大学卒業後3年以内で会社を辞める人は全体の31.9%

2020年1月28日

 新卒入社に関してはよく七五三と言われます。これは新卒社員の離職率を表したものであり、入社3年以内に、中学新卒者(中卒)は7割、高校新卒者(高卒)は5割、大学新卒者(大卒)は3割が退職するという意味です。今回、この離職率に関する最新のデータが厚生労働省より公表されましたので、このデータをとり上げることにしましょう。

1.高卒・大卒の卒業後3年以内の離職率

 高卒と大卒の離職率をみてみると、高卒の卒業3年以内の離職率は40.9%と前年(40.0%)より0.9ポイント増加し、大学新卒者の卒業3年以内の離職率については31.9%と前年(32.3%)より0.4ポイント減少しました(いずれも平成25年3月卒業者)。高卒は七五三の5割までは達しないものの、大卒より高い割合で離職していることが分かります。

2.事業所規模別の卒業後3年以内の離職率

 次に事業所規模別に見てみると、高卒、大卒共に以下のような離職率となっており、事業所規模が大きくなるにつれ、離職率が低下していることが分かります。その要因は、賃金水準、休日日数、福利厚生面等様々かとは思いますが、新卒の離職者が多いという悩みを抱えている企業においては、大企業で行われている対策を参考にして、できる範囲で実施してみることも重要でしょう。
※( )内は前年比増減

(1)高卒の離職率
 1,000人以上 24.7% (3.1ポイント増)
  500~999人 31.5% (2.0ポイント増)
  100~499人 37.9% (0.9ポイント増)
  30~ 99人 47.7% (0.4ポイント増)
   5~ 29人 57.2% (0.6ポイント減)
   5人未満  64.4% (4.0ポイント減)

(2)大卒の離職率
 1,000人以上 23.6% (0.8ポイント増)
  500~999人 29.2% (0.1ポイント減)
  100~499人 31.9% (0.3ポイント減)
  30~ 99人 38.6% (0.4ポイント減)
   5~ 29人 49.9% (1.6ポイント減)
   5人未満  59.0% (0.6ポイント減)

3.主な産業別の卒業後3年以内の離職率

 離職率を主な産業別に見てみると、業種によって離職率が大きく異なることが分かります。

(1)高卒の離職率
 高卒については離職率の高い産業上位5つが「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「教育、学習支援業」、「小売業」、「不動産業、物品賃貸業」となっており、特に、「宿泊業、飲食サービス業」(66.1%)と「生活関連サービス業、娯楽業」(60.5%)は6割を超える離職率となっています(表1参照)。

(2)大卒の離職率
 大卒については離職率の高い産業上位5つが「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「教育、学習支援業」、「医療、福祉」、「小売業」となっており、このうち、「宿泊業、飲食サービス業」は5割を超える離職率となっています(表2参照)。

 近年、顕著に人材確保が難しくなっている産業や業種が増えており、また今後の労働力人口の減少を考えると、如何に人材の定着を図っていくかが重要になってきます。安定的な事業運営のためにも、職場環境の改善や教育制度の充実など、人材の定着を視点においた施策が求められます。

■参考リンク

厚生労働省 「新規学卒者の離職状況(平成25年3月卒業者の状況)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000140526.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。