2019.4月から電子メール等での労働条件明示が可能に
2019年4月に労働基準法施行規則が改正
労働契約を締結する際、会社は従業員に対し労働条件を明示することが必要です。
従来、明示の方法は従業員に対する書面の交付に限られていましたが、労働基準法施行規則が改正され、2019年4月から従業員が希望した場合には、FAXの送信または電子メール等の送信により明示することもできることとなりました。
この内容は以前、ブログでも案内しておりましたが、改めて取り上げましょう。
2019年度から電子メール等利用も可能となる労働条件の明示 (2018.10.30)
1.対象となる電子メール等
今回、可能となった電子メール等とは、パソコンや携帯電話のEメールの他、Yahoo!メールやGmail等のウェブメールサービス、そしてLINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能等も含まれます。
ただし、第三者に閲覧させることを目的としている従業員のブログや個人のホームページへの書き込みによる明示は認められません。
ウェブメールサービスやSNSメッセージ機能等による場合、どのような状況となれば明示しとして認められるかが問題となります。
これについては従業員本人の通信端末機器に受信した内容が到達していなくても、メールサーバー等に到達していれば、電子メール等の送信が行われたことを受信者が認識し得る状態にあると判断され、明示されたと認められます。
ただし、労働条件を明示することは、後の労働トラブルを防ぐ目的もあることから、具体的な送信日をあらかじめ知らせておいたり、送信後にその旨の社内掲示をしたり、受信した場合には返信するように指示をしておいたりするとよいでしょう。
2.電子メール等で明示するときの留意点
電子メール等により送信することで労働条件の明示をするためには、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 1)従業員が希望したことと
- 2)出力して書面を作成できること(印刷することができること)
1)の従業員の希望に関しては、従業員の希望の有無の確認は個別・明示的に行うことが望ましいとされています。
希望していないにもかかわらず、会社が一方的に電子メール等で明示することは法令違反として扱われます。
2)の印刷できることとは、必ずしも従業員がプリンターを持っているかどうかまでの確認が求められるわけではありません。一般的に印刷が可能な状態であれば、印刷できると認められます。したがって、電子メール等での明示は印刷や保存がしやすいよう、添付ファイルで送ることが推奨されています。
メリット・デメリットを検討して電子メール等の明示を利用
有期契約労働者が多い会社では、労働契約の更新のたびに書面を作成し、交付することで多くの手間を必要とします。
電子メール等に切り替えることで、労働契約の内容を個別に明示する必要は残るものの発信の記録が残り、また従業員にとっても確認しやすく、紛失しづらい状況になります。
メリット・デメリットを検討の上、電子メール等での明示を利用するか否かを考えたいものです。
参考リンク
厚生労働省「労働契約締結時の労働条件の明示 ~労働基準法施行規則が改正されました~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/meiji/index.html
厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/000487097.pdf
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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