対応が必要となる来年2017年1月に施行される改正育児・介護休業法

2020年3月5日

 今年6月に出されたニッポン一億総活躍プランの中で、「介護離職ゼロの実現」という目標が掲げられ、今後、企業も介護と仕事の両立への対応に積極的に取組むことが求められています。こうした方針を受け、育児・介護休業法の改正が行われ、平成29年1月1日に施行されます。そこで今回は、このうち大きな影響が予想される介護休業に関する主な改正点を取り上げましょう。

1.現行の介護に関する制度

 介護を行う従業員に対する各種制度としては、介護休業制度をはじめとして、介護休暇、介護のための時間外労働の制限、介護のための深夜業の制限および介護のための所定労働時間短縮等の措置といった制度が設けられています。今回は、これらの制度の拡充等が実施されています。

2.主な改正点

 今回の主な改正点は以下の4つとなり、変更もしくは新設が行われています。

(1)介護休業の分割取得[変更]

 これまでは、原則、対象家族1人につき1要介護状態ごとに1回に限り取得できることとなっていた介護休業を、93日を限度として、対象家族1人につき3回まで分割して取得できるように変更されます。

(2)介護のための所定労働時間の短縮措置等[変更]

 現在でも介護のための所定労働時間の短縮措置として、対象家族1人につき、以下のa~dのうちいずれかの措置を講じなければならないとされていますが、今後は、この措置(dを除く)について介護休業とは別に、利用開始から3年間の間で2回以上利用ができるようにする必要があります。

 a. 所定労働時間の短縮
 b. フレックスタイム制度
 c. 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
 d. 労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度

(3)介護のための所定外労働(残業)の免除[新設]

 今回、要介護状態にある家族を介護する従業員が請求した場合、介護の必要がなくなるまで、残業の免除を受けることができる制度の導入が新たに求められることになりました。この残業免除については、既に育児を行う従業員への措置として、導入されていますが、これと同様の扱いが介護を行う従業員についても導入されることになります。

(4)介護休暇の半日単位取得[変更]

 介護休暇の取得については、現状1日(暦日)単位とされていますが、今後は半日単位でも取得できるようにしなければなりません。この半日単位とは1日の所定労働時間数の2分の1が原則となっていますが、たとえば会社の始業・終業時刻や休憩時刻の関係で、昼の休憩時間を挟んで午前3時間・午後5時間といった区分で取得できるようにすることも可能とされます。なお、その場合は労使協定を締結しておく必要があります。


 法改正への対応として、育児・介護休業規程や労使協定の見直しが必要になることから、早めに整備を進めておきたいものです。また、特に介護については今後、男女の幅広い年代で切り離せない問題となることが予想されるため、残業を前提とした業務の設計をするのではなく、働き方そのものについても検討しなければならない時期が来ているのではないでしょうか。

■参考リンク

厚生労働省 「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。