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第二章 企業型年金(確定拠出年金法

 社会保険労務士事務所の菅野労務FP事務所(茨城県石岡市)が作成した法令の参照集で、可能な限りリンクでつないでいます。各ページ基本は章ごとのページにしています。

第一節 企業型年金の開始

第一款 企業型年金規約

第三条(規約の承認)

 厚生年金適用事業所の事業主は、企業型年金を実施しようとするときは、企業型年金を実施しようとする厚生年金適用事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者(第九条第二項第二号に該当する者を除く。以下この項及び第五項、次条第三項(第五条第四項、第六条第二項及び第四十六条第三項において準用する場合を含む。)及び第四項、第五条第二項(第六条第二項において準用する場合を含む。)並びに第四十六条第一項において同じ。)の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、当該第一号等厚生年金被保険者の過半数で組織する労働組合がないときは当該第一号等厚生年金被保険者の過半数を代表する者の同意を得て、企業型年金に係る規約を作成し、当該規約について厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

2 二以上の厚生年金適用事業所について企業型年金を実施しようとする場合においては、前項の同意は、各厚生年金適用事業所について得なければならない。

3 企業型年金に係る規約においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

  • 一 企業型年金を実施する厚生年金適用事業所の事業主(次項及び第五項、第四十七条第五号、第五十四条の六第五十五条第二項第四号の二、第七十条第七十一条並びに第七十八条を除き、以下「事業主」という。)の名称及び住所
  • 二 企業型年金が実施される厚生年金適用事業所(以下「実施事業所」という。)の名称及び所在地(厚生年金保険法第六条第一項第三号に規定する船舶(以下「船舶」という。)の場合にあっては、同号に規定する船舶所有者の名称及び所在地)
  • 二の二 第五項に規定する簡易企業型年金を実施する場合にあっては、その旨
  • 三 事業主が運営管理業務の全部又は一部を行う場合にあっては、その行う業務
  • 四 事業主が第七条第一項の規定により運営管理業務の全部又は一部を委託した場合にあっては、当該委託を受けた確定拠出年金運営管理機関(第八十八条第一項の登録を受けて確定拠出年金運営管理業を営む者をいう。以下同じ。)(第七条第二項の規定により再委託を受けた確定拠出年金運営管理機関を含む。)の名称及び住所並びにその行う業務
  • 五 資産管理機関の名称及び住所
  • 六 実施事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者が企業型年金加入者となることについて一定の資格を定める場合にあっては、当該資格に関する事項
  • 七 事業主が拠出する掛金(以下「事業主掛金」という。)の額の算定方法その他その拠出に関する事項
  • 七の二 企業型年金加入者が掛金を拠出することができることを定める場合にあっては、当該掛金(以下「企業型年金加入者掛金」という。)の額の決定又は変更の方法その他その拠出に関する事項
  • 八 運用の方法の提示及び運用の指図に関する事項
  • 八の二 第二十三条の二第一項の規定により指定運用方法を提示することとする場合にあっては、指定運用方法の提示に関する事項
  • 八の三 第二十六条第一項の規定により運用の方法を除外することとする場合にあっては、除外に係る手続に関する事項
  • 九 企業型年金の給付の額及びその支給の方法に関する事項
  • 十 企業型年金加入者が資格を喪失した日において実施事業所に使用された期間が三年未満である場合において、その者の個人別管理資産のうち当該企業型年金に係る事業主掛金に相当する部分として政令で定めるものの全部又は一部を当該事業主掛金に係る事業主に返還することを定めるときは、当該事業主に返還する資産の額(以下「返還資産額」という。)の算定方法に関する事項
  • 十一 企業型年金の実施に要する事務費の負担に関する事項
  • 十二 その他政令で定める事項

4 第一項の承認を受けようとする厚生年金適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、当該承認に係る申請書に、次に掲げる書類(当該事業主が運営管理業務の全部を行う場合にあっては、第四号に掲げる書類を除く。)を添付して、厚生労働大臣に提出しなければならない。

  • 一 実施する企業型年金に係る規約
  • 二 第一項の同意を得たことを証する書類
  • 三 実施事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者が企業型年金加入者となることについて一定の資格を定める場合であって、当該実施事業所において確定給付企業年金(確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第二条第一項に規定する確定給付企業年金をいう。以下同じ。)又は退職手当制度を実施しているときは、当該確定給付企業年金及び退職手当制度が適用される者の範囲についての書類
  • 四 運営管理業務の委託に係る契約書
  • 五 第八条第二項に規定する資産管理契約の契約書
  • 六 その他厚生労働省令で定める書類

