2018年度から「労働移動支援助成金」を縮小へ

2020年1月27日

2018年度から「労働移動支援助成金」を縮小へ

予算規模を大幅縮小へ

 厚生労働省は2018年度予算において、安倍政権が成長戦略の1つとして掲げた「失業なき労働移動」を進めるための目玉策として導入された「労働移動支援助成金」を減額する方針を決めました。これは、助成金を受給する企業が想定を大幅に下回り、期待した効果が出ていないためです。
 助成金を受給した人材会社が企業の人員削減を指南していたとして問題視され、2016年には支給要件も厳格化されていました。

「雇用の維持」から失業者の労働移動にねらいも…

 政府は成長戦略の一環として、不況時に従業員の雇用を守る企業に出す「雇用調整助成金」を減らし、転職を促す労働移動支援助成金を2014年度から大幅に拡充し、リストラに遭った労働者を雇い入れて職業訓練をする企業に1人1時間あたり800~1,100円の助成金を出す「人材育成支援コース」を新たに設けて、2014~2017年度の4年間に同コースの予算として計約473億円を計上していました。

 しかし、2017年9月末までの3年半で、この助成金を活用して職業訓練を受けた再就職者は119人、支給総額は3,531万円にとどまっていました。
 2016年度から予算規模を約12億円に減らしましたが、2017年度の再就職者は9月末時点で、わずか3人で、3,500人以上の利用を見込んでいたのに対し、想定を大幅に下回っていました。

新設の「移籍人材育成支援コース」も利用なく

 
 2016年度には自発的に転職を望む労働者を雇い入れて職業訓練をした場合も助成対象にする「移籍人材育成支援コース」も新設し、2017年度までに計17億円の予算を計上しましたが、この助成金を活用して職業訓練を受けた再就職者は、2017年9月末時点で1人もいませんでした。
 このため厚生労働省は、両コースを2017年度限りで廃止することを決めました。景気回復で雇用の流動化が起きにくくなっているうえ、転職市場では、職業訓練が要らない即戦力が重視されることが助成金の利用が伸びない一因ではないかとされています。

<出典:日本法令 https://www.horei.co.jp/>

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