ストレスチェック実施後の対策に活用できる助成金
平成27年12月よりストレスチェック制度がスタートし、従業員数が50人以上の事業場では、その実施が義務付けられました。
今年6月より、このストレスチェックの普及・定着を図るために、ストレス実施後の対策を行う際に活用できる職場環境改善計画助成金が創設されました。そこで今回は、この助成金についてとりあげましょう。
1.職場環境改善計画助成金とは
この助成金は、従業員規模に関わらず、ストレスチェック実施後に集団分析を実施している事業主が対象となっています。この助成金にはAコースとBコースがあり、まずAコースについては事業主がストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえ、専門家による指導に基づき職場環境改善計画を作成し、その計画に基づいて職場環境の改善を実施した場合に負担した指導費用および機器・設備購入費用の助成を受けることができるものになります。
この専門家とは産業医、医師、保健師、看護師、精神保健福祉士、産業カウンセラー・臨床心理士等心理職、労働衛生コンサルタント、社会保険労務士です。
次にBコースは、事業主が各都道府県にある産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき、ストレスチェック実施後の集団分析結果をふまえて職場環境改善計画書を作成し、計画に基づき職場環境の改善を実施した場合に負担した機器・設備購入費用の助成を受けることができるものになります。助成の対象は、産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言・支援は無料のため、機器・設備購入費のみとなります。
2.助成額
助成額は以下のようになっています。
[Aコース] 1事業場当たり10万円が上限 機器・設備購入費は5万円(税込み)を上限とし、かつ単価5万円(税込み)以内
[Bコース] 5万円(税込み)を上限とし、かつ単価5万円(税込み)以内 なお、Aコース・Bコース合わせて将来にわたり1回限りです。
3.受給の流れ
Aコースの受給の流れは以下のようになります。
- ストレスチェックの結果を一定の規模の集団ごとに集計・分析する。
- 専門家と職場環境改善計画の作成にかかる指導契約を締結する。
- 専門家からの職場環境の評価、改善すべき事項をふまえ、職場環境改善計画を作成する。
- その職場環境改善計画に基づいて労働時間や勤務体系、作業方法や職場組織、職場の物理化学的環境の改善、健康相談窓口の設置等を実施する。
- 必要な書類を添えて、労働者健康安全機構へ助成金の支給申請を行う。
なおBコースについては、2.の専門家との指導契約はなく、メンタルヘルス対策促進員から助言・支援を受けることになっています。
4.申請期間
実施対象期間は平成29年4月1日から平成30年3月31日までとされ、申請は平成29年6月1日から開始されています。ただし、申請期間中でも受付終了とされることがあるため、助成金の申請を行う場合には、早めの対応をお勧めします。
今回の助成金のほか、産業保健関係助成金には、心の健康づくり計画助成金、労働者数50人未満の事業場を対象としたストレスチェック助成金や小規模事業場産業医活動助成金が設けられています。従業員の心の健康づくりに向けて助成金を活用できないか、情報をチェックしておきたいものです。
なお、この助成金は、厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として独立法人労働者健康安全機構が実施しています。ご不明点は当事務所または独立法人労働者健康安全機構までお問い合わせください。
■参考リンク
独立法人労働者健康安全機構「産業保健関係助成金」
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1151/Default.aspx
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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