5 厚生年金適用事業所の事業主が次に掲げる要件に適合する企業型年金(第十九条第二項及び第二十三条第一項において「簡易企業型年金」という。)について、第一項の承認を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、前項第三号から第五号までに掲げる書類及び同項第六号に掲げる書類(厚生労働省令で定める書類に限る。)の添付を省略することができる。

  • 一 実施事業所に使用される全ての第一号等厚生年金被保険者(厚生労働省令で定める者を除く。)が実施する企業型年金の企業型年金加入者の資格を有すること。
  • 二 実施する企業型年金の企業型年金加入者の資格を有する者の数が三百人以下であること。
  • 三 その他厚生労働省令で定める要件

6 前各項に定めるもののほか、企業型年金に係る規約の承認に関し必要な事項は、政令で定める。

第四条(承認の基準等)

 厚生労働大臣は、前条第一項の承認の申請があった場合において、当該申請に係る規約が次に掲げる要件に適合すると認めるときは、同項の承認をするものとする。

  • 一 前条第三項各号に掲げる事項が定められていること。
  • 二 実施事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者が企業型年金加入者となることについて一定の資格を定めた場合であって、当該実施事業所において確定給付企業年金又は退職手当制度を実施しているときは、当該資格は、確定給付企業年金及び退職手当制度が適用される者の範囲に照らし、特定の者について不当に差別的なものでないこと。
  • 三 事業主掛金について、定額又は給与に一定の率を乗ずる方法その他これに類する方法により算定した額によることが定められていること。
  • 三の二 前条第三項第七号の二に掲げる事項を定めた場合にあっては、各企業型年金加入者に係る企業型年金加入者掛金の額が当該企業型年金加入者に係る事業主掛金の額を超えないように企業型年金加入者掛金の額の決定又は変更の方法が定められていること。
  • 四 提示される運用の方法の数及び種類について、第二十三条第一項及び第二項の規定に反しないこと。
  • 五 企業型年金加入者及び企業型年金運用指図者(以下「企業型年金加入者等」という。)による運用の指図は、少なくとも三月に一回、行い得るものであること。
  • 六 企業型年金の給付の額の算定方法が政令で定める基準に合致していること。
  • 七 企業型年金加入者が資格を喪失した日において実施事業所に使用された期間が三年以上である場合又は企業型年金加入者が当該企業型年金の障害給付金の受給権を有する場合について、その者の個人別管理資産が移換されるときは、その全てを移換するものとされていること。
  • 八 その他政令で定める要件

2 厚生労働大臣は、前条第一項の承認をしたときは、速やかに、その旨をその申請をした事業主に通知しなければならない。

3 事業主は、前条第一項の承認を受けたときは、遅滞なく、同項の承認を受けた規約(以下「企業型年金規約」という。)を実施事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者に周知させなければならない。

4 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、企業型年金規約を実施事業所ごとに備え置き、その使用する第一号等厚生年金被保険者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。

第五条(規約の変更)

 事業主は、企業型年金規約の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、その変更について厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

2 前項の変更の承認の申請は、実施事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、当該第一号等厚生年金被保険者の過半数で組織する労働組合がないときは当該第一号等厚生年金被保険者の過半数を代表する者の同意を得て行わなければならない。

3 前項の場合において、実施事業所が二以上であるときは、同項の同意は、各実施事業所について得なければならない。ただし、第一項の変更が全ての実施事業所に係るものでない場合であって、規約において、あらかじめ、当該変更に係る事項を定めているときは、当該変更に係る実施事業所について前項の同意があったときは、当該変更に係る実施事業所以外の実施事業所についても同項の同意があったものとみなすことができる。

4 前条の規定は、第一項の変更の承認の申請があった場合について準用する。この場合において、同条第三項中「第一号等厚生年金被保険者」とあるのは、「第一号等厚生年金被保険者(企業型年金運用指図者に係る事項に重要な変更を加えたときは、企業型年金運用指図者を含む。)」と読み替えるものとする。

第六条

 事業主は、企業型年金規約の変更(前条第一項の厚生労働省令で定める軽微な変更に限る。)をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、第三条第三項第五号に掲げる事項その他厚生労働省令で定める事項の変更については、この限りでない。

2 第四条第三項並びに前条第二項及び第三項の規定は、前項の変更について準用する。ただし、当該変更が同条第一項の厚生労働省令で定める軽微な変更のうち特に軽微なものとして厚生労働省令で定めるものである場合においては、同条第二項及び第三項の規定は、準用しない。

 罰則:第百二十三条(二十万円以下の過料)

第二款 運営管理業務の委託等

第七条(運営管理業務の委託)

