有期契約労働者の雇止めを行う際の留意点

2020年1月27日

有期契約労働者の雇止めを行う際の留意点

 非正規労働者が全労働者に占める割合が4割という時代となっています。みなさんの会社でも、契約社員やパートタイマーなどの有期契約労働者を雇用しているケースが多いのではないでしょうか。

 この有期契約労働者については、雇止めを行う際にトラブルになりやすいことから、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)が出されています。そこで、今回はこの中から、雇止めの予告と雇止めの理由の明示についてとり上げましょう。

1.雇止めの予告とは

 この雇止めの予告とは、有期労働契約を更新してきたものの、今回をもって更新を行わない場合に、契約期間が満了する少なくとも30日前までにその旨を伝えることをいいます。この予告の対象となる者は、有期労働契約を3回以上更新している者、1年以下の労働契約を更新し1年を超えて雇用している者、あるいは最初から1年を超える労働契約を締結している者のいずれかに該当する者と定められています。
 なお、現行の雇用契約をもって終了となることが最初から明示されている場合は、この雇止めの予告を行う必要はありません。

2.雇止めの理由の明示とは

 次に、雇止めの理由の明示とは、1.の雇止めの予告後に有期契約労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合、会社は遅滞なくこれを交付することをいいます。

 この証明書に記載する雇止めの理由は、契約期間が満了となったからという理由ではなく、これとは別の有期契約労働者を雇止めする理由が必要になります。例えば、以下のような理由が挙げられます。

  • 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
  • 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約はその上限によるものであるため
  • 担当していた業務が終了・中止したため
  • 事業縮小のため
  • 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
  • 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため など

 なお、この雇止めの理由の明示は、雇止めとなり離職した後にその理由について証明書を請求された場合も、会社は交付する必要があります。

客観的・合理的な理由なく社会通念上不相当の場合は雇止めは無効

 有期契約労働者の雇止めにあたっては上記の対応が必要ですが、そもそも雇止めを行う際、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められないときは、その雇止めは無効となります。
 そのため、有期契約労働者に問題行動が見受けられる場合は、日ごろから注意・指導を行っておくことが重要です。

■参考リンク

東京労働局「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」
https://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/jirei_toukei/pamphlet_leaflet/roudou_kijun/_84886.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

【PR】一般労働者派遣手続なら菅野労務FP事務所へ