菅野労務FP事務所ブログ

改正高年齢者雇用安定法

 平成17年4月改訂になった「改正高年齢者雇用安定法」 (高年齢者雇用確保措置関係)をQ&A方式で解説します。

以下継続雇用制度のQ&A

Q1:  平成18年4月1日以降当分の間、60歳に達する労働者がいない場合でも、継続雇用制度の導入等を行わなければならないのでしょうか。
Q2:  継続雇用制度を導入していなければ、平成18年4月1日以降の60歳定年による退職は無効となるのですか。
Q3:  継続雇用制度について、定年退職者を再雇用するにあたり、いわゆる嘱託やパートなど、従来の労働条件を変更する形で雇用することは可能ですか。その場合、1年ごとに雇用契約を更新する形態でもいいのでしょうか。
Q4-1:  継続雇用を希望する者について、定年後、子会社やグループ会社へ出向させ、出向先において65歳までの雇用が確保されていれば、親会社として高年齢者雇用確保措置を講じたものと見なしてよいのですか。
Q4-2:  継続雇用を希望する者について、定年後は子会社で派遣労働者として継続雇用されるという制度を導入した場合は、継続雇用制度を導入したということでよいのでしょうか。
Q5:  55歳の時点で、それまでと同等の労働条件で60歳定年で辞めるか、労働条件を変更して65歳まで継続して働くか選択するという制度を導入した場合、継続雇用制度を導入したということでよいのでしょうか。
Q6:  継続雇用制度により、再雇用等する場合、定年退職日から1日の空白があってもだめなのでしょうか。
Q7:  高年齢者雇用確保措置が講じられていない企業については、企業名の公表などは行われるのでしょうか。
Q8:  本人と事業主の間で賃金と労働時間の条件が合意できず、再雇用を拒否した場合も違反になるのですか。
Q9:  有期雇用契約者に関して、就業規則等に60歳定年の規定あるいは一定の年齢(60歳)に達した日以後は契約の更新をしない旨の定めをしている事業主は、平成18年4月以降は、有期雇用契約者を対象とした継続雇用制度の導入等を行わなければ、改正高年齢者雇用安定法第9条違反となるのですか。
Q10:  平成18年3月31日以前に60歳定年で退職となった者を、その後、1年契約で再雇用した場合、改正高年齢者雇用安定法施行時には、この者は61歳となっていますが、その場合は、この者も対象とする制度を導入しなければ、改正高年齢者雇用安定法違反となるのですか。
Q11:  60歳の誕生日で定年としている企業において、平成18年4月1日からは62歳までの、平成19年4月1日からは63歳までの高年齢者雇用確保措置を講じることとした場合、平成18年4月1日から平成19年3月31日までに60歳の誕生日で定年退職する者については、62歳までの高年齢者雇用確保措置の対象となるのでしょうか。それとも63歳までの高年齢者雇用確保措置の対象となるのでしょうか。
Q12:  高年齢者雇用確保措置の義務化の年齢について、年金の支給開始年齢の引上げスケジュールにあわせ、平成25年4月までに段階的に引き上げることとされていますが、年金の支給開始年齢の引上げスケジュールは男女で異なっています(女性は5年遅れ)。義務化の年齢も男女で異なることになるのでしょうか。

継続雇用制度の回答部分

Q1:  平成18年4月1日以降当分の間、60歳に達する労働者がいない場合でも、継続雇用制度の導入等を行わなければならないのでしょうか。

A:  改正高年齢者雇用安定法においては、事業主に定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の制度導入を義務付けているものであるため、当分の間、60歳以上の労働者が生じない企業であっても、平成18年4月1日以降、65歳(男性の年金支給開始年齢に合わせ男女とも同一の年齢)までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置を講じていなければなりません。

トップへ戻る


Q2:  継続雇用制度を導入していなければ、平成18年4月1日以降の60歳定年による退職は無効となるのですか。

A:  改正高年齢者雇用安定法においては、事業主に定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の制度導入を義務付けているものであり、個別の労働者の65歳までの雇用義務を課すものではありません。
 したがって、継続雇用制度を導入していない60歳定年制の企業において、平成18年4月1日以降に定年を理由として60歳で退職させたとしても、それが直ちに無効となるものではないと考えられますが、適切な継続雇用制度の導入等がなされていない事実を把握した場合には、改正高年齢者雇用安定法違反となりますので、公共職業安定所を通じて実態を調査し、必要に応じて、助言、指導、勧告が行われることになります。

トップへ戻る


Q3:  継続雇用制度について、定年退職者を再雇用するにあたり、いわゆる嘱託やパートなど、従来の労働条件を変更する形で雇用することは可能ですか。その場合、1年ごとに雇用契約を更新する形態でもいいのでしょうか。

A:  継続雇用後の労働条件については、高年齢者の安定した雇用を確保するという改正高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金などの雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関して、事業主と労働者の間で決めることができます。
 1年ごとに雇用契約を更新する形態については、改正高年齢者雇用安定法の趣旨にかんがみれば、年齢のみを理由として65歳前に雇用を終了させるような制度は適当ではないと考えられます。
 したがって、この場合は、

