ついに1000円突破、2023年最低賃金の大幅な引上げ
最低賃金、全国平均1,002円に引き上げか 過去最大41円増
中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は令和5年7月28日、最低賃金(時給)を全国加重平均で41円(4.3%)引き上げて1,002円とする目安をまとめました。過去最大の引き上げ額となり、政府目標でもある1,000円を超えました。
物価が高騰するなか、実質的な賃金水準を維持するため、物価上昇率を上回る引き上げが必要だと判断したそうです。
令和5年(2023年)度の地域別最低賃金
※1 まだ決定ではありません。中央最低賃金審議会の案段階です。
(※発効日は令和4年のものを記載)
都道府県名 | 答申最低賃金 時間額※1【円】 |
引上げ額【円】 | 発効予定年月日 |
北海道 | 960 | 40 | 10月1日 |
青森 | 892 | 39 | 10月1日 |
岩手 | 893 | 39 | 10月1日 |
宮城 | 923 | 40 | 10月1日 |
秋田 | 892 | 39 | 10月1日 |
山形 | 893 | 39 | 10月1日 |
福島 | 898 | 40 | 10月9日 |
茨城 | 951 | 40 | 10月1日 |
栃木 | 953 | 40 | 10月5日 |
群馬 | 935 | 40 | 10月1日 |
埼玉 | 1,028 | 41 | 10月1日 |
千葉 | 1,025 | 41 | 10月6日 |
東京 | 1,113 | 41 | 10月2日 |
神奈川 | 1,112 | 41 | 10月1日 |
新潟 | 930 | 40 | 10月1日 |
富山 | 948 | 40 | 10月1日 |
石川 | 931 | 40 | 10月1日 |
福井 | 928 | 40 | 10月1日 |
山梨 | 938 | 40 | 10月8日 |
長野 | 948 | 40 | 10月20日 |
岐阜 | 950 | 40 | 10月1日 |
静岡 | 984 | 40 | 10月8日 |
愛知 | 1,027 | 41 | 10月1日 |
三重 | 973 | 40 | 10月8日 |
滋賀 | 967 | 40 | 10月1日 |
京都 | 1,008 | 40 | 10月1日 |
大阪 | 1,064 | 41 | 10月2日 |
兵庫 | 1,000 | 40 | 10月13日 |
奈良 | 936 | 40 | 10月1日 |
和歌山 | 929 | 40 | 10月1日 |
鳥取 | 893 | 39 | 10月6日 |
島根 | 897 | 40 | 10月5日 |
岡山 | 932 | 40 | 10月6日 |
広島 | 970 | 40 | 10月5日 |
山口 | 928 | 40 | 10月20日 |
徳島 | 895 | 40 | 10月6日 |
香川 | 918 | 40 | 10月6日 |
愛媛 | 893 | 40 | 10月5日 |
高知 | 892 | 39 | 10月5日 |
福岡 | 940 | 40 | 10月1日 |
佐賀 | 892 | 39 | 10月9日 |
長崎 | 892 | 39 | 10月2日 |
熊本 | 892 | 39 | 10月8日 |
大分 | 893 | 39 | 10月1日 |
宮崎 | 892 | 39 | 10月6日 |
鹿児島 | 892 | 39 | 10月6日 |
沖縄 | 892 | 39 | 10月6日 |
全国加重平均額 | 1,002 | 41 |
最低賃金決定の3要素
最低賃金を決める際は、「労働者の生計費」「一般的な賃金水準」「企業の支払い能力」という3要素を考慮することが定められています。
労働者側が重視すべきだと訴えたのは「生計費」です。物価高で生計費がかさんでいるとして、引き上げ額として求めたのが「47円」でした。47円は物価上昇分をカバーできる水準というのが根拠だそうです。
一方、使用者側は「企業の支払い能力」を重視すべきだと主張しています。厚労省の調査では、最低賃金水準で働く人が多い従業員30人未満の企業の今年の賃金上昇率は2.1%です。26年ぶりの高さになったが、大企業中心の春闘に比べると低くなっています。
両者の主張を聞いて目安額を示した公益委員(学識者)は「3要素のうち、特に生計費を重視した」と説明しています。一方で「中小企業の賃金支払い能力は厳しい」として、政府に対し、賃上げして生産性の向上に取り組んだ企業に支給される助成金の拡充や、価格転嫁対策の強化を求めています。
引き上げ額の目安
引き上げ額の目安は47都道府県を経済情勢に応じて分けた三つのランクごとに示され、今回は41~39円となっています。これを参考に各都道府県が金額を決め、秋に改定されます。現在は最も高い東京都が1,072円、最も低い10県が853円です。
全国加重平均の最低賃金は現在961円。コロナ禍の影響を強く受けた2020年を除き、近年は3%程度の引き上げが続いています。
参考リンク
【2023年】最低賃金の引上げが中小企業に与える影響と対策 | 労働問題.com
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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