引下げとなる2022年度年金額と在職中年金受給見直し

引下げとなる2022年度年金額と在職中年金受給の見直し

2022年度年金額が厚生労働省から発表されダウンに

 年金額は、物価水準に連動して原則毎年度改定される仕組みとなっていますが、先日、2022年度の年金額が厚生労働省から発表されました。
 また、今年4月より在職中の年金受給の在り方の見直しが行われることから、これらの内容について確認しておきましょう。

1.引下げとなる2022年度の年金額

 総務省から、「令和3年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)が公表され、2022年度の年金額は、2021年度よりも0.4%引下げられることになりました。2022年度の新規裁定者(67歳以下)の年金額の例は、以下のようになります。

  • 国民年金(老齢基礎年金:1人分)
    月額64,816円(▲259円)
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)※
    月額219,593円(▲903円)

※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準。

2.在職中の年金受給の在り方の見直し

 在職中の年金受給の在り方の見直しが行われ、2022年4月から在職老齢年金制度の見直しと在職定時改定の導入が行われます。

 まず、60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、年金の支給が停止される基準が、現行の賃金と年金月額の合計額「28万円」から「47万円」に緩和され、賃金と年金月額の合計額が28万円から47万円の人は年金額の支給停止がなくなります。
 これにより高齢者の更なる就業の増加が期待されます。なお、65歳以上の在職老齢年金制度については、現行の基準で47万円となっており、変更はありません。

 次に、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、年金額を毎年10月に改定し、それまでに支払った厚生年金保険料を年金額に反映する制度(在職定時改定)が始まります。
 現時点では、退職等により厚生年金被保険者の資格を喪失するまで老齢厚生年金の額の改定は行われませんが、今後は退職を待たずに年金額に反映されます。

改正内容を中心に最新情報を確認し的確な情報把握を

 働く労働者の中で、60歳以上の労働者が占める割合が増えており、年金制度も含めた相談が会社に寄せられることが増加しています。
 改正内容を中心に最新情報を確認し、的確な情報把握をしたいものです。

(年金機構ホームページから)

年金のマクロ経済スライド

 マクロ経済スライドとは、平成16年の年金制度改正で導入されたもので、賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。
 将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう、最終的な負担(保険料)の水準を定め、その中で保険料等の収入と年金給付等の支出の均衡が保たれるよう、時間をかけて緩やかに年金の給付水準を調整することになりました。

 具体的には、賃金や物価による改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準を調整します。

 なお、このマクロ経済スライドの仕組みは、賃金や物価がある程度上昇する場合にはそのまま適用しますが、賃金や物価の伸びが小さく、適用すると年金額が下がってしまう場合には、調整は年金額の伸びがゼロになるまでにとどめます(結果として、年金額の改定は行われません)。

 賃金や物価の伸びがマイナスの場合は調整を行わず、賃金や物価の下落分のみ年金額を下げることになります。

賃金・物価の上昇率が大きい場合

 マクロ経済スライドによる調整が行われ、年金額の上昇については、調整率の分だけ抑制されます。

年金の物価スライド

 公的年金の年金額は、物価・賃金の変動率に応じて年度ごとに改定されることになっています。
 平成16年の年金改正により、今後は現役世代の人口の減少などを考慮して物価等の上昇から公的年金加入者数の減少率などを差し引いた率で年金額が改定されることになっています。

参考リンク

厚生労働省「令和4年度の年金額改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00014.html

厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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