平成30年(2018年)の大卒初任給は206,700円
賃金水準は初任給を中心に相場は意識しておきたい
新卒に限らず採用を行う際、求人票やホームページの採用サイトに初任給を記載しますが、賃金面が他社と比べ低いことで、求人の応募がなかったり採用面接の段階で辞退されたりする事例もあります。
就職する企業を選ぶ中で、賃金水準は大きなウェイトを占めることから、初任給を中心にその相場は意識しておきたいところです。
今回は昨年、厚生労働省が公表した「賃金構造基本統計調査(初任給)」の結果をとり上げましょう。
1.平成30年の学歴別初任給
この調査は、10人以上の常用労働者を雇用する民間の事業所を対象に行われたものです。有効回答を得た事業所の中で新規学卒者を採用した15,663事業所のうち、初任給が確定している15,155事業所について集計しています。
学歴別の初任給を見てみると、大学卒の女性を除き前年を上回っています。
また、大学卒の初任給の推移(男女計)を確認すると、下図のとおり、平成26年に20万円を突破し、過去5年連続で前年を上回っている状況があります。
特に採用難が深刻化した平成28年から平成29年にかけて大幅に引き上がり、その後、平成29年から平成30年についても微増していることから、今後の動きを注視しておく必要があります。また高校卒の初任給の推移についても同様の推移となっています。
1) 男女計
- 大学卒 206,700円(対前年比0.3%増)
- 高校卒 165,100円(対前年比1.9%増)
2) 男性
- 大学卒 210,100円(対前年比1.1%増)
- 高校卒 166,600円(対前年比1.5%増)
3) 女性
- 大学卒 202,600円(対前年比0.7%減)
- 高校卒 162,300円(対前年比2.5%増)
2.平成30年の企業規模別初任給
企業規模別で見てみると、企業規模により初任給に違いはあるものの、大学卒では中企業と小企業、高校卒ではすべての企業規模において前年を上回っています。
ここでの企業規模の定義については、常用労働者1,000人以上の企業を大企業、100~999人の企業を中企業、10~99人の企業を小企業としています。
1) 大学卒
- 大企業 210,500円(対前年比0.2%減)
- 中企業 204,200円(対前年比0.8%増)
- 小企業 200,000円(対前年比0.2%増)
2) 高校卒
- 大企業 166,500円(対前年比1.5%増)
- 中企業 164,000円(対前年比2.1%増)
- 小企業 165,200円(対前年比1.8%増)
全体として初任給が前年を上回る状況は、最低賃金の上昇に伴う全体的な賃金水準の引き上げや、人材確保のため、他社より有利な賃金水準とすることなどが背景にあると想像されます。
採用時の賃金水準の参考にするほか、採用予定がない会社も含め、賃金面で既存人材が流出することのないよう、初任給の相場を意識しながら、賃金水準を定期的に確認するとよいでしょう。
参考リンク
厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/18/index.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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