングを行うことが必要です。従業員が就業規則類を理解し、遵守できるようにするためです。ここがけっこう漏れます。文書だけ直して終わりでは意味がありません。従業員が確実に理解する機会を大切にしてください。

文書化とアクセス

 就業規則類の変更を適切に文書化し、従業員が簡単にアクセスできるようにします。電子フォーマットで提供することも検討して、アクセスを容易にします。いつでも、どこでも、ちゃんと見れるようにします。
 機密保持にも注意したいところでもありませが、別の機会に詳しく説明したいと思います。

決め事の変更は重要なプロセス

 就業規則類、すなわち会社決め事の見直しは組織にとって重要なプロセスであり、慎重かつ大胆に進める必要があります。
 上記の手法を活用して、適切な就業規則類を策定し、従業員と組織の成功に貢献するものにしたいものです。

就業規則類見直しは文書類チェックと運用チェックが重要

文書類チェックと運用チェックが重要

 就業規則類の策定、明文化されている文書チェックと、実際の運用についてチェックする必要があります。就業規則類の見直しを行う際には、文書チェックと実際の運用チェックの両方が重要だとお考えいただけば幸いです。

 文書チェック、運用チェック、双方の留意ポイントを以下に説明します。

文書チェックの留意ポイント

法的コンプライアンスの確認

 現在の労働関連法に適合していることを確認します。新たな法律の変更に適応し、法的要件を満たしているかどうかを確認します。

明確な言葉遣い

 就業規則類文書は明確でわかりやすい言葉で書かれているかどうかを確認します。専門用語や法的用語は、従業員が理解しやすい言葉で表現されていることを確保し、分かりやすい文書を目指します。

適切な範囲と詳細度

 就業規則類文書は必要な情報を提供しているかどうかを確認します。不足している情報や、逆に過剰に詳細な情報が含まれていないか、自分の組織において必要かつ十分かを確認します。適切な情報量かということです。

更新プロセスのルール化

 就業規則類の変更や更新プロセスが文書に明示されているかどうかを確認します。変更が必要な場合、どのように行うかを明記します。おすすめするのは、法令改正の時期はもとより、社内で問題があり、その解決に至った時や定例的な見直し時期を持つことです。

従業員の権利と義務の確認

 従業員の権利と義務が明確に記載されていることを確認します。従業員の権利を守る一方で、組織の利益も考慮されているかを確認します。

 労働基準法の精神は、「労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。 」とあることです。労働関係の当事者は、すなわち労使共にと読み替えられます。

運用チェックの留意ポイント

一貫性の確保

 就業規則類が一貫して適用されているかどうかを確認します。特定の事例での適用にばらつきがないかを確認します。

フィードバックの収集

 従業員からのフィードバックを収集し、就業規則類が実際の業務にどのように影響しているかを把握します。不満や問題点を特定し、改善点を見つけます。

教育とトレーニング

 就業規則類を適切に伝え、従業員が理解し、遵守できるようにトレーニングが行われているか確認します。新しい従業員にも就業規則類が適切に伝えられているかを確認します。誰が伝える役割なのかを明確にしておく必要があるでしょう。

紛争解決プロセス

 就業規則類に基づいて紛争が解決されるプロセスが効果的に機能しているか確認します。紛争が発生した場合、どのように対処されているかを評価します。

 あまり無いこと故、実際のイメージがなされず、いざという時に機能しない組織をそれなりにお見受けしますが、そうならぬよう、実際の現場をイメージしたプロセスをイメージすることが大切です。そして災害と一緒で、実際に起きた時に身体が動くかどうか、トレーニング等をお勧めします。営業のロールプレイングと一緒です。

組織文化との調和

 就業規則類は組織の文化と調和しているかを確認します。就業規則類が組織の価値観と一致しているかどうかを検討します。これが一致していないと、しっくりこない決め事として、誰も見ない文書になってしまいます。

労務監査を適切に行うと良い

 上述の通り、文書チェックと運用チェックの両方を行うことで、就業規則類が適切に策定され、実際の業務に適用されていることを確認できます。就業規則類の改善や修正は、これらの留意ポイントを継続的に考慮しながら行うことが重要です。

 しかしなかなか、この通りにはいかないものですが、「労務監査」をお勧めします。「財務監査」はけっこう行われているものの、「労務監査」は当方で関与するまで行われないことがほとんどです。労務の監査を適切に入れて、健全な組織運営を目指して欲しいと願います。

就業規則類の電子化に便利なオープンソース

電子文書に便利なオープンソース

 就業規則類を簡便に周知するため、電子化は有効です。電子文書化するにあたり、便利なオープンソース等を紹介します。

 就業規則類を効率的に電子化し、簡便に周知するために、以下は便利なオープンソースソフトウェアおよびツールのいくつかです。

DokuWiki

 DokuWikiはオープンソースのウィキソフトウェアで、テキストベースの文書を管理し、編集するのに非常に便利です。就業規則類や社内文書を整理し、簡単にアクセス可能にできます。プラグインも豊富で、機能を拡張できます。

 当方ではこの「DokuWiki」を使うことをお勧めしています。かなり成功例が出ています。

ウェブサイト: https://www.dokuwiki.org/dokuwiki

Zoho Wiki

 Zoho Wikiはクラウドベースのウィキプラットフォームで、ドキュメントを作成し、組織内で共有しやすくするための素晴らしいツールです。多くのカスタマイズオプションがあり、テンプレートを使用して文書を整理できます。

ウェブサイト: https://www.zoho.com/wiki/

BookStack

 BookStackはオープンソースのドキュメント管理システムで、ユーザーフレンドリーなインターフェースを提供し、階層的なページやカテゴリで文書を整理できます。社内の情報共有に適しています。

ウェブサイト: https://www.bookstackapp.com/

Nextcloud

 Nextcloudはクラウドベースのコラボレーションプラットフォームで、ドキュメントの保存、共有、編集に役立ちます。社内ドキュメントのセキュアな共有とアクセス管理を提供します。

ウェブサイト: https://nextcloud.com/

GitBook

 GitBookは、技術文書や手順書を整理し、チーム全体で共有するのに便利なオープンソースプラットフォームです。Markdownを使用してドキュメントを作成できます。

ウェブサイト: https://www.gitbook.com/

電子化の注意ポイント

 これらのツールは、オープンソースで提供されており、ドキュメント管理や共有に役立つ機能を提供しています。選択肢を評価し、組織のニーズに合ったものを選ぶことが大切です。また、セキュリティを確保し、アクセス権限を適切に設定することも忘れないでおきたいところです。

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