 事業主は、政令で定めるところにより、運営管理業務の全部又は一部を確定拠出年金運営管理機関に委託することができる。

2 確定拠出年金運営管理機関は、政令で定めるところにより、前項の規定により委託を受けた運営管理業務の一部を他の確定拠出年金運営管理機関に再委託することができる。

3 運営管理業務の全部又は一部を行う確定拠出年金運営管理機関が欠けることとなるときは、事業主は、当該全部若しくは一部の運営管理業務を自ら行い、又は当該運営管理業務を承継すべき確定拠出年金運営管理機関を定めて当該運営管理業務を委託しなければならない。

4 事業主は、第一項の規定により確定拠出年金運営管理機関に運営管理業務の全部又は一部を委託した場合(第二項の規定により再委託した場合を含む。)は、少なくとも五年ごとに、運営管理業務の実施に関する評価を行い、運営管理業務の委託について検討を加え、必要があると認めるときは、確定拠出年金運営管理機関の変更その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

5 前各項に定めるもののほか、運営管理業務の委託に関し必要な事項は、政令で定める。

第八条(資産管理契約の締結)

 事業主は、政令で定めるところにより、給付に充てるべき積立金(以下「積立金」という。)について、次の各号のいずれかに掲げる契約を締結しなければならない。

2 前項各号に規定する者は、正当な理由がある場合を除き、同項各号に掲げる契約(以下「資産管理契約」という。)の締結を拒絶してはならない。

3 資産管理機関が欠けることとなるときは、事業主は、別に資産管理契約の相手方となるべき者を定めて、資産管理契約を締結しなければならない。

4 資産管理契約が解除されたときは、当該解除された資産管理契約に係る資産管理機関は、速やかに、当該資産管理契約に係る積立金を事業主が定めた資産管理機関に移換しなければならない。

5 前各項に定めるもののほか、資産管理契約の締結に関し必要な事項は、政令で定める。

第二節 企業型年金加入者等

第九条(企業型年金加入者)

 実施事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者は、企業型年金加入者とする。

2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の規定にかかわらず、企業型年金加入者としない。

  • 一 実施事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者が企業型年金加入者となることについて企業型年金規約で一定の資格を定めた場合における当該資格を有しない者
  • 二 企業型年金の老齢給付金の受給権を有する者又はその受給権を有する者であった者

第十条(資格取得の時期)

 企業型年金加入者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日に、企業型年金加入者の資格を取得する。

  • 一 実施事業所に使用されるに至ったとき。
  • 二 その使用される事業所若しくは事務所(以下「事業所」という。)又は船舶が、実施事業所となったとき。
  • 三 実施事業所に使用される者が、第一号等厚生年金被保険者となったとき。
  • 四 実施事業所に使用される者が、企業型年金規約により定められている資格を取得したとき。

第十一条(資格喪失の時期)

 企業型年金加入者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条各号のいずれかに該当するに至ったとき、第五号に該当するに至ったとき(厚生労働省令で定める場合に限る。)又は第六号に該当するに至ったときは、当該至った日)に、企業型年金加入者の資格を喪失する。

  • 一 死亡したとき。
  • 二 実施事業所に使用されなくなったとき。
  • 三 その使用される事業所又は船舶が、実施事業所でなくなったとき。
  • 四 第一号等厚生年金被保険者でなくなったとき。
  • 五 企業型年金規約により定められている資格を喪失したとき。
  • 六 企業型年金の老齢給付金の受給権を有する者となったとき。

第十二条(企業型年金加入者の資格の得喪に関する特例)

 企業型年金加入者の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、その資格を取得した日にさかのぼって、企業型年金加入者でなかったものとみなす。

第十三条(同時に二以上の企業型年金の企業型年金加入者となる資格を有する者の取扱い)

 同時に二以上の企業型年金の企業型年金加入者となる資格を有する者は、第九条の規定にかかわらず、その者の選択する一の企業型年金以外の企業型年金の企業型年金加入者としないものとする。

2 前項の選択は、その者が二以上の企業型年金の企業型年金加入者となる資格を有するに至った日から起算して十日以内にしなければならない。

3 第一項に規定する者は、同項の選択をしたときは、その者が二以上の企業型年金の企業型年金加入者となる資格を有するに至った日にさかのぼって、その選択した一の企業型年金以外の企業型年金の企業型年金加入者でなかったものとする。

4 第一項に規定する者が同項の選択をしなかったときは、その者は、政令で定めるところにより、当該二以上の企業型年金のうちその一の企業型年金を選択したものとみなす。

5 甲企業型年金の企業型年金加入者が同時に乙企業型年金の企業型年金加入者となる資格を有するに至った場合において、第一項の規定により乙企業型年金を選択したときは、その者は、乙企業型年金の企業型年金加入者となった日に、甲企業型年金の企業型年金加入者の資格を喪失する。

