令和4年度の雇用保険料率は2段階引き上げ

2022年3月16日

令和4年度の雇用保険料率は2段階引き上げ

2段階引上げ改定される令和4年度(2022年度)雇用保険料

 新型コロナの影響が続く中、2020年2月からこれまでの雇用調整助成金等の支給額は5兆円を超えています。それが雇用保険を圧迫し、財源不足が課題となっています。厚生労働省の審議会で議論されてきましたが、令和4年度の雇用保険料改定が決定しています。

 労使折半で賃金の3/1000を負担している失業給付などを支払う事業の保険料率は4月から半年据え置き、10月から3月まで5/1000まで上げるとしています。一般の事業では労使で4月~9月1000分の9.5、10月~3月は1000分の13.5となります。4月の時点では労働者の給与から控除される保険料は変更ありません。

 表にすると次のようになります。ご参考になさってください。2段階とはいっても、事業主負担分が段階で、労働者分は1段階です。

令和4年度(2022年度)の雇用保険料率

事業の種類 令和4年4月~9月 令和4年10月~
一般の事業 労働者 3/1000
事業主 6.5/1000
(うち二事業 3.5/1000)
全体 9.5/1000
労働者 5/1000
事業主 8.5/1000
(うち二事業 3.5/1000)
全体 13.5/1000
農林水産業
及び清酒製造業
労働者 4/1000
事業主 7.5/1000
(うち二事業 3.5/1000)
全体 11.5/1000
労働者 6/1000
事業主 9.5/1000
(うち二事業 3.5/1000)
全体 15.5/1000
建設業 労働者 4/1000
事業主 8.5/1000
(うち二事業 4.5/1000)
全体 12.5/1000
労働者 6/1000
事業主 10.5/1000
(うち二事業 4.5/1000)
全体 16.5/1000

令和3年度(2021年度)の雇用保険料率(参考)

事業の種類 令和3年4月~令和4年3月
一般の事業 労働者 3/1000
事業主 6.0/1000
(うち二事業 3.0/1000)
全体 9.0/1000
農林水産業
及び清酒製造業
労働者 4/1000
事業主 7.0/1000
(うち二事業 3.0/1000)
全体 11.0/1000
建設業 労働者 4/1000
事業主 8.0/1000
(うち二事業 4.0/1000)
全体 12.0/1000

雇用保険料率改定の内訳と流れ

 雇用保険料は労使が負担する雇用保険料や国庫負担などで賄われています。雇用保険料の中身は失業給付(労使折半)、育児休業給付(労使折半)、雇用二事業(事業主負担、助成金や教育訓練に充てる)で構成されています。
 今までは積立金が一定水準を超えていたことで労働者3/1000、事業主6/1000と原則より低い負担で抑えられてきましたがコロナ禍で積立金が枯渇してきています。

 令和4年度の失業負担分は4月には据え置かれますが10月には6/1000になります。また、育児休業給付に係る保険料率は年間通し4/1000のまま据え置かれます。

 一方、事業主のみが負担する「雇用保険二事業」の料率は4月から3/1000から3.5/1000に上がります。その結果事業主負担は全体で6.5/1000になります。

令和4年度の概算保険料申告はややこしく料率改定変更分は令和4年10月から

 令和4年度の労働保険概算確定申告時に令和4年度の概算額として事業主負担の二事業の引き上げ分を乗せます。
 また、令和4年10月からの料率改定の分は10月以降の概算賃金額に引き上げられる新料率をかけて保険料の概算額を出し、前半分と後半分を足して1年間の概算額とします。

 詳しくは令和4年度の労働保険料の計算方法が発表されてから確認することになります。

給与計算に影響が出るのは令和4年10月から

 各従業員の給与からの雇用保険料率の徴収額が上がるのは令和4年10月分給与からです。
 よって、給与計算に影響が出るのは令和4年10月からになります。

参考リンク

雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和4年2月1日提出)

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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