定年を65歳以上としている企業の割合は全体の16.0%

2020年1月28日

 人材採用難の中、今後の人材確保策のひとつとして高年齢者の活用を検討されている企業も多いのではないでしょうか。これに関連するものとして、先月、厚生労働省より平成28年の高年齢者の雇用状況の集計結果が公表されました。そこで今回は、今後の高年齢者の雇用確保の参考になる調査結果を確認しておきましょう。

1.高年齢者雇用確保措置の実施状況

 そもそも高年齢者雇用安定法では、高年齢者雇用確保措置として企業に定年制の廃止、定年の引上げ、継続雇用制度の導入のいずれかの措置を講じるよう義務付けています。この高年齢者雇用確保措置の導入状況を見ると、定年制の廃止が2.7%、定年の引上げが16.1%、継続雇用制度の導入が81.3%となっており、継続雇用制度により雇用確保措置をとっている企業が大半を占めています。

2.希望者全員が65歳以上まで働くことのできる企業の状況

 上記のような状況がある中で、希望者全員が65歳以上まで働くことのできる企業の割合は74.1%となっており、企業規模別では中小企業が76.5%、大企業が53.8%となっています。このことから、中小企業では大企業よりも65歳まで働くことのできる仕組みの導入が進んでいることが読み取れます。

 また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の具体的な措置は、下図のとおりです。希望者全員65歳以上の雇用継続制度を導入している割合が高くなっていますが、定年を65歳以上としている割合も全体で16.0%となっています。

 また、この定年を65歳以上としている企業(16.0%)の内訳を見てみると、65歳定年が14.9%、66~69歳定年が0.1%、70歳以上定年が1.0%となっています。定年の年齢を70歳以上としている企業も見受けられますが、全体的には65歳としている企業が多くを占めています。

3.高年齢者の雇用状況

 また今回の集計結果では高年齢者の雇用状況が公表されており、31人以上規模の企業における常用雇用者数は約3,049万人で、そのうち、60歳以上の常用雇用者数は約325万人で10.6%を占めています。
 これらを雇用確保措置の義務化前の平成21年を100とした比率で見てみると、常用雇用者数は約115%増となっているところ、60歳以上の常用雇用者数については約150%増となっています。この結果から労働者全体の中に占める高年齢者の割合が増加していることがよく分かります。

 企業では高齢者の活用に向けて、労働環境を整備したり、業務内容を再設計することが期待されています。また、2016年10月19日より65歳超雇用推進助成金が新設されていることから、このような助成金の活用も併せて検討したいものです。

■参考リンク

厚生労働省 「平成28年「高年齢者の雇用状況」集計結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000140837.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。