6 第一項に規定する者が、同項の規定により選択した企業型年金の企業型年金加入者でなくなったときは、その者は、その日に、当該企業型年金以外の企業型年金の企業型年金加入者の資格を取得する。

第十四条(企業型年金加入者期間)

 企業型年金加入者である期間(以下「企業型年金加入者期間」という。)を計算する場合には、月によるものとし、企 業型年金加入者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

2 企業型年金加入者の資格を喪失した後、再びもとの企業型年金の企業型年金加入者の資格を取得した者については、当該企業型年金における前後の企業型年金加入者期間を合算する。

第十五条(企業型年金運用指図者)

 次に掲げる者は、企業型年金運用指図者とする。

  • 一 六十歳以上の企業型年金加入者であって、第十一条各号(第一号及び第三号を除く。)に該当するに至ったことにより企業型年金加入者の資格を喪失したもの(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)
  • 二 企業型年金の企業型年金加入者であった者であって当該企業型年金の年金たる障害給付金の受給権を有するもの

2 企業型年金運用指図者は、前項各号に掲げる者のいずれかに該当するに至った日に、企業型年金運用指図者の資格を取得する。

3 企業型年金運用指図者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第三号に該当するに至ったときは、当該至った日)に、企業型年金運用指図者の資格を喪失する。

  • 一 死亡したとき。
  • 二 当該企業型年金に個人別管理資産がなくなったとき。
  • 三 当該企業型年金の企業型年金加入者となったとき。

4 第十二条の規定は企業型年金運用指図者の資格について、前条の規定は企業型年金運用指図者である期間(以下「企業型年金運用指図者期間」という。)を計算する場合について準用する。

第十六条(通知等)

 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その実施する企業型年金の企業型年金加入者の氏名及び住所その他の事項を当該企業型年金の企業型年金加入者等に係る記録関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関(以下「企業型記録関連運営管理機関」という。)に通知しなければならない。ただし、当該事業主が記録関連業務の全部を行う場合にあっては、この限りでない。

2 企業型年金加入者は、厚生労働省令で定めるところにより、第十三条第一項の規定により選択した企業型年金その他の事項を事業主又は企業型記録関連運営管理機関に申し出なければならない。

 罰則:第百二十四条(十万円以下の過料)

第十七条

 企業型年金運用指図者は、厚生労働省令で定めるところにより、氏名及び住所その他の事項を企業型記録関連運営管理機関(記録関連業務を行う事業主を含む。以下「企業型記録関連運営管理機関等」という。)に申し出なければならない。

第十八条(企業型年金加入者等原簿)

 企業型記録関連運営管理機関等は、厚生労働省令で定めるところにより、企業型年金加入者等に関する原簿を備え、これに企業型年金加入者等の氏名及び住所、資格の取得及び喪失の年月日、個人別管理資産額その他厚生労働省令で定める事項を記録し、これを保存しなければならない。

2 企業型年金加入者及び企業型年金加入者であった者(死亡一時金を受けることができる者を含む。)は、企業型記録関連運営管理機関等に対し、前項の原簿の閲覧を請求し、又は当該原簿に記録された事項について照会することができる。この場合においては、企業型記録関連運営管理機関等は、正当な理由がある場合を除き、閲覧の請求又は照会の回答を拒んではならない。

第三節 掛金

第十九条(事業主掛金及び企業型年金加入者掛金)

 事業主は、政令で定めるところにより、年一回以上、定期的に掛金を拠出する。

2 事業主掛金の額は、企業型年金規約で定めるものとする。ただし、簡易企業型年金に係る事業主掛金の額については、政令で定める基準に従い企業型年金規約で定める額とする。

3 企業型年金加入者は、政令で定める基準に従い企業型年金規約で定めるところにより、年一回以上、定期的に自ら掛金を拠出することができる。

4 企業型年金加入者掛金の額は、企業型年金規約で定めるところにより、企業型年金加入者が決定し、又は変更する。

第二十条(拠出限度額)

 各企業型年金加入者に係る一年間の事業主掛金の額(企業型年金加入者が企業型年金加入者掛金を拠出する場合にあっては、事業主掛金の額と企業型年金加入者掛金の額との合計額。以下この条において同じ。)の総額は、拠出限度額(一年間に拠出することができる事業主掛金の額の総額の上限として、企業型年金加入者の確定給付企業年金の加入者の資格の有無等を勘案して政令で定める額をいう。)を超えてはならない。

第二十一条(事業主掛金の納付)

