就業規則の届出を本社一括で行う方法

2020年1月28日

就業規則の届出を本社一括で行う方法

就業規則届出は事業場毎に行うことが原則

 就業規則を作成・変更した場合には、事業場を管轄する労働基準監督署に届出を行う必要があります。
 この届出はあくまでも事業場毎に行うことが原則とされているため、本社や支店等、複数の事業場がある企業には、各事業場で届出を行わなければなりません。

 一方で、このような場合であってもすべての事業場で同じ就業規則を適用するケースも多く、各事業場での届出が手間であると感じることもあるのではないでしょうか。

 この就業規則の届出については、一定の条件を満たした就業規則については、本社で一括して届出を行う方法が認められています。今回はその内容を確認しておきましょう。

1.変更前後の就業規則が同じ内容であること

 一括して届け出る場合には、本社の就業規則と各事業場の就業規則は同じ内容でなければなりません。また、就業規則の変更では、対象事業場の変更前の就業規則の内容も同じであることが必要です。
 このため、3.の届出事業場の一覧には、「各事業場の就業規則は本社と同一内容である」旨(作成の場合)、もしくは「各事業場の就業規則は変更前及び変更後とも本社と同一内容である」旨(変更の場合)を明記することになっています。

2.届出を行う事業場数の就業規則を用意すること

 就業規則を本社で一括して届出すると、各事業場を管轄する労働基準監督署に届出された就業規則が送付されることになります。
 そのため、一括して届け出る際には、本社を含む事業場の数の就業規則の提出が必要になります。ただし、複数の事業場が同一の労働基準監督署内にある場合には、1部の提出で問題ありません。

3.届出事業場の一覧表を作成すること

 2.のとおり、提出された就業規則は、各労働基準監督署へ送付されるため、本社以外の対象事業場の名称、所在地及び事業場を管轄する監督署名を記した届出事業場の一覧表を作成した上で提出することになります。

4.各事業場での意見書を用意すること

 一括の届出であっても、就業規則の適用は各事業場で行われることに変わりはありません。そのため、従業員からの意見聴取の手続きおよび意見書の作成は、各事業場で行うことになります。

 ただし、単一組織で本社及び対象事業場の労働者の過半数が加入している組合(単一組織労働組合)が存在し、全事業場の過半数労働組合の意見が同意見であるときは、労働組合本部の意見書に「全事業場の過半数労働組合とも同意見である」旨を記載し、労働組合本部の意見書の写しを対象事業場分添付することでも差し支えないとされています。

一括届出を利用すると省力化できるのでお勧め

 以上のように、一括して届け出るためにはいくつかの条件がありますが、事業場数が多い場合には、手続きがかなり省力化できます。

 来年の2017年1月には改正育児・介護休業法が施行され、その対応として就業規則の変更が必要になります。
 そのため、複数の事業場がある企業では、このような一括した届出の検討をされることをお勧めします。

36協定の一括届出には「労働組合」が必要

 36協定においても同様に、本社一括届出の手続きは可能です。ただし「労働組合」があることが要件になっています。
 従いまして、「労働組合」が無い会社は利用できないので注意が必要です。

参考リンク

厚生労働省 「就業規則・36協定の本社一括届出について」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/130419-1.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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