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第四章 給付(確定給付企業年金法

 社会保険労務士事務所の菅野労務FP事務所(茨城県石岡市)が作成した法令の参照集で、可能な限りリンクでつないでいます。各ページ基本は章ごとのページにしています。

第一節 通則

第二十九条(給付の種類)

 事業主(基金を設立して実施する確定給付企業年金(以下「基金型企業年金」という。)を実施する場合にあっては、基金。以下「事業主等」という。)は、次に掲げる給付を行うものとする。

  • 一 老齢給付金
  • 二 脱退一時金

2 事業主等は、規約で定めるところにより、前項各号に掲げる給付に加え、次に掲げる給付を行うことができる。

  • 一 障害給付金
  • 二 遺族給付金

第三十条(裁定)

 給付を受ける権利(以下「受給権」という。)は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基づいて、事業主等が裁定する。

2 事業主は、前項の規定により裁定をしたときは、遅滞なく、その内容を資産管理運用機関に通知しなければならない。

3 資産管理運用機関又は基金(以下「資産管理運用機関等」という。)は、第一項の規定による裁定に基づき、その請求をした者に給付の支給を行う。

第三十一条(受給要件)

 給付を受けるための要件は、規約で定めるところによる。

2 前項に規定する要件は、この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反するものであってはならず、かつ、特定の者について不当に差別的なものであってはならない。

第三十二条(給付の額)

 給付の額は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより算定した額とする。

2 前項に規定する給付の額は、加入者期間又は当該加入者期間における給与の額その他これに類するものに照らし、適正かつ合理的なものとして政令で定める方法により算定されたものでなければならず、かつ、特定の者について不当に差別的なものであってはならない。

第三十三条(年金給付の支給期間等)

 年金給付の支給期間及び支払期月は、政令で定める基準に従い規約で定めるところによる。ただし、終身又は五年以上にわたり、毎年一回以上定期的に支給するものでなければならない。

第三十四条(受給権の譲渡等の禁止等)

 受給権は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢給付金、脱退一時金及び遺族給付金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。

2 租税その他の公課は、障害給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。

第三十五条(政令への委任)

 この章に定めるもののほか、給付に関し必要な事項は、政令で定める。

第二節 老齢給付金

第三十六条(支給要件)

 老齢給付金は、加入者又は加入者であった者が、規約で定める老齢給付金を受けるための要件を満たすこととなったときに、その者に支給するものとする。

2 前項に規定する規約で定める要件は、次に掲げる要件(第四十一条第二項第二号において「老齢給付金支給開始要件」という。)を満たすものでなければならない。

  • 一 六十歳以上七十歳以下の規約で定める年齢に達したときに支給するものであること。
  • 二 政令で定める年齢以上前号の規約で定める年齢未満の規約で定める年齢に達した日以後に実施事業所に使用されなくなったときに支給するものであること(規約において当該状態に至ったときに老齢給付金を支給する旨が定められている場合に限る。)。

3 前項第二号の政令で定める年齢は、五十歳未満であってはならない。

4 規約において、二十年を超える加入者期間を老齢給付金の給付を受けるための要件として定めてはならない。

第三十七条(支給の繰下げ)

 前条に規定する老齢給付金の支給の要件を満たす者であって老齢給付金の支給を請求していないものは、規約で定めるところにより、事業主等に当該老齢給付金の支給の繰下げの申出をすることができる。

2 前項の申出をした者に対する老齢給付金の支給は、前条第一項の規定にかかわらず、規約で定める時から始めるものとする。

第三十八条(支給の方法)

 老齢給付金は、年金として支給する。

2 老齢給付金は、規約でその全部又は一部を一時金として支給することができることを定めた場合には、前項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、一時金として支給することができる。

第三十九条(支給停止)

 老齢給付金の受給権者が、障害給付金を支給されたときは、第三十六条第一項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、老齢給付金の額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。

第四十条(失権)

 老齢給付金の受給権は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、消滅する。

  • 一 老齢給付金の受給権者が死亡したとき。
  • 二 老齢給付金の支給期間が終了したとき。
  • 三 老齢給付金の全部を一時金として支給されたとき。

第三節 脱退一時金

第四十一条(脱退一時金)

 脱退一時金は、加入者が、第二十七条第二号から第五号までのいずれかに該当し、かつ、その他の規約で定める脱退一時金を受けるための要件を満たすこととなったときに、その者に支給するものとする。

2 前項に規定する規約で定める要件は、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。

  • 一 加入者であって規約で定める老齢給付金を受けるための要件を満たさないもの(次号に規定する者を除く。)に支給するものであること。
  • 二 加入者であって規約で定める老齢給付金を受けるための要件のうち老齢給付金支給開始要件以外の要件を満たすものに支給するものであること(規約において当該状態に至ったときに脱退一時金を支給する旨が定められている場合に限る。)。

