治療と仕事の両立支援を行う際に活用できる助成金

2020年1月21日

治療と仕事の両立支援を行う際に活用できる助成金

働きながら治療できる環境づくりのために

 厚生労働省の調査によれば、治療しながら仕事をしている人は労働人口の3分の1を占めるとされています。
 その一方で、治療のために退職を選択している人も少なからず存在し、働きながら治療ができる環境づくりが課題となっています。

 2017年3月28日に政府が発表した「働き方改革実行計画」では、治療と仕事の両立に向けたトライアングル型支援などの推進が項目のひとつに挙げられ、対応が進められています。
 今回はその一つとして、治療と仕事の両立の支援をする際に活用できる助成金をとり上げます。

1.治療と仕事の両立支援助成金の概要

 治療と仕事の両立の支援をする際に活用できる助成金として、独立行政法人労働者健康安全機構が窓口となっている治療と仕事の両立支援助成金があります。
 この助成金は、制度の導入を支援する「環境整備コース」と実際に活用した場合の「制度活用コース」とに分かれています。
 助成金額はそれぞれ1企業当たり20万円で、1回限りの助成となります。

2.環境整備コース

 環境整備コースとは、両立支援環境整備計画を作成し、この計画に基づいて新たに両立支援制度の導入を行い、かつ、両立支援コーディネーターを配置した場合に、会社が費用の助成を受けることができるというものです。
 助成金が支給されるまでの流れは下図のとおりとなります。

両立支援を行う際に活用できる助成金「環境整備コース」手続きの流れ

 助成金を受け取るためには、両立支援環境整備計画を作成後、独立行政法人労働者健康安全機構の認定を受けておく必要があります(図(2)の部分)。
 この申請のタイミングは、認定両立支援環境整備計画の計画期間(※)の開始日の6ヶ月前の日から1ヶ月前の日の前日までとなっています。
 また、支給申請については両立支援環境整備計画の計画期間の末日の翌日から起算して2ヶ月までとなっています(図(6)の部分)。

(※)両立支援制度を導入する月の初日または両立支援コーディネーターを配置する予定の月の初日のいずれか早いほうの日を起算日とし、1年以内。

3.両立支援制度の要件

 図の(5)の両立支援制度については要件が設けられており、以下のすべての要件を満たす必要があります。

  1. がん等の反復・継続して治療が必要となる傷病を抱える従業員の障害や傷病に応じた治療のための配慮を行う制度であること。
    例えば、時間単位の年次有給休暇、傷病休暇・病気休暇(取得条件や賃金の支払いの有無等の取得中の処遇は問わない)などの休暇制度や、フレックスタイム制度、時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務(テレワーク)、試し出勤制度などの勤務制度など。
  2. 雇用形態を問わず雇用保険一般被保険者に適用される両立支援制度であること。
  3. この制度が実施されるための合理的な条件(両立支援制度を従業員に適用するための要件および基準、手続き等)が就業規則等に明示されていること。

 制度活用コースは、両立支援制度活用計画を作成し、計画に基づき両立支援コーディネーターを活用し、両立支援制度を用いた両立支援プランを策定し、実際に適用した場合に、会社が費用の助成を受けることができる制度です。

助成金要件事前に十分な確認を

 助成金には、さまざまな要件が設けられていますので、活用を検討される場合は事前に目を通しておきましょう。

参考リンク

独立行政法人労働者健康安全機構「令和元年度版産業保健関係助成金」
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1389/Default.aspx

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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