菅野労務FP事務所ブログ

労基署監督指導の割増賃金支払額が過去10年で最高446億円

労基署監督指導により支払われた割増賃金支払額は過去10年で最高の446億円

支払額が1企業合計100万円以上の事案を取りまとめ

 先日、厚生労働省より労働基準監督署の監督指導による賃金不払残業の是正結果(2017年度分)が公表されました。これは、全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、2017年度において不払いであった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案が取りまとめられたものです。

1.是正企業数等の概況

 是正企業数等の概況をまとめると以下のようになっています。

  • 是正企業数:1,870企業(前年度比 521企業の増)
     うち、1,000万円以上支払った企業数は262企業
  • 対象労働者数:205,235人(同 107,257人の増)
  • 支払われた割増賃金の合計額:446億4,195万円(同 319億1,868万円の増)
  • 支払われた割増賃金の平均額:1企業当たり2,387万円、労働者1人当たり22万円

 また過去10年間の状況を見てみると、是正企業数と支払われた割増賃金の合計額ともに最高となり、支払われた割増賃金の合計額はここ数年、100億円から140億円を推移していましたが、今回、大幅に増えています(下図参照)。

労基署監督指導により支払われた割増賃金支払額は過去10年で最高の446億円

2.労働基準監督署の監督指導事例

 労働基準監督署では、監督指導の対象となった企業に対して、定期的にタイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか確認するなど、賃金不払残業をなくすための様々な取組みを行っています。以下では、その監督指導事例を一つとり上げます。

賃金不払残業の状況

  • インターネット上の求人情報等の監視情報を受けて、立入調査を実施。
  • 会社は、自己申告(労働者が始業・終業時刻をパソコンに入力)により労働時間を管理していたが、自己申告の記録とパソコンのログ記録や入退室記録とのかい離が認められ、また、月末になると一定の時間を超えないよう残業を申告しない状況がうかがわれるなど、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。

企業が実施した解消策

  • 会社は、パソコンのログ記録や入退室記録などを基に労働時間の実態調査を行った上で、不払いとなっていた割増賃金を支払った。
  • 賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。
    • (1)会社幹部が出席する会議において、自己申告制の適正な運用について、実際に労働時間を管理する者に説明を行うとともに、その管理者を通じて全労働者に周知した。
    • (2)自己申告とパソコンのログ記録のかい離を自動的に確認できる勤怠管理システムを新たに導入し、月2回、必要な補正を行うようにした。
    • (3)労務管理についての課題と改善策を話し合う労使委員会を年2回開催することとした。

 働き方改革関連法が成立し、2019年4月には労働安全衛生法の省令改正により、原則すべての労働者を対象に労働時間の客観的把握が義務化されます。
 そのため、労働時間の把握において、定期的にタイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか、企業で自主的に点検するなどの取組みが重要になってきます。

参考リンク

厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成29年度)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00831.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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