マックの店長判決から見る人間愛の大切さ
マック店長は管理監督者にあたらずは妥当
注目のマック店長の「管理監督者か否か」裁判判決が出ましたね。
やはり管理監督者には該当しないとのことでした。
なんとなく想像できた感がありました。
東京地裁で、約755万円の支払いを命じられたというから原告の言い分がほぼ通ったことになりますね。
労働基準法において明文化されている、「管理監督者」には該当しないということですが、管理監督者の定義をもっと噛み砕いてみましょう。
今回の判決は、管理監督者についての定義を、
「経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、賃金が優遇されている者」と判断しました。
まず経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持つとは、どんな状態を指すのでしょうか?
経営者からかなりの権限が委ねられ、経営の中枢的な立場で意思決定ができているということでしょう。
与えられた守備範囲においては、ほぼ自分で決定権を持つような状態でしょうかね。
もう少し今回判決要旨を読み込まないと、原則的なルールと、現実のすり合わせのイメージが湧いてきませんね。
後日加筆していきたいと思います。
賃金が優遇されている者の基準も難しいような気もしましたが、部下の収入を上回るような賃金という感じの理解が分かりやすいのでしょう。
今回は部下を下回るような年収も管理職としては不適だということでしたから、そのへんのラインが今後は基準になってくるでしょう。
今後において非常に示唆に富む判決でした。
今後の同業界や他業界への影響は?
今回の判決で外食産業はちょっ立場を危うくした気もしますね。
多分、今回の事例のようなことは良くありえそうな気がするからです。
窮地に追い込まれないといいですけど・・
他の業界も同様に少なからず影響が予想されます。
結構、課長等の名称で持って、権限や高賃金の待遇を持たされず、残業代カットの扱いを受けている方たちもいるのではないかという予想があるからです。
マックだけでは無く、名ばかり店長、偽装店長は多いものと想像できますが、実態は経営陣の良いように上手く使われて、弱い立場にしわ寄せが行っているのも確かでしょう。
様々な業界への飛び火も予想される今回の判決ですが、やはり大事にしていただきたいのは、「人間愛」でしょう。
労働力を都合よく、使い捨てのような発想をするのではなくて、働いていただいている方を共に戦う仲間・同士として尊重し、互いに高めあっていくような美しい精神の復活を心から望みます。
【関連記事】
Yahoo!! ニュース –
(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080128-00000017-mai-soci)
<マクドナルド訴訟>
店長は非管理職 東京地裁が残業代認定
ハンバーガーチェーン「日本マクドナルド」の店長が、管理職扱いされて時間外手当を支払われないのは違法として、同社に未払い残業代や慰謝料など計約1350万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は28日、約755万円の支払いを命じた。
斎藤巌裁判官は「職務の権限や待遇から見て、店長は管理監督者に当たらない」と述べた。
同社では正社員約4500余人中、約1715人(07年9月現在)が店長。
チェーン展開するファストフードや飲食店では同様のケースが多く存在するとされ、判決は業界に影響を与えそうだ。
訴えていたのは、125熊谷店(埼玉県熊谷市)店長、高野広志さん(46)。
99年に別店舗で店長に昇格して以降、残業代が支払われなくなり、時効にかからない03年12月~05年11月の2年分について約517万円の支払いなどを求めた。
労働基準法は時間外勤務に対する割り増し賃金の支払いを規定しているが、「管理監督者」は適用外になる。
訴訟では、同社の店長が管理監督者に当たるかが争点だった。
判決は管理監督者を「経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、賃金が優遇されている者」と判断。
同社店長について、店舗責任者としてアルバイトの採用や会社のマニュアルに基づく運営など店舗内の権限を持つにとどまり、経営者と一体的立場とは言えないと認定。
さらに、品質・売り上げ管理などに加え、調理や接客なども行うため、労働時間の自由裁量性は認められず、部下の年収を下回るケースもあるなど待遇が十分とは言い難いと指摘した。
その上で未払い残業代約503万円を認め、労働基準法に基づきその半額について懲罰的な意味合いを持つ「付加金」の支払いを命じた。
▽日本マクドナルドの話
主張が認められず残念。主張は正しいと認識しており、控訴する方向で考える。
【関連記事】
IZA –
(https://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/118774)
マックだけじゃない「責任押し付け手当なし」管理職
正社員の店長が時間外手当の支払い対象外の「管理監督者」として扱われ、残業代などが支払われないケースは、マクドナルドなど外食産業やコンビニだけでなく、多くの業界で深刻な問題となっている。
紳士服大手のコナカ(横浜市)は今月、元店長の男性に未払い残業代約690万円を支払うことで合意した。
同社は、マクドナルドと同様に店長を管理監督者と扱っていたが、昨年6月に労働基準監督署の指導を受け、これを改めて残業代を支払うようになった。
また、家電量販店大手のエディオン傘下の「ミドリ電化」(兵庫県尼崎市)も昨年末、管理監督者の範囲を見直し、店長などの職種を対象から外した。
同社は、管理監督者としていた社員678人の未払いの残業代計15億5400万円の支払いを始めている。
ファストフードやコンビニでは、残業代未払い問題はより深刻だ。
バイト主体の店舗運営がなされているところに、営業時間の延長などの会社の指示が次々と出される。
九州地方のファストフードの店長は「会社の方針には逆らえない。結局、店長の負担ばかりが大きくなる」と打ち明ける。
個人加盟の労働組合「東京管理職ユニオン」には、フランチャイズ店長からの相談が多数寄せられている。
「会社への遠慮からか匿名の相談が多いが、今回の裁判の行方に期待するという声が多い」という。
一方、今回の裁判のように、店長らによる“反乱”の動きも出ている。
平成18年には、これまで労働組合のなかった日本マクドナルドや日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)で相次いで労組が結成された。
労働条件の改善を求めて交渉しており、KFCでは改善されたが、マクドナルドでは多くの店長は依然として管理監督者のままだ。
こうした状況に、労働問題に詳しい棗(なつめ)一郎弁護士は「中間管理職への残業代をカットできるという経営者側の思惑が大きい」と話し、立場の弱い“名ばかり店長”に負担を押しつけがちな企業体質を批判した。