3 前項第一号に係る脱退一時金を受けるための要件として、規約において、三年を超える加入者期間を定めてはならない。

4 第一項に規定する脱退一時金を受けるための要件を満たす者(第二十七条第二号、第四号又は第五号のいずれかに該当することとなった者に限る。)は、規約で定めるところにより、事業主等に当該脱退一時金の全部又は一部の支給の繰下げの申出をすることができる。

第四十二条(支給の方法)

 脱退一時金は、一時金として支給する。

第四節 障害給付金

第四十三条(支給要件)

 障害給付金は、規約において障害給付金を支給することを定めている場合に、規約で定めるところにより、次の各号のいずれかに該当する者に支給するものとする。

  • 一 疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下この項において「初診日」という。)において加入者であった者であって、初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)があるときは、その日。次号において「障害認定日」という。)から第三十六条第二項第一号の規約で定める年齢に達するまでの間において、その傷病により規約で定める程度の障害の状態に該当するに至ったもの
  • 二 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下この号において「基準傷病」という。)に係る初診日において加入者であった者であって、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日から第三十六条第二項第一号の規約で定める年齢に達するまでの間において、初めて、基準傷病による障害と他の障害とを併合して規約で定める程度の障害の状態に該当するに至ったもの

2 前項各号に規定する規約で定める程度の障害の状態は、厚生年金保険法第四十七条第二項に規定する一級、二級及び三級の障害等級のうち政令で定めるものの範囲内でなければならない。

第四十四条(支給の方法)

 障害給付金は、規約で定めるところにより、年金又は一時金として支給するものとする。

第四十五条(支給停止)

 障害給付金は、受給権者が第四十三条第一項各号に規定する規約で定める程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止するものとする。

2 障害給付金の受給権者が、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、第四十三条第一項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、障害給付金の全部又は一部の支給を停止することができる。

第四十六条(失権)

 障害給付金の受給権は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、消滅する。

  • 一 障害給付金の受給権者が死亡したとき。
  • 二 障害給付金の支給期間が終了したとき。
  • 三 障害給付金の全部を一時金として支給されたとき。

第五節 遺族給付金

第四十七条(支給要件)

 遺族給付金は、規約において遺族給付金を支給することを定めている場合であって、加入者又は当該確定給付企業年金の老齢給付金の支給を受けている者その他政令で定める者のうち規約で定めるもの(以下この章において「給付対象者」という。)が死亡したときに、その者の遺族に支給するものとする。

第四十八条(遺族の範囲)

 遺族給付金を受けることができる遺族は、次に掲げる者のうち規約で定めるものとし、遺族給付金を受けることができる遺族の順位(第五十一条第二項において「順位」という。)は、規約で定めるところによる。

  • 一 配偶者(届出をしていないが、給付対象者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)
  • 二 子(給付対象者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、当該子を含む。)、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
  • 三 前二号に掲げる者のほか

第四十九条(支給の方法)

 遺族給付金は、規約で定めるところにより、年金又は一時金として支給するものとする。

第五十条(年金として支給する遺族給付金の支給期間)

 老齢給付金又は障害給付金の給付を受けている者が死亡したときにその遺族に対し年金として支給する遺族給付金の支給期間については、当該老齢給付金又は障害給付金の支給期間として規約において一定の期間を定めていた場合は、第三十三条ただし書の規定にかかわらず、五年未満とすることができる。ただし、当該老齢給付金又は障害給付金の支給期間のうち給付を受けていない期間を下回ることができない。

第五十一条(失権)

 遺族給付金の受給権は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、消滅する。

  • 一 遺族給付金の受給権者が死亡したとき。
  • 二 遺族給付金の支給期間が終了したとき。
  • 三 遺族給付金の全部を一時金として支給されたとき。

2 前項の規定にかかわらず、遺族給付金の受給権者が死亡したときは、規約で定めるところにより、当該受給権者の次の順位の遺族に遺族給付金を支給することができる。

3 遺族給付金の受給権は、規約で定めるところにより、受給権者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、消滅するものとすることができる。

  • 一 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。
  • 二 直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき。
  • 三 離縁により、給付対象者との親族関係が終了したとき。

第六節 給付の制限

第五十二条

 加入者又は加入者であった者が、故意に、障害又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、当該障害を支給事由とする障害給付金は、支給しないものとする。

第五十三条

 故意の犯罪行為により給付対象者を死亡させた者には、遺族給付金は、支給しないものとする。給付対象者の死亡前に、その者の死亡によって遺族給付金を受けるべき者を故意の犯罪行為により死亡させた者についても、同様とする。

第五十四条

 加入者又は加入者であった者が、自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、若しくはその障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたとき、その他政令で定める場合には、規約で定めるところにより、給付の全部又は一部を行わないことができる。

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確給付年金法04.txt · 最終更新: 2023/09/03 10:04 by norimasa

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