 事業主は、事業主掛金を企業型年金規約で定める日までに資産管理機関に納付するものとする。

2 事業主は、事業主掛金を納付する場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、各企業型年金加入者に係る事業主掛金の額を企業型記録関連運営管理機関に通知しなければならない。ただし、当該事業主が記録関連業務の全部を行う場合にあっては、この限りでない。

第二十一条の二(企業型年金加入者掛金の納付)

 企業型年金加入者掛金を拠出する企業型年金加入者は、企業型年金加入者掛金を企業型年金規約で定める日までに事業主を介して資産管理機関に納付するものとする。

2 前条第二項の規定は、事業主が企業型年金加入者掛金の納付を行う場合について準用する。

第二十一条の三(企業型年金加入者掛金の源泉控除)

 前条第一項の規定により企業型年金加入者掛金の納付を行う事業主は、当該企業型年金加入者に対して通貨をもって給与を支払う場合においては、企業型年金加入者掛金を給与から控除することができる。

2 事業主は、前項の規定によって企業型年金加入者掛金を控除したときは、企業型年金加入者掛金の控除に関する計算書を作成し、その控除額を当該企業型年金加入者に通知しなければならない。

第四節 運用

第二十二条(事業主の責務)

 事業主は、その実施する企業型年金の企業型年金加入者等に対し、これらの者が行う第二十五条第一項の運用の指図に資するため、資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置を継続的に講ずるよう努めなければならない。

2 事業主は、前項の措置を講ずるに当たっては、企業型年金加入者等の資産の運用に関する知識を向上させ、かつ、これを第二十五条第一項の運用の指図に有効に活用することができるよう配慮するものとする。

第二十三条(運用の方法の選定及び提示)

 企業型年金加入者等に係る運用関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関(運用関連業務を行う事業主を含む。以下「企業型運用関連運営管理機関等」という。)は、政令で定めるところにより、次に掲げる運用の方法のうち政令で定めるもの(次条第一項において「対象運用方法」という。)を、企業型年金加入者等による適切な運用の方法の選択に資するための上限として政令で定める数以下で、かつ、三以上(簡易企業型年金を実施する事業主から委託を受けて運用関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関(運用関連業務を行う簡易企業型年金を実施する事業主を含む。)にあっては、二以上)で選定し、企業型年金規約で定めるところにより、企業型年金加入者等に提示しなければならない。

  • 一 銀行その他の金融機関を相手方とする預金又は貯金の預入
  • 二 信託会社又は信託業務を営む金融機関への信託
  • 三 有価証券の売買
  • 四 生命保険会社又は農業協同組合(農業協同組合法第十条第一項第十号の事業のうち生命共済の事業を行うものに限る。)その他政令で定める生命共済の事業を行う者への生命保険の保険料又は生命共済の共済掛金の払込み
  • 五 損害保険会社への損害保険の保険料の払込み
  • 六 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護が図られていることその他の政令で定める要件に適合する契約の締結

2 前項の規定による運用の方法の選定は、その運用から生ずると見込まれる収益の率、収益の変動の可能性その他の収益の性質が類似していないことその他政令で定める基準に従って行われなければならない。

3 企業型運用関連運営管理機関等は、前二項の規定により運用の方法の選定を行うに際しては、資産の運用に関する専門的な知見に基づいて、これを行わなければならない。

第二十三条の二(指定運用方法の選定)

 企業型運用関連運営管理機関等は、企業型年金規約で定めるところにより、前条第一項の規定により提示する運用の方法のほか、対象運用方法のうちから一の運用の方法を選定し、企業型年金加入者に提示することができる。

2 前項の規定により選定した運用の方法(以下「指定運用方法」という。)は、長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものでなければならない。

3 前条第三項の規定は、第一項の規定により指定運用方法を選定する場合について準用する。

第二十四条(運用の方法に係る情報の提供)

 企業型運用関連運営管理機関等は、厚生労働省令で定めるところにより、第二十三条第一項の規定により提示した運用の方法について、これに関する利益の見込み及び損失の可能性その他の企業型年金加入者等が第二十五条第一項の運用の指図を行うために必要な情報を、当該企業型年金加入者等に提供しなければならない。

第二十四条の二(指定運用方法に係る情報の提供)

 企業型運用関連運営管理機関等は、第二十三条の二第一項の規定により指定運用方法を選定し、提示した場合は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項に係る情報を企業型年金加入者に提供しなければならない。

  • 一 指定運用方法に関する利益の見込み及び損失の可能性
  • 二 指定運用方法を選定した理由
  • 三 第二十五条の二第二項の事項
  • 四 その他厚生労働省令で定める事項

第二十五条(運用の指図)

