平成28年11月30日までに実施しなければならないストレスチェック

2020年1月28日

 昨年12月より従業員50人以上の事業場※については、ストレスチェックの実施が義務付けられています。1年に1回の実施が必要となり、初回は平成28年11月30日までに実施しなければなりません。そこで、今回は改めてストレスチェック制度の内容と、ストレスチェック実施後に対応しなければならない事項を確認しておきましょう。

※労働者50人未満の事業場については当分の間、努力義務とされています

1.ストレスチェック制度とは

 今回、ストレスチェック制度がスタートすることとなった背景には、近年、職場でメンタルに不調を抱える者の増加があり、従業員にストレスへの気づきを促し、ストレスの原因となる職場環境の改善に繋げることが求められています。
 そのため、具体的には、会社が従業員に対して、1年に1回、医師・保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施することとなります。なお、この対象となる従業員は、以下のa、b両方の要件を満たす者となり、パートタイマーであっても、例えば正社員の週所定労働時間が40時間の場合には週30時間以上の勤務で、1年以上雇用されている場合はストレスチェックを受検させる義務があります。

a.期間の定めのない労働契約により使用される者(契約期間が1年以上の者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者および1年以上引き続き使用されている者を含む)であること
b. 週所定労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること

2.ストレスチェック実施後の流れ

 ストレスチェック実施から事後措置までの流れは下図のとおりとなり、それぞれ遅滞なく進めることが求められます。今回、平成28年11月30日までに行っておくべきことはストレスチェック実施までであり、結果の通知や面接指導の実施はその後の対応でも問題はありません。
 ただし、ストレスチェックを実施するまでには、担当者の選定や実施の流れを作る必要があるため、まだ実施していない事業場では、早急に進めましょう。

 

3.必要となる記録の作成・保存、報告書の提出

 会社としてはストレスチェックを実施するだけでなく、会社が従業員の同意を得てストレスチェックの検査結果について提供を受けた場合には、記録を作成し5年間保存することになっています。
 またストレスチェック実施後、1年以内ごとに1回、所轄労働基準監督署へ「心理的な負荷の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出する義務があり、この報告書には産業医の氏名の記載と押印または署名が必要になっています。提出時期については、事業年度の終了後など事業場ごとに設定して差し支えなく、部署ごとに順次ストレスチェックを行うなど、年間を通じて実施している場合は、暦年1年間での受検者数、面接指導を受けた者の数を報告します。

 メンタルヘルスの問題は多くの企業で課題となっており、その原因となるストレスを労働者自身が理解し、対処していくことはメンタルヘルス対策の基本事項の一つとなります。できるだけ多くの労働者が受検するように、企業としてはスムースな流れを作り、受検を支援していきましょう。

■参考リンク

厚生労働省「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。