「平成30年版過労死等防止対策白書」のポイント
「教職員」「医療」「IT」等を重点業種・職種として分析
厚生労働省が先月30日、今後の過労死対策の議論の土台となる「平成30年版過労死等防止対策白書」を公表しました。3回目となる今回の白書では、特に過労死などが多いとされる「教職員」「医療」「IT」について労働実態などを重点的に分析しています。
政府の取組み、重点業種の調査結果、自治体や民間の活動を報告
白書では、以下のような内容が調査・報告として掲載されています。
- 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成30年7月24日閣議決定)の概要および「働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)の定める長時間労働の是正等に関するポイント
- 過労死等が多く発生していると指摘のある教職員、IT産業、医療を中心とした重点業種・職種に関する労災事案等の分析など、企業における過労死等防止対策の推進に参考となる調査研究結果
- 労働行政機関等における長時間労働削減等の対策や国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組みを中心とした施策の状況の詳細
- 過労死等防止対策に取り組む民間団体、国、地方公共団体および学校の活動
業界特有の働き過ぎやストレスの要因が浮き彫りに
教職員の調査では、回答者3万5,640人の1日の平均勤務時間は11時間17分でした。残業の理由では、「自分が行わなければならない業務量が多い」との回答が7割弱と最多で、ストレスの要因では、「保護者・PTAへの対応」と答えた人が4割弱いました。
医療では、1,078の病院への調査で、月の残業時間が100時間を超える医師がいる病院が12.3%ありました。
また、ITの調査では、システムトラブルへの緊急対応や厳しい納期を強いられるなど、発注者からの要望が過重労働の主因となっていることがわかりました。
それぞれ、業界特有の働き過ぎや精神的ストレスの要因が浮かび上がったものとなっており、白書では、昨年重点業種として調査した「自動車運転」「外食」を含め、業種ごとの特徴に応じた対策を講じ、過労死などの根絶につなげる必要があるとしています。
今後は、業種の特性に応じた配慮や取組みが一層求められることになるでしょう。
参考リンク
厚生労働省「過労死等防止対策白書」ダウンロードページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html
<出典:日本法令 https://www.horei.co.jp/>
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