 企業型年金加入者等は、企業型年金規約で定めるところにより、積立金のうち当該企業型年金加入者等の個人別管理資産について運用の指図を行う。

2 前項の運用の指図(以下この章において単に「運用の指図」という。)は、第二十三条第一項の規定により提示された運用の方法(第二十三条の二第一項の規定により指定運用方法が提示された場合にあっては、当該指定運用方法を含む。以下この条において同じ。)(第二十六条第一項において「提示運用方法」という。)の中から一又は二以上の運用の方法を選択し、かつ、それぞれの運用の方法に充てる額を決定して、これらの事項を企業型記録関連運営管理機関等に示すことによって行うものとする。

3 企業型記録関連運営管理機関等は、運用の指図を受けたときは、政令で定めるところにより、同時に行われた運用の指図を第二十三条第一項の規定により提示された運用の方法ごとに取りまとめ、その内容を資産管理機関に通知するものとする。

4 資産管理機関は、前項の通知があったときは、速やかに、同項の通知に従って、それぞれの運用の方法について、契約の締結、変更又は解除その他の必要な措置を行わなければならない。

第二十五条の二(指定運用方法が提示されている場合の運用の指図の特例)

 次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める日から起算して三月以上で企業型年金規約で定める期間(次項において「特定期間」という。)を経過してもなお企業型記録関連運営管理機関等が企業型年金加入者から運用の指図を受けないときは、当該企業型記録関連運営管理機関等は、同項の事項及び当該指定運用方法を当該企業型年金加入者に通知しなければならない。

  • 一 第二十三条の二第一項の規定により指定運用方法が提示されている場合であって、企業型年金加入者がその資格を取得したとき その後最初に事業主掛金又は企業型年金加入者掛金(次号及び第三項において「事業主掛金等」という。)の納付が行われた日
  • 二 企業型年金加入者がその資格を取得している場合であって、第二十三条の二第一項の規定により指定運用方法が提示されたとき その後最初に事業主掛金等の納付が行われた日

2 前項の規定による通知を受けた企業型年金加入者が特定期間を経過した日から二週間以上で企業型年金規約で定める期間(次項において「猶予期間」という。)を経過してもなお運用の指図を行わないときは、当該企業型年金加入者は、当該通知に係る指定運用方法を選択し、かつ、当該指定運用方法にその未指図個人別管理資産の全額を充てる運用の指図を行ったものとみなす。

3 前項の「未指図個人別管理資産」とは、個人別管理資産のうち、第一項の規定による通知に係る猶予期間が終了する日までに運用の指図が行われていないもの及び同日後に納付される事業主掛金等について運用の指図が行われていないものをいう。

第二十六条(運用の方法の除外に係る同意)

 企業型運用関連運営管理機関等は、提示運用方法から運用の方法を除外しようとするときは、企業型年金規約で定めるところにより、当該除外しようとする運用の方法を選択して運用の指図を行っている企業型年金加入者等(以下この条において「除外運用方法指図者」という。)(所在が明らかでない者を除く。)の三分の二以上の同意を得なければならない。ただし、当該運用の方法に係る契約の相手方が欠けたことその他厚生労働省令で定める事由により当該運用の方法を除外しようとするときは、この限りでない。

2 企業型運用関連運営管理機関等は、企業型年金規約で定めるところにより、除外運用方法指図者に前項の同意を得るための通知をした日から三週間以上で企業型年金規約で定める期間を経過してもなお除外運用方法指図者から同意又は不同意の意思表示を受けなかった場合は、当該除外運用方法指図者は同項の同意をしたものとみなすことができる。この場合において、当該通知には、その旨を記載しなければならない。

3 企業型運用関連運営管理機関等は、第一項の規定により運用の方法を除外したときは、その旨を除外運用方法指図者に通知しなければならない。

4 企業型運用関連運営管理機関等は、除外運用方法指図者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、同項の通知に代えて、当該運用の方法が除外された旨を公告しなければならない。

 罰則:第百二十三条(二十万円以下の過料)

第二十七条(個人別管理資産額の通知等)

 企業型記録関連運営管理機関等は、毎年少なくとも一回、企業型年金加入者等の個人別管理資産額その他厚生労働省令で定める事項を当該企業型年金加入者等に通知しなければならない。

2 企業型記録関連運営管理機関等は、企業型年金加入者等に係る掛金の拠出の状況その他の厚生労働省令で定める事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって厚生労働省令で定めるものにより、当該企業型年金加入者等が閲覧することができる状態に置かなければならない。

第五節 給付

第一款 通則

第二十八条(給付の種類)

 企業型年金の給付(以下この款及び第四十八条の二において「給付」という。)は、次のとおりとする。

  • 一 老齢給付金
  • 二 障害給付金
  • 三 死亡一時金

第二十九条(裁定)

