ついに1000円突破、2023年最低賃金の大幅な引上げ

2023年10月12日

ついに1000円突破し2023年大幅な引き上げの最低賃金

最低賃金、全国平均1,004円に引き上げ 過去最大43円増

 中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は令和5年7月28日、最低賃金(時給)を全国加重平均で41円(4.3%)引き上げて1,002円とする目安をまとめました。過去最大の引き上げ額となり、政府目標でもある1,000円を超えました。

 物価が高騰するなか、実質的な賃金水準を維持するため、物価上昇率を上回る引き上げが必要だと判断したそうです。

令和5年(2023年)度の地域別最低賃金

※R5.8.31厚労省発表の決定額です。中央最低賃金審議会の案段階では1,002円でした。
※決定額ではありません。中央最低賃金審議会の案段階です。
(※発効日は令和4年のものを記載)

都道府県名 答申最低賃金
時間額※1【円】
引上げ額【円】 発効予定年月日
北海道 960 40 10月1日
青森 898 47 10月7日
岩手 893 39 10月4日
宮城 923 40 10月1日
秋田 897 44 10月1日
山形 900 46 10月14日
福島 900 42 10月1日
茨城 953 42 10月1日
栃木 954 41 10月1日
群馬 935 40 10月5日
埼玉 1,028 41 10月1日
千葉 1,026 42 10月1日
東京 1,113 41 10月1日
神奈川 1,112 41 10月1日
新潟 931 41 10月1日
富山 948 40 10月1日
石川 933 42 10月8日
福井 931 43 10月1日
山梨 938 40 10月1日
長野 948 40 10月1日
岐阜 950 40 10月1日
静岡 984 40 10月1日
愛知 1,027 41 10月1日
三重 973 40 10月1日
滋賀 967 40 10月1日
京都 1,008 40 10月6日
大阪 1,064 41 10月1日
兵庫 1,001 41 10月1日
奈良 936 40 10月1日
和歌山 929 40 10月1日
鳥取 900 46 10月5日
島根 904 47 10月6日
岡山 932 40 10月1日
広島 970 40 10月1日
山口 928 40 10月1日
徳島 896 41 10月1日
香川 918 40 10月1日
愛媛 897 44 10月6日
高知 897 44 10月8日
福岡 941 41 10月6日
佐賀 900 47 10月14日
長崎 898 45 10月13日
熊本 898 45 10月8日
大分 899 45 10月6日
宮崎 897 44 10月6日
鹿児島 897 44 10月6日
沖縄 896 43 10月8日
全国加重平均額 1,004 43

ついに1000円突破、2023年大幅な引き上げの最低賃金はやばい

最低賃金決定の3要素

 最低賃金を決める際は、「労働者の生計費」「一般的な賃金水準」「企業の支払い能力」という3要素を考慮することが定められています。

 労働者側が重視すべきだと訴えたのは「生計費」です。物価高で生計費がかさんでいるとして、引き上げ額として求めたのが「47円」でした。47円は物価上昇分をカバーできる水準というのが根拠だそうです。

 一方、使用者側は「企業の支払い能力」を重視すべきだと主張しています。厚労省の調査では、最低賃金水準で働く人が多い従業員30人未満の企業の今年の賃金上昇率は2.1%です。26年ぶりの高さになったが、大企業中心の春闘に比べると低くなっています。

 両者の主張を聞いて目安額を示した公益委員(学識者)は「3要素のうち、特に生計費を重視した」と説明しています。一方で「中小企業の賃金支払い能力は厳しい」として、政府に対し、賃上げして生産性の向上に取り組んだ企業に支給される助成金の拡充や、価格転嫁対策の強化を求めています。

引き上げ額の目安

 引き上げ額の目安は47都道府県を経済情勢に応じて分けた三つのランクごとに示され、今回は41~39円となっています。これを参考に各都道府県が金額を決め、秋に改定されます。現在は最も高い東京都が1,072円、最も低い10県が853円です。

 全国加重平均の最低賃金は現在961円。コロナ禍の影響を強く受けた2020年を除き、近年は3%程度の引き上げが続いています。

参考リンク

【2023年】最低賃金の引上げが中小企業に与える影響と対策 | 労働問題.com

厚生労働省:令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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