「刑務所出所者等就労支援事業」と協力雇用主の支援制度

2020年1月24日

「刑務所出所者等就労支援事業」と協力雇用主に対する支援制度

「刑務所出所者等就労支援事業」の報告書公表

 厚生労働省から、刑務所出所者等に職業相談や職業紹介等を行う「刑務所出所者等就労支援事業」についての報告書(「再出発で、社会とつながる-「刑務所出所者等就労支援事業」におけるハローワークと事業所の取組-」2018年5月15日)が公表されました。

 無職の出所者の再犯率が高いことから、国では、出所者の就労を通じた生活の基盤づくりを進めており、報告書には、当該事業を実施するハローワークおよび雇用に協力する事業所の就労支援の工夫や雇用事例などが盛り込まれています。以下、この報告書について見てみます。

刑務所出所者の就労件数

 平成28年度の就労件数は2,790件(平成27年度は2,675件、平成26年度は2,530件)となっています。

ハローワークの主な取組み

  • 刑務所内の職業相談・職業紹介……出所直後から就労と住居を確保できる寮のある事業所を紹介、事業所との面接時にスーツを貸与 など
  • 出所後の就労支援……保護司、保護観察官等が協力して保護観察対象者を支援、公共職業訓練や農林漁業就職支援を活用した就職
  • 就職面接会の実施、内定通知書の発出で出所へのモチベーションを向上

事業所における雇用の取組み等

  • 採用の方針……「更生への思い」や「戦力になる人材」であることを重視
  • 採用にあたり利用した制度……「出所者等就労奨励金」、「身元保証制度」などの各制度を利用し負担を軽減、トライアル雇用(試行的な雇用)
  • 採用後の対応……所持金が少ない出所直後は給料を日払いで対応、従業員間の金銭貸与等を禁止し、トラブルを防止、自然なコミュニケーションを通じた関係づくり
  • 雇用後の感想……資質や能力を持つ対象者が多く、会社が求める人材を採用することができた、仕事への責任感があり信頼して仕事を任せられる、今後も事業を利用したい

協力雇用主に対する支援制度

  • 協力雇用主に対する刑務所出所者等就労奨励金(法務省)
    保護観察の対象となった人などを雇用し、就労継続に必要な生活指導や助言などを行う協力雇用主に対し、年間最大72万円の奨励金が支払われます。
  • その他、公共工事等の競争入札における優遇制度として、地方自治体の間で公共工事等の競争入札における協力雇用主に対する優遇制度があります。

参考リンク

再出発で、社会とつながる-「刑務所出所者等就労支援事業」におけるハローワークと事業所の取組
https://www.mhlw.go.jp/iken/after-service-20180515/dl/after-service-20180515_houkoku.pdf

<出典:日本法令 https://www.horei.co.jp/>

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