働き方改革関連法の成立により重要性が高まる産業医の役割
改正労働安全衛生法成立で産業医と産業保健の機能強化
働き方改革関連法の中で改正労働安全衛生法が成立したことにより、産業医と産業保健の機能が強化されることとなりました。
そこで今回は、産業医の役割と、来年4月から実施される機能強化の内容について解説します。
1.産業医の役割と職務内容および権限
そもそも産業医は、事業場において従業員の健康の保持促進等を行うという役割を担っています。常時50人以上の従業員を使用する事業場においては選任義務があり、一定の要件を備えた医師から選任しなければなりません。
一方、従業員数50人未満の事業場での選任は努力義務にとどまっていますが、従業員の健康管理等の全部または一部を担うよう努めなければならないこととされています。
選任された産業医は主に以下のような職務内容を行います。
- (1)健康診断、面接指導等の実施及びその結果に基づく従業員の健康を保持するための措置、作業環境の維持管理、作業の管理等従業員の健康管理に関すること
- (2)健康教育、健康相談その他従業員の健康の保持促進を図るための措置に関すること
- (3)労働衛生教育に関すること
- (4)従業員の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること
また、産業医は、少なくとも毎月1回事業場等を巡視し、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときには、従業員の健康障害を防止するために必要な措置を講じなければならないとされています。
2.従業員の健康確保のための産業医・産業保健機能の強化
働き方改革関連法が成立したことにより、労働安全衛生法が改正され、産業医と産業保健の機能が強化されます。今回の改正点のうち、主な内容は以下のとおりです。
- (1)事業者(会社)は、衛生委員会に対し、産業医が行った従業員の健康管理等に関する措置の内容を報告しなければならない
- (2)事業者(会社)は、産業医に対し、健康診断結果や長時間労働を行っている従業員の情報等、産業保健業務を適切に行うために必要な情報を提供しなければならない
- (3)事業者(会社)は、従業員に対し、産業医への健康相談の利用方法、産業医の役割、事業場における健康情報の取扱方法について、従業員が常時内容を確認できる状態によって周知しなければならない
過重労働やメンタルヘルス不調など継続的課題
産業構造や経営環境の変化によって、過重労働やメンタルヘルス不調などが継続的な課題となっており、産業医や産業保健の機能に求められる役割も変化しています。
従業員の健康管理等を効果的に行うためにも、事業場における産業医の役割はますます重要性が高まることとなるでしょう。
参考リンク
厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
厚生労働省「産業医について~その役割を知ってもらうために~」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/080123-1a.pdf
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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