社労士が給与計算受けるなら賃金台帳調製して欲しい

2017年8月20日

 本日はかなりまいりながら、いささか腹に据えかねてブログを書きます。あまり詳細に書くのはルール違反だと思うので、肝だけ記述します。

 一昨年来、「業務改善助成金」という施策があり、賃金アップをさせるために業務改善に資する設備投資に対して補助をするというものでした。

 年度末までの支払賃金分について、4月末まで「賃金状況報告」を提出しなければいけませんでした。

 賃金台帳を添付することも当然意識しておりましたが、給与計算を別の社労士事務所で受託しているので、そこから賃金台帳が当たり前に出てくるものと、何の疑いも持たずにおりました。そんな折、行政担当者さんから賃金台帳提出の督促を受けたわけです。

 冷静なふりをして、「はい、了解いたしました」と対応したものの、嫌な予感が頭を過ぎりました。

 昨年の助成金支給申請時に、その会社さんは「賃金台帳」が整備されていなかったので、当事務所でやむなく整備して提出することとなりました。

 給与計算の委託を違う社労士さんにしているために、「当方が整備するのもどうなんよ」と思いながらの作業でしたが、その際に、「今後はきちんとしてもらったほうが良いですよ。」と強く依頼していたのです。

 ところが、やはり今回も全く整備されていない状況で、当事務所の人間が3人かかって慌てて作業を進めている次第です。

 なんとか〆切には間に合うでしょう。

 名誉もあるので具体的記述は避けますが、「社会保険労務士事務所が給与計算を受託しているのに、なんで賃金台帳が出てこないんだよ!」と強く抗議を申し入れたい気分です。

 せっかくなので、賃金台帳について記載しておきます。

賃金台帳についての法的意義

 労働基準法第108条により、会社は賃金を支払う都度、遅滞なく次の事項を記載した賃金台帳を作成しないといけません。

 賃金台帳に関しては、パートタイマーやアルバイトはもちろん、日雇労働者についても作成しないといけません。
 全ての労働者について作成する義務があります。

 なお、賃金台帳の作成は労働基準法で義務付けられていることですので、賃金台帳がなかったり、記載内容に不備があると是正勧告の対象になることがあります。

 労働基準監督署の調査でも必ずチェックされる書類です。

 ちなみに、賃金台帳の作成義務(労働基準法第108条)違反については30万円以下の罰金が定められています。

 また、賃金台帳は労働基準法第109条により、最後の記入をした日から3年間保存することになっています。

 該当の労働基準法条文も載せときます。

賃金台帳に関する該当法令条文

労働基準法 第108条

 使用者は、各事業場ごとに「賃金台帳」を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

労働基準法 施行規則 第54条

使用者は、法第108条の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に「賃金台帳」に記入しなければならない。

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 法第33条若しくは法第36条第1項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
  7. 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
  8. 法第24条第1項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額

頼んますよ。漏れてたら罰則だぜよ。