社会保険労務士事務所の菅野労務FP事務所(茨城県石岡市)が作成した法令や厚労省モデル就業規則の参照集で、可能な限りリンクでつないでいます。各ページ基本は章ごとのページにしています。
労働者が安心して働ける明るい職場を作ることは、事業規模や業種を問わず、すべての事業場にとって重要なことです。そのためには、あらかじめ就業規則で労働時間や賃金をはじめ、人事・服務規律など、労働者の労働条件や待遇の基準をはっきりと定め、労使間でトラブルが生じないようにしておくことが大切です。
就業規則に記載する事項には、必ず記載しなければならない事項(以下「絶対的必要記載事項」といいます。)と、各事業場内でルールを定める場合には記載しなければならない事項(以下「相対的必要記載事項」といいます。)があります(労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「労基法」といいます。)労基法第89条)。
このほか、使用者において任意に記載し得る事項もあります。
絶対的必要記載事項は次のとおりです。
相対的必要記載事項は次のとおりです。
なお、就業規則の内容は、法令及び当該事業場において適用される労働協約に反してはなりません。法令又は労働協約に反する就業規則については、所轄労働基準監督署長はその変更を命ずることができます(労基法第92条)。
労基法は、労働者を1人でも使用する事業場に適用されますが、就業規則については、常時10人以上の労働者を使用する事業場においては、これを作成しまたは変更する場合に、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないとされています(労基法第89条)。
また、就業規則は、企業単位ではなく事業場単位で作成し、届け出なければなりません。例えば、1企業で2以上の営業所、店舗等を有している場合、企業全体の労働者の数を合計するのではなく、それぞれの営業所、店舗等を1つの事業場としてとらえ、常時使用する労働者が10人以上の事業場について就業規則を作成する義務が生じます。なお、複数の営業所、店舗等の事業場を有する企業については、営業所、店舗等の就業規則が変更前、変更後ともに本社の就業規則と同一の内容のものである場合に限り、本社所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して一括して届け出ることも可能です。
就業規則を作成し、又は変更する場合の所轄労働基準監督署長への届出については、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を記し、その者の署名又は記名押印のある書面(意見書)を添付しなければなりません(労基法第90条)。
この場合の労働者の過半数を代表する者は、
のいずれにも該当する者でなければなりません(労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号。以下、「労基則」といいます。)第6条の2)。
就業規則の作成又は変更に当たっては、その内容をよく吟味するとともに上記の手続等を遵守しなければなりません。特に、就業規則を労働者にとって不利益に変更する場合には、労働者の代表の意見を十分に聴くとともに、変更の理由及び内容が合理的なものとなるよう慎重に検討することが必要です。
就業規則の届出については電子申請でも行うことが可能です。詳細はこちら(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184033.html)をご確認ください。
作成した就業規則は、労働者の一人ひとりへの配付、労働者がいつでも見られるように職場の見やすい場所への掲示、備付け、あるいは電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにするといった方法により、労働者に周知しなければなりません(労基法第106条第1項)。
就業規則は、作成したり、労働者の代表者から意見を聴取しただけでは効力は発生しないと解されています。就業規則の効力発生時期は、就業規則が何らかの方法によって労働者に周知された時期以降で、就業規則に施行期日が定められているときはその日、就業規則に施行期日が定められていないときは、通常は労働者に周知された日と解されています。
このモデル就業規則(以下「本規則」といいます。)は、表紙に記載の時点での関係法令等の規定を踏まえ就業規則の規程例を解説とともに示したものです。本規則はあくまでモデル例であり、就業規則の内容は事業場の実態に合ったものとしなければなりません。したがって、就業規則の作成に当たっては、各事業場で労働時間、賃金などの内容を十分検討するようにしてください。
本規則10ページ以降にある下線部分(例えば、規程例第1条第1項及び第2条第1項中の「〇〇〇〇株式会社」や、第5条第1項中の「〇週間以内」などの下線部分)については、法令に従い、各事業場の実情に応じて具体的な名称や数字等を定めてください。また、規程例の下線部の一部(例えば、1か月単位の変形労働時間制(隔週週休2日制を採用する場合)の規程例第19条第2項中の「7時間15分」などの部分や、第43条第2項中の「無給/通常の賃金を支払うこと」の部分)には、あらかじめ数字や文言を記入しているものがありますが、これらは規程例の内容を分かりやすく解説するために便宜的に記入したものですので、これらについても、法令に従い各事業場の実情に応じて具体的な数字等を定めてください。
また、本規則は、主として通常の労働者への適用を想定して作成しています。したがって、パートタイム労働者や有期雇用労働者等を雇用している場合、就業規則の作成に当たっては、本規則の各条項についてパートタイム労働者や有期雇用労働者等への適用の可否について必ず検討し、必要に応じて別個の就業規則を作成してください。
なお、パートタイム労働者や有期雇用労働者に関する事項について就業規則を作成したり、変更する場合には、その事業場において雇用するパートタイム労働者や有期雇用労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くように努めなければなりません(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号。以下「パートタイム・有期雇用労働法」といいます。) 第七条(就業規則の作成の手続))。
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