年次有給休暇管理簿を作成する際の留意点

2020年1月22日

年次有給休暇管理簿を作成する際の留意点

会社は年次有給休暇管理簿の作成・保管が義務に

 いよいよ2019年4月より、年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」という)が付与される従業員について、年休の日数のうち年5日については会社が時季を指定して取得させることが義務となりました。

 この改正と併せて新たに、会社が年次有給休暇管理簿(以下、「年休管理簿」という)を作成し、保管することが義務となったことから、その作成時の留意点を確認します。

1.年休管理簿の作成

 年休管理簿には、取得時季(年休を取得した日付)、取得日数および基準日の3点を記載しておくことになっています。
 基準日が2つ存在するような場合(例えば初回は雇入れ6ヶ月経過日に年休を付与し、翌年度は全従業員で統一するため法律よりも前倒しとなる4月1日に付与するという場合)には、その両方を記載する必要があります。

 この年休管理簿は、労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができることになっています。
 労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製する際には、例えば、労働者名簿に入社日、賃金台帳に時季と日数、そして就業規則に雇入れ後6ヶ月経過日が基準日となる記載があったとしても、このような方法では、労働者名簿と賃金台帳だけで従業員ごとの基準日を直ちに確認することができないため、年休管理簿を作成したものとは認められないことになっています。
 労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製する場合、労働者名簿または賃金台帳に上記の3点を記載しておく必要があります。

 また、勤怠管理システム上で年休管理をしている場合、システムの制約上、上記の3点を同じ帳票で出力できないことがありますが、それぞれの帳票を出力できるものであれば、年休管理簿を作成したものと認められます。

2.年休管理簿の作成のタイミング

 年休の取得義務は、2019年4月1日以後、最初に10日以上の年休が付与されたものからが対象になります。そして、年休管理簿の作成も、この基準日から作成する義務が生じます。
 対象となる従業員がいる会社で年休管理簿を作成していない場合には早めに作成を進めましょう。

 なお、基準日よりも前に、10日の年休のうち一部を前倒しで付与している場合、年休の付与日数や取得状況を適切に管理する観点から、最初に付与された日から年休管理簿を作成することになることに注意しておきましょう。

3.期間満了後3年間の保存義務と廃棄ルール

 年休管理簿は、年休が付与され取得できる期間中と、期間満了後3年間の保存義務があります。将来的な廃棄ルールも念頭において、作成・保管のルールを決定するとよいでしょう。

参考リンク

厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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