建設業の社会保険未加入対策に向けて充実した相談体制

2020年1月28日

 以前より、国土交通省を中心に建設業の社会保険未加入問題が大きくクローズアップされ対策が行われていますが、より一層加入を促進する動きが出てきました。そこで今回はその状況についてとり上げましょう。

1.社会保険未加入対策への強化の動き

 今年6月、国土交通省より建設業者の未加入事業者への社会保険等の加入指導状況が発表され、平成24年11月から平成28年3月末までの期間内に事業者から受けた建設業許可申請等の429,239件のうち、395,820件(92.2%)について社会保険等への加入が確認されました。国土交通省では建設業の担い手の確保と健全な競争環境の実現のため、平成29年度に事業者単位で建設業許可業者の100%が社会保険等へ加入とすること等を目標として掲げています。

 この目標年次まで残り1年を切り、社会保険等への加入を進めるためには実際の社会保険加入手続等に関する専門的な相談を受け付ける体制の整備が重要となることから、全国社会保険労務士会連合会と連携し、相談体制の充実を図る動きが出てきました。

2.全国社会保険労務士会連合会との連携の内容

 1.の具体的な連携の内容は以下の3点になります

1)建設企業向けの社会保険等に関する無料相談窓口の社労士会への設置(平成28年7月から)
 47都道府県社会保険労務士会が窓口となり、建設業者から社会保険加入等に関する相談を受け付け、担当の社会保険労務士が電話相談に応じる。

2)企業が開催する安全大会等における社労士による講演、個別相談会の実施(平成28年7 月から)
 依頼に応じて、建設事業者等で開催している安全大会、安全衛生大会、総会等において、都道府県社会保険労務士会が選任する社会保険労務士が、社会保険加入等に関する講演・個別相談会に対応する。

3)国土交通省と社労士会がタイアップした個別相談会の実施(平成28年8月から)
 国土交通省開催の「社会保険等未加入対策に関する説明会」、「法定福利費に関する研修会」において、終了後に社会保険等の加入に関する個別相談会を実施し、社会保険労務士が相談に対応する。

 このように未加入対策に向けて動きが強化されていますので、建設業者で社会保険が未加入となっている場合、早急に対応していくことが求められます。

■参考リンク

国土交通省「社会保険等未加入業者への加入等指導状況について」
https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000429.html

国土交通省「全国社会保険労務士会連合会との連携強化」
https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo14_hh_000589.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。