2020年4月から健康保険被扶養者要件に国内居住が追加

2020年1月22日

2020年4月より健康保険の被扶養者の要件に国内居住が追加されます

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社会保険の被扶養者認定はさらに厳格に

 協会けんぽを始めとした健康保険には、被保険者が病気になったり、けがをしたり、亡くなった場合、または、出産した場合に保険給付が行われるほか、その被扶養者の病気・けが・死亡・出産についても保険給付が行われます。

 この被扶養者と認定される要件は法令で定められており、今年(2020年)4月より新たに国内居住要件が加わることになりました。
 外国人労働者の母国に残された家族の疾病、負傷などについても日本の健康保険で給付を行うことになれば、保険財政を圧迫するからです。

 被扶養者として認められるには、原則として、日本国内に住所を有することが要件ですが、外国にいても被扶養者として認められる者や日本国内にいても被扶養者から除外される者など一定の例外がありますので、そこを整理します。

1.被扶養者と認定される要件

 現状の被扶養者と認定される要件は、以下のとおりとなっています。

  1. 被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
  2. 被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
    • (1)被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
    • (2)被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
    • (3)(2)の配偶者が亡くなった後における父母および子

※同一の世帯とは、同居して家計を共にしている状態を指します。

 なお、これらに該当する人であっても、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、被扶養者に該当しません。

2.新設される国内居住要件とその例外

 4月からは、新たに国内居住要件として、日本国内に住所を有することが必要となり、2020年4月1日以降に、健康保険の被扶養者の異動に関する手続きを行うときには、この国内居住要件に関する確認が行われます。

 なお、日本に住所を有しない人であっても、日本に生活の基礎があると認められる下表の人については、証明書類を提出することで国内居住要件の例外として扱われることになります。下図を参照ください。

国内居住要件の例外と証明書類

 表の「国内居住要件の例外と証明書類」について詳述します。

法律の条文(改正後の健康保険法第3条7項)

 この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの(※1)をいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者(※2)は、この限りでない。
1号~4号  略

日本国内に住所を有しないが、例外的に被扶養者と認められる者

 上記※1の「渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの」とは、下記の人たちをいいます。

  1. 外国において留学をする学生
  2. 日本からの海外赴任に同行する家族
  3. 海外赴任中の身分関係の変更により新たな同行家族とみなすことができる者(海外赴任中に生まれた被保険者の子ども、海外赴任中に結婚した被保険者の配偶者など)
  4. 観光・保養やボランティアなど就労以外の目的で一時的に日本から海外に渡航している者(ワーキングホリデー、青年海外協力隊など)
  5. その他日本に生活の基礎があると認められる特別な事情があるとして保険者が判断する者

日本国内に住所を有するが、例外的に被扶養者と認められない者

 上記※2の「この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」とは、下記の人たちをいいます。

  1. 「医療滞在ビザ」で来日した者。医療滞在ビザとは、日本において治療等を受けることを目的として訪日する外国人患者等(人間ドックの受診者等を含む)及び同伴者に対し発給されるものです。
  2. 「観光・保養を目的とするロングステイビザ」で来日した者(富裕層を対象とした最長1年のビザ)

 なお、国民年金の第3号被保険者についても、健康保険と同じ2020年4月1日から国内居住要件が求められますが、その要件は上記※1、※2と同様に判定されます。第1号被保険者については、従来から国内居住要件がある一方で、国内にいても被保険者から除外される例外規定が新設されましたが、それは上記※2と同様に判定されます。

4.ミスが無いよう手続きの誘導を

 外国人労働者の増加に伴い、母国で居住する家族を健康保険の被扶養者としたいという従業員もいるでしょう。
 どのような場合に被扶養者として扱うことができるか押さえた上で、誤りがないよう手続きを進めましょう。

参考リンク

協会けんぽ「被扶養者とは?」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230

協会けんぽ「第99回全国健康保険協会運営委員会資料」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/home/g7/cat720/r1/dai99kaiunneiiinkai/310320

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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