 65歳(男性の年金支給開始年齢に合わせ男女とも同一の年齢)を下回る上限年齢が設定されていないこと
 65歳(男性の年金支給開始年齢に合わせ男女とも同一の年齢)までは、原則として契約が更新されること(ただし、能力など年齢以外を理由として契約を更新しないことは認められます。)

が必要であると考えられますが、個別の事例に応じて具体的に判断されることとなります。

トップへ戻る


Q4-1:  継続雇用を希望する者について、定年後、子会社やグループ会社へ出向させ、出向先において65歳までの雇用が確保されていれば、親会社として高年齢者雇用確保措置を講じたものと見なしてよいのですか。

A:  改正高年齢者雇用安定法第9条の継続雇用制度については、定年まで高年齢者が雇用されていた企業での継続雇用制度の導入を求めているものですが、定年まで高年齢者が雇用されていた企業以外の企業であっても、両者一体として一つの企業と考えられる場合であって、65歳まで安定した雇用が確保されると認められる場合には、改正高年齢者雇用安定法第9条が求める継続雇用制度に含まれるものであると解釈できます。
 具体的には、定年まで雇用されていた企業と、継続雇用する企業との関係について、次の1及び2の要件を総合的に勘案して判断することとなります。

 会社との間に密接な関係があること(緊密性)
 具体的には、親会社が子会社に対して明確な支配力(例えば、連結子会社)を有し、親子会社間で採用、配転等の人事管理を行っていること。
 子会社において継続雇用を行うことが担保されていること(明確性)
 具体的には、親会社においては、定年退職後子会社において継続雇用する旨の、子会社においては、親会社を定年退職した者を受け入れ継続雇用する旨の労働協約を締結している又はそのような労働慣行が成立していると認められること。

トップへ戻る


Q4-2:  継続雇用を希望する者について、定年後は子会社で派遣労働者として継続雇用されるという制度を導入した場合は、継続雇用制度を導入したということでよいのでしょうか。

A:  改正高年齢者雇用安定法第9条の継続雇用制度については、定年まで高年齢者が雇用されていた企業での継続雇用制度の導入を求めているものですが、定年まで高年齢者が雇用されていた企業以外の企業であっても、両者一体として一つの企業と考えられる場合であって、65歳まで安定した雇用が確保されると認められる場合には、改正高年齢者雇用安定法第9条が求める継続雇用制度に含まれるものであると解釈できます。
 具体的には、定年まで雇用されていた企業と、継続雇用する企業との関係について、次の1及び2の要件を総合的に勘案して判断することとなります。

 会社との間に密接な関係があること(緊密性)
 具体的には、親会社が子会社に対して明確な支配力(例えば、連結子会社)を有し、親子会社間で採用、配転等の人事管理を行っていること。
 子会社において継続雇用を行うことが担保されていること(明確性)
 具体的には、親会社においては、定年退職後子会社において継続雇用する旨の、子会社においては、親会社を定年退職した者を受け入れ継続雇用する旨の労働協約を締結している又はそのような労働慣行が成立していると認められること。

 また、その子会社が派遣会社である場合は、継続雇用される労働者について、「常時雇用される」ことが認められることが必要であると考えられます(派遣先がどこかは問いません。)。
 具体的には、次のいずれかに該当する限り「常時雇用される」に該当すると判断されます。

 期間の定めなく雇用されている者
 一定の期間(例えば、2か月、6か月等)を定めて雇用される者であって、その雇用期間が反復継続されて事実上1と同等と認められる者。すなわち、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用(再雇用)の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者
 日々雇用される者であって、雇用契約が日々更新されて事実上1と同等と認められる者。すなわち、2の場合と同じく、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用(再雇用)の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者

 なお、雇用保険の被保険者とは判断されないパートタイム労働者であっても、1から3までのいずれかに該当すれば「常時雇用される」と判断されます。

トップへ戻る


Q5:  55歳の時点で、それまでと同等の労働条件で60歳定年で辞めるか、労働条件を変更して65歳まで継続して働くか選択するという制度を導入した場合、継続雇用制度を導入したということでよいのでしょうか。

A:  高年齢者が希望すれば、65歳まで安定した雇用が確保される仕組みであれば、継続雇用制度を導入していると解釈されるので差し支え
ないでしょう。

トップへ戻る


Q6:  継続雇用制度により、再雇用等する場合、定年退職日から1日の空白があってもだめなのでしょうか。
A:  継続雇用制度は、定年後も引き続き雇用する制度ですが、雇用管理の事務手続上等の必要性から、定年の翌日から雇用する制度となっていないことをもって、直ちに法に違反するとまではいえないと考えており、「継続雇用制度」として取り扱うことは差し支えありません。ただし、定年後相当期間をおいて再雇用する場合には、「継続雇用制度」といえない場合もあります。

トップへ戻る


Q7:  高年齢者雇用確保措置が講じられていない企業については、企業名の公表などは行われるのでしょうか。

A:  改正高年齢者雇用安定法においては、制裁的な公表措置はありませんが、情報公開法に基づく情報公開請求があった場合は、その具体的内容にもよりますが、資料が存在する場合には、企業名が公開されることもありうると考えています。

