11月15日に来年の裁判員候補者に対する通知が発送されました

2020年1月28日

 平成21年5月21日より裁判員制度がスタートし、7年以上が経過したこともあり、多くの人が制度そのものは定着してきた印象を持っているかと思います。その一方で、企業では、実際に従業員が裁判員候補者となり裁判所から通知が届いたというケースや、実際に裁判員となるようなケースが初めて発生し、改めて慌てるという状況も出てきているようです。そこで、先月、来年の裁判員候補者に対して通知が発送されましたので、求められる対応などについてとり上げましょう。

1.裁判員制度とは

 そもそもこの裁判員候補者とは、市町村の選挙管理委員会が「くじ」により作成した名簿に基づいて、裁判所ごとに作成された裁判員候補者名簿に登録された者のことを言い、裁判員に選ばれる可能性がある者を指します。
 この裁判員候補者名簿に登録される人数は、予想される裁判員裁判対象事件の数などによって毎年変動しており、平成29年分の名簿に登録される人数は全国で約233,600人、有権者全体に占める割合は約456人に1人と発表されており、今年の約454人に1人よりも若干ですが確率が上がっています。

そして、今回、平成29年1月1日から同年12月31日までの間に対象となる裁判員候補者に対し、平成28年11月15日より通知が発送されています。

2.裁判員候補者となった後の流れと企業に求められる対応

 従業員が裁判員候補者に選ばれた場合、必ずしも裁判員となる訳ではなく、実際に裁判員を選任する必要がでてきた際に、裁判員候補者に「裁判員等選任手続期日のお知らせ」が送付されることになっています。実際、この「裁判員等選任手続期日のお知らせ」を受け取った時点で業務の都合等で裁判員となることが難しいケースが考えられ、このとき、会社にどのように対応したらよいのか相談が寄せられることもあるでしょう。
 これについては、具体的な事件が起訴された後、「裁判員等選任手続期日のお知らせ」に質問票が同封されることになっています。送付された時点で裁判の日程が決まっていることから、その日程を前提とした辞退事由など(事業上の重要な用務で、自分で処理しないと当該業務に著しい損害が生じるおそれがある事情の有無や、重い疾病又は傷害により裁判所に行くことが困難な事情の有無など)を回答することになっており、辞退が認められるかが判断されることになります。そのため、相談があった際には、この質問票を必ず提出するように伝え、辞退が認められなかった場合には上長や現場と調整し、従業員が安心して裁判員として役割が担えるようにすることが求められます。

 企業としては、従業員からこの裁判員に関して相談があった際、スムーズに対応できるよう最高裁判所のホームページに掲載されている裁判員制度Q&Aなどの情報に目を通しておきたいものです。

■参考リンク

最高裁判所「11月15日,裁判員候補者名簿に登録された方に名簿記載通知を発送しました。なお,引き続き,裁判所を騙った不審な電話・郵便・メール等にご注意ください。」

https://www.saibanin.courts.go.jp/topics/13_11_12_meibo_hassou.html
最高裁判所「裁判員制度Q&A」