登用が進む女性管理職

2020年1月28日

 女性活躍推進法が制定され、4月より301人以上の労働者を雇用する企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが義務づけられています。その中では女性の管理職比率が大きなテーマとなりましたが、先日、厚生労働省が公表した「平成27年度雇用均等基本調査」では、その現状が取り上げられています。今回はその内容について見ていくことにしましょう。

1.雇用均等基本調査とは

 そもそもこの雇用均等基本調査とは、男女の雇用均等問題に係る雇用管理の実態を把握し、雇用均等行政の成果測定や方向性の検討を行う上での基礎資料を得ることを目的としているもので、内容としては昇進や育児・介護休業制度等の取組状況がまとめられています。

2.女性管理職の登用状

 課長相当職以上の女性管理職(役員を含む)を有する企業割合は59.1%(平成25年度51.4%)、係長相当職以上の女性管理職を有する企業割合は 65.9%(同59.2%)となっています。これを役職別に見ると、部長相当職は 9.6%(同9.2%)、課長相当職は 17.4%(同16.8%)、係長相当職は 20.1%(同21.5%)となっており、部長相当職と課長相当職については平成25年度より女性管理職を有する割合が上昇しています。

 次に、管理職に占める女性の割合を見てみると、課長相当職以上の管理職に占める女性割合(以下、「女性管理職割合」という)は 11.9%(同9.1%)、係長相当職以上の女性管理職割合は12.8%(10.8%)となっています。役職別では、部長相当職では 5.8%(同4.9%)、課長相当職では8.4%(同 6.9%)、係長相当職では14.7%(同 13.8%)となっています。いずれも平成25年度より割合が上昇し、下表の過去の推移をみても若干の波はあるものの上昇傾向にあり、特に課長相当職では他の役職より上昇幅が大きくなっています。

※平成23年度の値については、岩手県、宮城県、福島県を除く全国の結果。

3.女性の昇進状況

 平成26年10月1日から平成27年9月30日の間に、各役職に新たに就いた女性がいたかどうかを見てみると、課長相当職以上(役員を含む)への女性昇進者がいた企業割合は7.3%、係長相当職以上への女性昇進者がいた企業割合は12.5%となっています。役職別では、部長相当職へは1.6%、課長相当職へは3.8%、係長相当職へは6.6%となっています。

 一方、平成26年10月1日から平成27年9月30日の間に、新たに役職についた昇進者に占める女性割合(以下、「女性昇進者割合」という)は、課長相当職以上では12.4%、係長相当職以上では15.8%となっています。役職別では、部長相当職では8.0%、課長相当職では12.1%、係長相当職では20.6%となっています。

 これらの昇進状況については、今回初めて調査事項として設定されたため、過去の調査と比較はできませんが、係長相当職では20%を超えており、今後の役職登用を見据えて第1ステップとして係長相当職で登用していく動きが見られていると考えられます。

 女性活躍推進法の後押しも受けて、企業はどのようにして女性が活躍できる職場をつくっていくのかを考え、そして具体的な取組みを推進することが求められています。

■参考リンク

厚生労働省 「平成27年度雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-27.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。