トップへ戻る


Q8:  本人と事業主の間で賃金と労働時間の条件が合意できず、再雇用を拒否した場合も違反になるのですか。
A:  改正高年齢者雇用安定法が求めているのは、継続雇用制度の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が再雇用されることを拒否したとしても、改正高年齢者雇用安定法違反となるものではありません。
 ただし、平成25年3月31日までは、その雇用する高年齢者等が定年、継続雇用制度終了による退職等により離職する場合であって、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、事業主は、再就職援助の措置を講ずるよう努めることとされておりますので、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、事業主は、求人の開拓など再就職の援助を行ってください。

トップへ戻る


Q9:  有期雇用契約者に関して、就業規則等に60歳定年の規定あるいは一定の年齢(60歳)に達した日以後は契約の更新をしない旨の定めをしている事業主は、平成18年4月以降は、有期雇用契約者を対象とした継続雇用制度の導入等を行わなければ、改正高年齢者雇用安定法第9条違反となるのですか。

A:  改正高年齢者雇用安定法第9条は、主として期間の定めのない労働者に対する継続雇用制度の導入等を求めているため、有期雇用契約のように、本来、年齢とは関係なく、一定の期間の経過により契約終了となるものは、別の問題であると考えられます。
 ただし、有期雇用契約者に関して、就業規則等に一定の年齢に達した日以後は契約の更新をしない旨の定めをしている場合は、有期雇用契約であっても反復継続して契約を更新することが前提となっていることが多いと考えられ、反復継続して契約の更新がなされているときには、期間の定めのない雇用とみなされ、定年の定めをしているものと解されることがあります。その場合には、65歳(男性の年金支給開始年齢に合わせ男女とも同一の年齢)を下回る年齢に達した日以後は契約しない旨の定めは、改正高年齢者雇用安定法第9条違反であると解されます。
 したがって、有期雇用契約者に対する雇い止めの年齢についても、改正高年齢者雇用安定法第9条の趣旨を踏まえ、段階的に引き上げていくことなど、高年齢者雇用確保措置を講じていくことが望ましいと考えられます。

トップへ戻る


Q10:  平成18年3月31日以前に60歳定年で退職となった者を、その後、1年契約で再雇用した場合、改正高年齢者雇用安定法施行時には、この者は61歳となっていますが、その場合は、この者も対象とする制度を導入しなければ、改正高年齢者雇用安定法違反となるのですか。

A:  改正高年齢者雇用安定法第9条は、定年の対象となり離職することとなる高年齢者を対象とした継続雇用制度の導入等の措置を平成18年4月1日以降講ずることを義務付けているものであることから、平成18年4月1日前に定年に達した者を対象としないことは改正高年齢者雇用安定法違反とはいえません。

トップへ戻る


Q11:  60歳の誕生日で定年としている企業において、平成18年4月1日からは62歳までの、平成19年4月1日からは63歳までの高年齢者雇用確保措置を講じることとした場合、平成18年4月1日から平成19年3月31日までに60歳の誕生日で定年退職する者については、62歳までの高年齢者雇用確保措置の対象となるのでしょうか。それとも63歳までの高年齢者雇用確保措置の対象となるのでしょうか。

A:  平成18年4月1日から平成19年3月31日までに60歳の誕生日で定年退職する者については、62歳までの高年齢者雇用確保措置の対象となりますが、平成19年4月1日以降も引き続き雇用されていれば、当然、63歳までの高年齢者雇用確保措置の対象となります。

(参考)
 高年齢者雇用確保措置の実施義務化の対象年齢は、以下のとおり、年金(定額部分)の支給開始年齢の引上げスケジュールにあわせ、平成25年4月1日までに段階的に引き上げていくこととしています。

平成18年4月1日~平成19年3月31日  :62歳
平成19年4月1日~平成22年3月31日  :63歳
平成22年4月1日~平成25年3月31日  :64歳
平成25年4月1日以降  :65歳

トップへ戻る


Q12:  高年齢者雇用確保措置の義務化の年齢について、年金の支給開始年齢の引上げスケジュールにあわせ、平成25年4月までに段階的に引き上げることとされていますが、年金の支給開始年齢の引上げスケジュールは男女で異なっています(女性は5年遅れ)。義務化の年齢も男女で異なることになるのでしょうか。

A:  高年齢者雇用確保措置の義務化の対象年齢は、「男性」の年金(定額部分)の支給開始年齢の引上げスケジュールにあわせ、平成25年4月までに段階的に引き上げることとしています。
 御指摘のとおり、年金の支給開始年齢の引上げスケジュールは男女で異なってはいますが、高年齢者雇用確保措置の義務化の対象年齢については男女で異なるものではなく、同一となっています。
 なお、男女別の定年を定めることや継続雇用制度の対象を男性のみとするなど、労働者が女性であることを理由として男性と異なる取扱いをすることは、男女雇用機会均等法において禁止されています。

人事・賃金・退職金・労務コンサルはおまかせください。

菅野労務FP事務所へのお問い合わせは

0299-56-4865まで

Return Top