11月に労基署の重点監督を含む過重労働解消キャンペーンが実施されます

2020年1月28日

 先日、大手広告代理店での過労うつ自殺がマスコミでも大きく報道されました。このように過重労働による健康障害等の問題は現在でも多く発生しているのが実情です。国としても様々な対策を行っていますが、その一環として11月に、労働基準監督署の重点監督を含む過重労働解消キャンペーンが実施されます。

1.過重労働解消キャンペーンとは

 このキャンペーンは、2014 年11 月施行の「過労死等防止対策推進法」において、11 月は「過労死等防止啓発月間」とされており、過労死等の一つの要因である長時間労働の削減等、過重労働解消に向けた集中的な周知・啓発等の取組として行われています。

2.過重労働解消キャンペーンの実施内容

 キャンペーンの具体的な内容としては以下の内容となります。

  1. 労使の主体的な取組の促進
  2.  使用者団体や労働組合に対し、長時間労働削減に向けた取組に関する周知・啓発などの実施についての協力要請を行い、労使の主体的な取組を促進する。

  3. 労働局長によるベストプラクティス企業への職場訪問の実施
  4.  都道府県労働局長が管内の主要な企業の本社等を訪問し、当該企業の長時間労働削減に向けた積極的な取組事例を収集・紹介する。

  5. 重点監督の実施
  6.  長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等、離職率が極端に高い等、若者の「使い捨て」が疑われる企業等への監督指導を行う。

  7. 電話相談の実施
  8.  「過重労働解消相談ダイヤル」(無料)を全国一斉に実施し、過重労働をはじめとした労働条件全般にわたり、都道府県労働局の担当官が労働者からの相談に対応する。
     実施日時:平成28 年11 月6日(日) 9:00~17:00
     過重労働解消相談ダイヤル:0120-794-713

3.企業に求められる対応

 上記の3. 重点監督の実施については、重点的に、時間外・休日労働が時間外・休日労働に関する協定届(36協定)の範囲内となっているか、賃金不払残業がないかが確認されます。
 そのため、企業としては労働時間を適正に把握した上で、36協定の範囲に収めることが求められます。また過重労働防止の観点から、長時間労働者については医師による面接指導等の実施が義務づけられています。
 これは、時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者に対して実施が義務づけられています。そもそもの時間外・休日労働の削減への対応を行うとともに、仮に長時間労働が見られる場合には、労働者の心身に配慮した対応を確実に実施することが求められています。

 慢性的な長時間労働となっていることも少なくないことから、人員の増員を検討したり、業務の作業方法や分担を見直したりするなど、この機会に具体的な改善策を打っていきましょう。

■参考リンク

厚生労働省 「過重労働解消キャンペーン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign2015.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。