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第二章 労働契約(労働基準法

 社会保険労務士事務所の菅野労務FP事務所(茨城県石岡市)が作成した法令の参照集で、可能な限りリンクでつないでいます。各ページ基本は章ごとのページにしています。

第十三条(この法律違反の契約)

 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。

第十四条(契約期間等)

 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。

  • 一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
  • 二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

2 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。

3 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

 罰則:第百二十条(三十万円以下の罰金)

第十五条(労働条件の明示)

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

 罰則:第百二十条(三十万円以下の罰金)

参考:労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第五条

<労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)>

労働基準法施行規則第五条
 使用者が法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。ただし、第一号の二に掲げる事項については期間の定めのある労働契約であつて当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限り、第四号の二から第十一号までに掲げる事項については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。

  • 一 労働契約の期間に関する事項
  • 一の二 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
  • 一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
  • 二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  • 三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  • 四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
  • 四の二 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
  • 五 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
  • 六 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  • 七 安全及び衛生に関する事項
  • 八 職業訓練に関する事項
  • 九 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  • 十 表彰及び制裁に関する事項
  • 十一 休職に関する事項

2 使用者は、法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない。

3 法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、第一項第一号から第四号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)とする。

4 法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。

  • 一 ファクシミリを利用してする送信の方法
  • 二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において「電子メール等」という。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
    • ※FAX、電子メール、LINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能 等

 参考リンク:厚生労働省「労働基準法施⾏規則」 改正(平成31年4月)のお知らせ(PDF)
       労働基準法第89条(就業規則の作成と届出の義務)

労働条件の明示に関する通達・規定等

<「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」(平成11年1月29日 基発第45号)(抄)>

2 労働条件の明示(法第15条第1項関係)

3 書面の交付により明示すべき事項

  • (2) 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
    • 雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りるものであるが、将来の就業場所や従事させる業務を併せ網羅的に明示することは差し支えないこと。
  • (4) 退職に関する事項
    • 退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければならないこと。なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りるものであること。

< 令和6年4月1日に新しく追加される明示事項 >

全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時

  • 1. 就業場所・業務の変更の範囲
    • 有期労働契約の締結時と更新時
  • 2. 更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容
    • 併せて、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明することが必要になる。

無期転換ルール※に基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時

  • 3. 無期転換申込機会
  • 4. 無期転換後の労働条件
    • 併せて、無期転換後の労働条件を決定するに当たって、就業の実態に応じて、正社員等とのバランスを考慮した事項について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならないこととなる。

参考リンク:
 厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」
 厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが変わります」(PDF)

第十六条(賠償予定の禁止)

 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

 罰則:第百十九条(六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)

第十七条(前借金相殺の禁止)

 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

 罰則:第百十九条(六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)

第十八条(強制貯金)

 使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。

2 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。

3 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては、貯蓄金の管理に関する規程を定め、これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。

4 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす。

5 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない。

6 使用者が前項の規定に違反した場合において、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、行政官庁は、使用者に対して、その必要な限度の範囲内で、当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。

7 前項の規定により貯蓄金の管理を中止すべきことを命ぜられた使用者は、遅滞なく、その管理に係る貯蓄金を労働者に返還しなければならない。

 罰則:第百十九条(六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)
 罰則:第百二十条(三十万円以下の罰金)

第十九条(解雇制限)

 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 罰則:第百十九条(六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)

第二十条(解雇の予告)

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

 罰則:第百十九条(六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)

参考:解雇予告手当の税金等

 労働基準法第20条(解雇の予告)の規定により、使用者が30日前までに予告をしないで労働者を解雇する場合に、その使用者から支払われる予告手当は、退職所得とされる退職手当等に該当します。

 国税庁:解雇予告手当や未払賃金立替払制度に基づき国が弁済する未払賃金を受け取ったとき(退職所得)

第二十一条

 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

  • 一 日日雇い入れられる者
  • 二 二箇月以内の期間を定めて使用される者
  • 三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
  • 四 試の使用期間中の者

第二十二条(退職時等の証明)

 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

2 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

3 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。

4 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。

 罰則:第百十九条(六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)
 罰則:第百二十条(三十万円以下の罰金)

第二十三条(金品の返還)

 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

2 前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。

 罰則:第百二十条(三十万円以下の罰金)

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第二章_労働契約.txt · 最終更新: 2023/12/05 20:14 by norimasa

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