2025年4月新たに創設される「出生後休業支援給付金」
2025年4月新たに創設される「共働き・共育て」給付金
昨年の2023年12月25日に閣議決定された「こども未来戦略」では、共働き・共育ての推進として、「男性育休の取得促進」、「育児期を通じた柔軟な働き方の推進」および「多様な働き方と子育ての両立支援」の3つの方針が掲げられました。
今回は、これらの具体的な対応策として、2025年4月1日から始まる雇用保険の給付金をとり上げます。
1.出生後休業支援給付金の創設
育児休業を取得すると、従業員(雇用保険の被保険者)は所得の補てんとして育児休業給付を受け取ることができますが、育児休業を取得せずに給与を受け取ることと比較し、手取額が低くなります。このように手取額が低くなることが、男性の育児休業の取得が進まない理由の一つと言われています。
その解消を目的として、子どもの出生直後の一定期間以内に、両親ともに14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額が「出生後休業支援給付金」として支給されることになります。
この給付金に、出生時育児休業給付金または育児休業給付金をあわせると、給付率が80%となり、手取りとしては10割相当が支給される仕組みとなっています。
なお、一定期間とは、男性が子どもの出生後8週間以内、女性が産後休業後8週間以内です。
従業員の中には、配偶者が専業主婦(夫)であったり、ひとり親として育児をしていたりすることもあるため、配偶者が育児休業を取得していない場合であっても、出生後休業支援給付金が支給されます。
2.育児時短就業給付金の創設
育児休業中の支援の他に、2歳未満の子どもを養育するために、時短勤務をすることで給与額が下がる場合、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を上限に「育児時短就業給付金」が支給されることになります。
この給付金は、単に時短勤務を推奨するものではなく、育児休業よりも時短勤務を、さらには時短勤務よりも従前の所定労働時間で勤務することを推進する目的で創設されており、これを前提に10%という給付率が決められています。
なお、時短後に支給される賃金と給付金の合計額が時短前の賃金を超えないように給付率を調整する仕組みです。
社内手続きの流れを抑えておく必要あり
出生後休業支援給付金の創設により、出生後育児休業(産後8週間以内に4週間を上限として2回に分けて取得できる休業)の申出の増加が予想されます。
また、これまで育児の時短勤務は女性従業員の利用が中心でしたが、今後は男性従業員の活用が増えてくることも予想されます。
今後の申請方法や、それに沿った社内の手続きの流れを確認していく必要があります。
子ども・子育て支援法の改正で育児環境がさらに充実!
2025年(令和7年)より「子ども・子育て支援法」の改正が段階的に施行されます。少子化対策や子育て家庭の支援がますます充実し、特に共働きや育児中の負担軽減に寄与することが期待されています。以下に主な改正内容をご紹介します。
1. 経済的支援の強化
まず、児童手当の支給対象年齢が高校生年代まで引き上げられ、所得制限が撤廃されます。また、第3子以降の支給額が増額され、経済的負担を軽減します。
さらに、妊娠期の負担を軽減するため、妊婦への支援給付も新たに設けられ、妊婦向けの相談支援サービスも拡充されます。このように、ライフステージに応じた経済的支援が強化されます。
2. 共働き支援の拡大
「共働き・共育て」を推進するため、育児休業取得者へのサポートが拡充されます。
育児休業期間中の給付率が引き上げられ、時短勤務をする親には新たな「育児時短就業給付」も創設されるため、経済的負担を減らしつつ、育児と仕事の両立がよりしやすくなります。
また、自営業やフリーランスの方には、国民年金の保険料を免除する措置も導入され、幅広い働き方に対応した支援が進められます。
3. 支援制度の「見える化」と「子ども金庫」の創設
子ども・子育て政策の全体像をわかりやすくするため、「子ども・子育て支援特別会計」、通称「子ども金庫」が創設されます。
児童手当や育児休業給付などの経費を一元管理し、より透明性のある仕組みとなります。これにより、政策の全体像と費用負担が国民に見えやすくなり、制度の信頼性も向上します。
今後も子ども・子育て支援の動向を注視
このような改正によって、子育て世帯が安心して暮らせる社会がさらに前進します。
改正の詳細な施行日は段階的に設定されていますが、今後も子ども・子育て支援の動向を注視し、必要な支援は見逃せません。
参考リンク
厚生労働省「令和6年雇用保険制度の改正内容について(子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律)」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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