障害者雇用 雇用人数・実雇用率ともに過去最高を更新

2020年1月28日

 昨年4月より障害者雇用納付金制度の申告対象範囲が、常時雇用労働者数100人超の事業主に拡大され、障害者雇用に対する関心がより一層高まっています。この納付金制度など、国による様々な障害者雇用対策により、民間企業の障害者雇用は大きく進んできています。そこで今回は今月、厚生労働省が発表した「平成28年障害者雇用状況の集計結果」の内容についてとり上げましょう。

1.法定雇用率達成企業の割合等

 現在、民間企業の障害者の法定雇用率は2.0%となっており、常時雇用労働者50人以上の企業においては1人以上の障害者を雇用することが求められています。実際に、その対象企業で雇用されている障害者の数としては474,374.0人で、前年より21,240.5人増加しています。この障害者の内訳は以下のようになっており、特に精神障害者の伸びが大きくなっています。

身体障害者 327,600.0人(対前年比2.1%増)
知的障害者 104,746.0人(同7.2%増)
精神障害者 42,028.0人(同21.3%増)

 実雇用率については前年の1.88%から1.92%へと伸び、法定雇用率を達成している企業の割合についても48.8%と、前年の47.2%から1.6%上昇するという結果になりました。

 産業別に見てみると、雇用されている障害者の数は、「鉱業、採石業、砂利採取業」と「学術研究、専門・技術サービス業」以外のすべての業種で前年よりも増加しています。また主な産業別に実雇用率と法定雇用率達成企業の割合を見てみると下表のとおりとなっています。この中で「医療、福祉」、「生活関連サービス業、娯楽業」において法定雇用率を上回っており、業種によって法定雇用率達成企業の割合が大きく異なっていることが読み取れます。

表 主な産業別の実雇用率と法定雇用率達成企業の割合

2.法定雇用率未達成企業の状況

 法定雇用率未達成企業の数は、全体で45,790社となっています。また、この未達成企業のうち、障害者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)の割合は58.9%で、企業規模別に見てみると以下のようになっています。300人未満の企業を中心に、障害者を1人も雇用できていない状況が見受けられます。

【障害者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)の割合】
50人以上100人未満   96.1%
100人以上300人未満  35.9%
300人以上500人未満  1.5%
500人以上1,000人未満 0.3%
1,000人以上        0.0%

 

 2018年4月1日からは精神障害者も法定雇用率の算定対象となることが決定しており、法定雇用率の引上げが見込まれることから、企業としては障害者雇用に向けて早めにアクションをとっておくことが望まれます。

■参考リンク

厚生労働省「平成28年障害者雇用状況の集計結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000145259.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。