厚生労働省が「モデル就業規則」の副業・兼業の改定案提示
「モデル就業規則」のうち、副業・兼業の改定案を提示
厚生労働省は11月20日、現在公表している「モデル就業規則」のうち、副業・兼業に関する規程の改定案を提示しました。
政府の働き方改革実現会議が本年3月に決定した働き方改革実行計画では、「副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改定版モデル就業規則の策定」を実施項目に掲げ、合理的な理由なく副業・兼業を制限できないことをルールとして明確化することとしています。
そのために、副業・兼業を行う労働者の労働時間管理や健康管理のためのガイドラインを策定すること、厚生労働省が企業向けに作成・公開しているモデル就業規則について副業・兼業を認める方向で改定することが併せて示されています。
「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」を削除
これらのガイドライン等策定に向けて、現在は厚生労働省に設置された「柔軟な働き方に関する検討会」で議論が行われており、20日に行われた第4回会合では「モデル就業規則の改定の方向性」として具体案が示されました。
今回の厚生労働省案は、事前に会社へ所定の届出を行うこと、業務への専念や不正行為の禁止など遵守事項に違反しないことを前提に「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」とする規程を新たに設ける内容となっています。
これと併せて、現在、同規則例で遵守事項(11条)として掲げている8項目のうち、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」の項目を削除することとしています。
規程見直し等に一定の影響を及ぼすか
厚生労働省が公表しているモデル就業規則は、企業が行う就業規則の作成・届出の参考資料として、解説と併せて規程例を示しているもので、それ自体に法的強制力はないものの、今後各社での規程見直し等に一定の影響を及ぼすものとみられます。
厚生労働省では、引き続き検討会での議論を経て、平成29年度中に策定を予定している副業・兼業に関するガイドラインと併せて、改定版のモデル就業規則を公表する予定としています。
長時間労働の隠れ蓑にはならないか
兼業を簡単に承認してしまうと、様々な懸案も想像されます。一人の人が結局は長時間労働となってしまい、会社単位で見れば長時間労働の抑制に見えるかも知れませんが、個人単位で長時間労働になったら意味があるのでしょうか。
様々な経営者と話すと、会社では違う人にバラバラに業務してもらうよりは、同じ人に働いてもらったほうが効率的だし安心感があるということです。どのような影響が出てくるのか、注視しておきたいものです。
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