厚労省が実施した「過重労働解消相談ダイヤル」 相談の27.9%は家族からの相談

2020年1月28日

 過重労働対策として、国は様々な対策を行っていますが、その一つに、毎年11月に、労働基準監督署の重点監督を含む過重労働解消キャンペーンの実施があります。先日、この過重労働解消キャンペーンの取組みとして行われた「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果が発表されましたので、この相談結果の内容と具体的な相談事案をとり上げましょう。

1.相談結果の内容

 まず、相談件数は合計712件で、主な相談内容としては、 長時間労働・過重労が340件(47.7%)、賃金不払残業が305件(42.8%)、休日・休暇が53件(7.4%)となりました。そして、相談者の属性をみてみると、労働者が432件と全体の約6割を占めていますが、労働者の家族について199件と27.9%を占める結果となっています。労働者本人だけでなく、家族からの相談も寄せられていることがわかります。

2.相談事案

 またこの相談結果の中で、相談事案もとり上げられていることから、この中から特徴的な3つの事例を確認しておきましょう。

(1)長時間労働・過重労働
・人員不足のため、毎日7時間程度の残業を行っており、月100時間を超える残業を行っている。労働時間は自己申告により管理しており、パソコンに入力していたが、上司が自分のチームの残業削減を業績目標としているため、残業が少なくなるよう改ざんしている。

(2)賃金不払残業
・入社時に「残業を指示した時間以外は残業代を支払わない」と説明を受けた。実際に勤務したところ、毎日3時間程度の残業があり、時間外に勉強会や会議が設定されるが、残業代は毎月定額で1万円しか支払われない。労働時間はタイムカードで管理することになっているが、仕事が終わっていない人の分も含めて、誰かが定時過ぎに全員分をまとめて打刻している。

(3)休日・休暇
・有給休暇は発生してから2年以内であれば取得できるはずだが、就業規則で1年以内(当年)しか取得できないと定められている。また、有給休暇の取得を会社に請求する際には、上司に理由を言って認めてもらう必要がある。

 これらの事案のように、企業において労働時間が適正に管理されていなかったり、時間外労働に対する賃金が不払いとなっていたりするなどの問題が見受けられます。今回の過重労働を防止するためには、労働時間を適正に把握することが第1歩となるため、この機会に各事業場で点検を行い、問題があれば早急に改善しましょう。

■参考リンク

厚生労働省 「「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000144103.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。