緊急事態宣言下でも休業手当は支給する必要あり

2020年4月20日

緊急事態宣言下でも休業手当は支給する必要あり

緊急事態宣言が出れば休業手当が支給されないのか

 安倍総理の緊急事態宣言をうけて、感染拡大防止のため、事業者へ営業自粛などが要請されたことが引き金となって、休業手当に関する労働相談がとても多くなっています。

 その中で、いくつかのお客さまから、政府の緊急事態宣をうけて営業停止するので、休業手当は支払う必要が無いのではないか、というものです。

 緊急事態宣言がでても、法解釈論として休業手当は支払われねばならないという声は多数です。一方で、会社の責では無いので、休業手当の支給義務は無いという声も相当数あります。

法解釈はともかく、休業手当を支給して欲しい

 今回は「雇用調整助成金特例拡充」も用意されていますし、休業することが人との接触頻度を低くして、皆の安全を守るという意義がありますので、法解釈はともかくとして、休業手当を支給してあげて欲しいと願います。

 特例の雇用調整助成金でも最大90%保障なので、最低でも10%は事業者が持つしかありません。
 というか、賃金の高い会社にあっては、一人一日あたりの最高額が8,330円なので、当方の試算だと、20%~30%は事業者負担になるかも知れません。
 全休業を余儀なくされてしまった事業者にとっては、あまりに痛すぎる出費なのも理解できます。

 しかし今回の未曽有の危機については、皆で痛みを分け合って忍しかないと思います。
 この微妙な試算は、当方では用意できておりますが、マンパワー不足だけに今のお客さまに限って細やかな試算を提供しています。

労働者・使用者のいずれかが拡大防止負担を背負い込むのはNG

 コロナウイルスのまん延感染拡大防止に協力する事業者・労働者に対して、政府が迅速に補償をすべきとの声は圧倒的多数です。
 新型コロナウイルスまん延拡大を防ぎ、従業員のみならず事業者も含め、まん延拡大防止策によるダメージを最小化できるのかは大きなテーマです。

 労働者・使用者のいずれかが、新型コロナまん延拡大防止の負担を背負い込むような政策は、結果としてまん延防止の効果も低くなり、経済的なダメージも大きくなる可能性があります。よってNGです。

 労働者も使用者も、安心してまん延拡大防止に協力するためには、経済的な補償が不可欠で、十分な政府の補償が必要なのはテレビでもずっと討論されています。

休業手当に関する厚生労働省見解の流布

 東京新聞社が「ライブハウスや映画館などが営業停止した場合の社員への休業手当について、厚生労働省は2020年4月2日、本紙の取材に「休業手当の支払い義務の対象にならない」との見解を明らかにした」との記事を掲載したことが、休業手当が支給されないという説が拡がった発端と捉えられます。

 結論からいえば、緊急事態宣言によって休業手当(6割)が支給されないといえるケースは殆ど存在しないと考えられています。

 この点、既に国会の質疑でも、加藤厚労大臣が以下の通り、「一律に休業手当の支払い義務がなくなるものではない」と先の報道内容を明確に否定しました。

 加藤厚生労働大臣によると、
 使用者が休業手当の支払い義務を免れるのは、従業員を不可抗力で休ませるしかない場合で、1その原因が事業の外部により発生したものであるか、2事業主が通常の経営者として最大限の注意を尽くしてもなお避けることができない事態によるものか――について、総合的に判断することになる。
 たとえ緊急事態宣言が出されても、「自宅勤務などで労働者を業務に従事させることが可能かや、労働者に他につかせる業務がないのかなどから総合的に判断される」(加藤厚労相)
 ということです。

 現実には「一律に線を引くことはできない」(厚労省の担当者)ため、厚労省は近く、緊急事態宣言をうけての休業手当についての詳しいQ&Aを作成する方針とされています。

 この行政解釈にて、「一律に休業手当の支払い義務がなくなるものではない」ことは明らかとされました。
 とはいえ、具体的に休業手当が支給されるのか否か、不安な方も多いと察します。

雇用調整助成金の申請実務を通じて労務管理整備を

 確かに雇用調整助成金の申請実務はややこしいところがあるのですが、それは労働法で要求されることをきちんとやっていれば、何ら困難なことではないのです。
 労務管理をおざなりにしてしまった、経営者・使用者サイドの不備でもあります。
 よって、休業させて時間があるようであれば、ぜひとも助成金の申請実務を通じて、労務管理を整然とさせることに時間を費やすようにされたら良いかと考えます。

 当該の話題に関しましては、以下の参考リンク先に詳しいので参照ください。

参考リンク

緊急事態宣言でも、休業手当は支給されねばなりません
嶋崎量 | 弁護士(日本労働弁護団常任幹事) 2020/4/9(木) 3:41
https://news.yahoo.co.jp/byline/shimasakichikara/20200409-00172216/

東京新聞「<新型コロナ>緊急事態の業務停止 休業手当の義務、対象外 厚労省見解」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/202004/CK2020040302000154.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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