 給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下この節において「受給権者」という。)の請求に基づいて、企業型記録関連運営管理機関等が裁定する。

2 企業型記録関連運営管理機関等は、前項の規定により裁定をしたときは、遅滞なく、その内容を資産管理機関に通知しなければならない。

第三十条(給付の額)

 給付の額は、企業型年金規約で定めるところにより算定した額とする。

第三十一条(年金給付の支給期間等)

 給付のうち年金として支給されるもの(次項において「年金給付」という。)の支給は、これを支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終わるものとする。

2 年金給付の支払期月については、企業型年金規約で定めるところによる。

第三十二条(受給権の譲渡等の禁止等)

 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。

2 租税その他の公課は、障害給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。

第二款 老齢給付金

第三十三条(支給要件)

 企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限り、当該企業型年金の障害給付金の受給権者又は他の企業型年金の企業型年金加入者を除く。以下この項において同じ。)であって次の各号に掲げるものが、それぞれ当該各号に定める年数又は月数以上の通算加入者等期間を有するときは、その者は、厚生労働省令で定めるところにより、企業型記録関連運営管理機関等に老齢給付金の支給を請求することができる。ただし、企業型年金加入者であった者であって六十歳以上七十五歳未満のものは、通算加入者等期間を有しない場合であっても、企業型年金加入者となった日その他の厚生労働省令で定める日から起算して五年を経過した日から企業型記録関連運営管理機関等に老齢給付金の支給を請求することができる。

  • 一 六十歳以上六十一歳未満の者 十年
  • 二 六十一歳以上六十二歳未満の者 八年
  • 三 六十二歳以上六十三歳未満の者 六年
  • 四 六十三歳以上六十四歳未満の者 四年
  • 五 六十四歳以上六十五歳未満の者 二年
  • 六 六十五歳以上の者 一月

2 前項の通算加入者等期間とは、政令で定めるところにより同項に規定する者の次に掲げる期間(その者が六十歳に達した日の前日が属する月以前の期間に限る。)を合算した期間をいう。

  • 一 企業型年金加入者期間
  • 二 企業型年金運用指図者期間
  • 三 個人型年金加入者である期間(以下「個人型年金加入者期間」という。)
  • 四 個人型年金運用指図者である期間(以下「個人型年金運用指図者期間」という。)

3 第一項の請求があったときは、資産管理機関は、企業型記録関連運営管理機関等の裁定に基づき、その請求をした者に老齢給付金を支給する。

第三十四条(七十五歳到達時の支給)

 企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)が前条の規定により老齢給付金の支給を請求することなく七十五歳に達したときは、資産管理機関は、その者に、企業型記録関連運営管理機関等の裁定に基づいて、老齢給付金を支給する。

第三十五条(支給の方法)

 老齢給付金は、年金として支給する。

2 老齢給付金は、企業型年金規約でその全部又は一部を一時金として支給することができることを定めた場合には、前項の規定にかかわらず、企業型年金規約で定めるところにより、一時金として支給することができる。

第三十六条(失権)

 老齢給付金の受給権は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、消滅する。

  • 一 受給権者が死亡したとき。
  • 二 当該企業型年金の障害給付金の受給権者となったとき。
  • 三 当該企業型年金に個人別管理資産がなくなったとき。

第三款 障害給付金

第三十七条(支給要件)

 企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)が、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)から七十五歳に達する日の前日までの間において、その傷病により政令で定める程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に企業型記録関連運営管理機関等に障害給付金の支給を請求することができる。

2 企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)が、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下この項において「基準傷病」という。)に係る初診日において基準傷病以外の傷病により障害の状態にある場合であって、基準傷病に係る障害認定日から七十五歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害と他の障害とを併合して前項の政令で定める程度の障害の状態に該当するに至ったとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が二以上ある場合は、基準傷病以外の全ての傷病)の初診日以降であるときに限る。)は、その者は、その期間内に企業型記録関連運営管理機関等に障害給付金の支給を請求することができる。

3 前二項の請求があったときは、資産管理機関は、企業型記録関連運営管理機関等の裁定に基づき、その請求をした者に障害給付金を支給する。

第三十八条(支給の方法)

 障害給付金は、年金として支給する。

2 障害給付金は、企業型年金規約でその全部又は一部を一時金として支給することができることを定めた場合には、前項の規定にかかわらず、企業型年金規約で定めるところにより、一時金として支給することができる。

第三十九条(失権)

 障害給付金の受給権は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、消滅する。

  • 一 受給権者が死亡したとき。
  • 二 当該企業型年金に個人別管理資産がなくなったとき。

第四款 死亡一時金

第四十条(支給要件)

