65歳超の雇用促進を行う際に活用したい助成金

2020年1月27日

65歳超の雇用促進を行う際に活用したい助成金

深刻な人材不足対策に65歳超雇用推進助成金の活用を

 有効求人倍率がバブルのピークを超えるなど、深刻な人材不足の状況を迎え、安定的な人員の確保が急務となっている企業もあるかと思います。そのため、既存の人材に少しでも長く働いてもらえるよう、定年の見直しを検討されている企業もあるのではないでしょうか。

 そこで今回は、その際に活用したい65歳超雇用推進助成金についてとり上げましょう。

1.65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)とは

 65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が意欲と能力のある限り、年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現することを目的として設けられた助成金制度で、65歳超継続雇用促進コース、高年齢者雇用環境整備支援コース、高年齢者無期雇用転換コースという3つのコースから構成されています。

 その中でも、定年の見直しを検討する際に活用できるのが、65歳超継続雇用促進コースです。

 この65歳超継続雇用促進コースは、以下のいずれかの措置を導入した企業に対して助成金を支給するもので、その際に規定の経費がかかり、この措置の適用を受ける60歳以上の雇用保険の被保険者(以下、「被保険者」という)が実際に存在することが要件となっています。

  • (1)65歳以上への定年引上げ
  • (2)定年の定めの廃止
  • (3)希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入

2.助成金の支給額

 支給額は下表1、2のとおりで、ともに白抜き部分が今年度の変更点であり、60歳以上の被保険者数が2人以下であれば支給額が減額、10人以上であれば支給額が増額となりました。
 この60歳以上の被保険者とは、企業に1年以上継続して雇用されている60歳以上の被保険者のことで、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除き、期間の定めのない労働契約を締結する従業員または定年後に継続雇用制度により引き続き雇用されている従業員をいいます。

 なお、定年引上げと継続雇用制度の導入を合わせて実施した場合、いずれか高い額のみの支給となります。

65歳以上への定年引上げ・定年の定めの廃止の場合の支給額

希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度導入の場合の支給額

3.今年度より追加された支給要件

 今年度より支給要件として、高年齢者雇用推進員の選任と高年齢者雇用管理に関する措置の実施が必要となっています。そして、この高年齢者雇用管理に関する措置とは、以下のいずれかの措置になります。

  • (1)職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
  • (2)作業施設・方法の改善
  • (3)健康管理、安全衛生の配慮
  • (4)職域の拡大
  • (5)知識、経験等を活用できる配置、処遇の改善
  • (6)賃金体系の見直し
  • (7)勤務時間制度の弾力化

 この助成金の窓口は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構となっており、定年引上げ等の実施後、2ヶ月以内に支給の申請を行うことになっています。
 活用にあたっては、これらの他、様々な支給要件がありますので、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構もしくは当事務所までお問い合わせください。

参考リンク

厚生労働省「65歳超雇用推進助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139692.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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