2021年4月「36協定届」が新しくなります

2023年10月8日

2021年4月「36協定届」が新しくなります

「36協定届」が2021年4月から新しくなりますので注意

改正の内容

 2021年4月1日より、36協定届の様式が新しくなります。改正内容は、大きく2点あります。

  1. 36協定届における押印・署名の廃止
  2. 36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

36協定届における押印・署名の廃止

 労働基準法施行規則等の改正により、使用者の押印および署名が不要になりました。
 (記名は必要)

36協定と36協定届を兼ねる場合の留意事項

 労使で合意したうえで労使双方の合意がなされたことが明らかとなるような方法(記名押印または署名など)により36協定を締結すること

36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

 労働者代表(事業場における過半数労働組合または過半数代表者)についてチェックボックスが新設されています。

*過半数代表者の選任にあたっての留意事項

  • 管理監督者でないこと
  • 36協定を締結する者を選出することを明らかにしたうえで、投票、挙手等の方法で選出すること
  • 使用者の意向に基づいて選出された者でないこと

新旧様式の届出の適用

 2021年3月31日以前であれば、4月1日以降の期間を定める協定であっても、原則、旧様式を用いることになります。
 しかし、新様式を使用することも可能で、その場合は、協定当事者の適格性にかかるチェックボックスにチェックする必要はありませんが、使用者の記名押印または署名が必要になります。

 なお、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ、3月31日以前であっても、使用者や労働者の押印または署名がなくても提出することができます。

 また、4月1日の施行日以降であっても、当分の間旧様式を用いることもできます。その際の留意点は次のとおりです。

  • 旧様式の押印欄を取り消し線で削除する
  • 協定届・決議届については、旧様式に、協定当事者の適格性にかかるチェックボックスの記載を直接追記する、または同チェックボックスの記載を転機した紙を添付する
    (チェックボックスにチェックがないと、形式上の要件に適合している協定届・決議届と認められませんので、注意が必要です)

労働基準法第32条(労働時間)違反は懲役6カ月または罰金50万円

 労働時間を規定しているのは労働基準法第32条ですが、そこでは使用者は労働者に残業させてはいけないとなっています。
 しかし、第36条で「36協定」を適正に行っていれば、残業させられることになっています。

 労働基準法第32条に違反しますと、懲役6カ月ないしは罰金50万円の罰則がありますので注意です。4月の年度始を迎え、36協定の更新を迎える企業さんも多いことでしょう。新様式になることを忘れずに対処ください。

新様式ダウンロード

※新様式は以下のURLからダウンロードして使用できます。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/index.html

36協定にまつわるよくある質問

「36協定届」についてよくある質問

 以下は、36協定にまつわるよくある質問です。

1.締結時期

 労働基準法では労働時間の原則を1日8時間、1週40時間としており、この法定労働時間を超える労働を禁止しています。現実には多くの企業で、法定労働時間を超える時間外労働を命じているかと思いますが、労働者に時間外労働を命じるためには、あらかじめ36協定を締結し、所轄労働基準監督署に届出を行う必要があります。

 この36協定の届出は、協定に定められた有効期間の開始日以前に行う必要があるため、届出前までに協定を締結する必要があります。労働者の過半数代表者等に余裕をもって説明し、締結が完了するよう早めに準備します。

2.記載する人数

 36協定には、労働者数を記載する欄が設けられています。この労働者数は、在籍している労働者の人数ではなく、時間外労働・休日労働を行わせることが想定される人数を記入します。

 締結後、協定の有効期間中に、入社や退職により記入した人数と実態が乖離したとしても再度締結して届け出る必要はなく、締結後に入社した労働者にも協定の範囲内で時間外労働や休日労働を命じることができます。

3.過半数代表者等の退職

 労働者の過半数代表者等が協定の有効期間中に退職するケースがありますが、退職したとしても締結をした36協定はその有効期間中において有効であり、36協定を再度締結したり、届け出たりする必要はありません。

 実際に36協定を締結する時点において、労働者の過半数代表者等が労働基準法の定める要件を満たしていることが必要です。

4.会社側の締結当事者

 労働基準法第36条では使用者と労働者の過半数代表者等が協定を締結することになっています。会社側の締結当事者は、代表取締役としている例が多くありますが、使用者とは、労働基準法第10条で、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」と定義されており、代表取締役のみに限定されていません。

 実際に事業主の立場に立ち、労働時間の管理をする権限があり、責任を負う立場にある人に当てはまるのであれば、代表取締役以外で、例えば工場長なども該当するケースがあるでしょう。

5.協定内容や数値にどのような意味があるのか確認を

 36協定を作成する際、前年と同じ内容で、日付と人数だけ確認して作成しているケースも見受けられます。会社は協定した内容を遵守する必要があり、協定内容を超えて時間外労働を命じることは、労働基準法違反となります。そのため、協定する内容や数字にどのような意味があるのかを確認した上で作成し、締結することが重要です。

参考「厚生労働省リーフレット」

https://www.mhlw.go.jp/content/000708408.pdf