 死亡一時金は、企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)が死亡したときに、その者の遺族に、資産管理機関が企業型記録関連運営管理機関等の裁定に基づいて、支給する。

第四十一条(遺族の範囲及び順位)

 死亡一時金を受けることができる遺族は、次に掲げる者とする。ただし、死亡した者が、死亡する前に、配偶者(届出をしていないが、死亡した者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下この条において同じ。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹のうちから死亡一時金を受ける者を指定してその旨を企業型記録関連運営管理機関等に対して表示したときは、その表示したところによるものとする。

  • 一 配偶者
  • 二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって死亡した者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していたもの
  • 三 前号に掲げる者のほか、死亡した者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していた親族
  • 四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって第二号に該当しないもの

2 前項本文の場合において、死亡一時金を受けることができる遺族の順位は、同項各号の順位により、同項第二号及び第四号に掲げる者のうちにあっては同号に掲げる順位による。この場合において、父母については養父母、実父母の順とし、祖父母については養父母の養父母、養父母の実父母、実父母の養父母、実父母の実父母の順とする。

3 前項の規定により死亡一時金を受けることができる遺族に同順位者が二人以上あるときは、死亡一時金は、その人数によって等分して支給する。

4 死亡一時金を受けることができる遺族がないときは、死亡した者の個人別管理資産額に相当する金銭は、死亡した者の相続財産とみなす。

5 死亡一時金を受けることができる者によるその権利の裁定の請求が死亡した者の死亡の後五年間ないときは、死亡一時金を受けることができる遺族はないものとみなして、前項の規定を適用する。

第四十二条(欠格)

 故意の犯罪行為により企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者を死亡させた者は、前条の規定にかかわらず、死亡一時金を受けることができない。企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者の死亡前に、その者の死亡によって死亡一時金を受けるべき者を故意の犯罪行為により死亡させた者についても、同様とする。

第六節 事業主等の行為準則

第四十三条(事業主の行為準則)

 事業主は、法令、法令に基づいてする厚生労働大臣の処分及び企業型年金規約を遵守し、企業型年金加入者等のため忠実にその業務を遂行しなければならない。

2 事業主は、企業型年金の実施に係る業務に関し、企業型年金加入者等の氏名、住所、生年月日、個人別管理資産額その他の企業型年金加入者等の個人に関する情報を保管し、又は使用するに当たっては、その業務の遂行に必要な範囲内で当該個人に関する情報を保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

3 事業主は、次に掲げる行為をしてはならない。

  • 一 自己又は企業型年金加入者等以外の第三者の利益を図る目的をもって、第七条第一項の規定による運営管理業務の委託に係る契約又は資産管理契約を締結すること。
  • 二 前号に掲げるもののほか、企業型年金加入者等の保護に欠けるものとして厚生労働省令で定める行為

4 事業主(運用関連業務を行う者である場合に限る。)は、次に掲げる行為をしてはならない。

  • 一 自己又は企業型年金加入者等以外の第三者の利益を図る目的をもって、特定の運用の方法を選定すること。
  • 二 前号に掲げるもののほか、企業型年金加入者等の保護に欠けるものとして厚生労働省令で定める行為

第四十四条(資産管理機関の行為準則)

 資産管理機関は、法令及び資産管理契約を遵守し、企業型年金加入者等のため忠実にその業務を遂行しなければならない。

第七節 企業型年金の終了

第四十五条(企業型年金の終了)

 企業型年金は、次の各号のいずれかに該当するに至った場合に終了する。

  • 一 次条第一項の承認があったとき。
  • 二 第四十七条の規定により企業型年金規約の承認の効力が失われたとき。
  • 三 第五十二条第二項の規定により企業型年金規約の承認が取り消されたとき。

第四十六条

 事業主は、企業型年金を終了しようとするときは、実施事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、当該第一号等厚生年金被保険者の過半数で組織する労働組合がないときは当該第一号等厚生年金被保険者の過半数を代表する者の同意を得て、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

2 前項の場合において、実施事業所が二以上であるときは、同項の同意は、各実施事業所について得なければならない。

3 第四条第二項及び第三項の規定は、第一項の終了の承認の申請があった場合について準用する。

第四十七条

 事業主(企業型年金を共同して実施している場合にあっては、当該企業型年金を実施している事業主の全部)が次の各号のいずれかに該当するに至った場合は、その実施する企業型年金の企業型年金規約の承認は、その効力を失う。この場合において、それぞれ当該各号に定める者は、当該各号に該当するに至った日(第一号の場合にあっては、その事実を知った日)から三十日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

  • 一 事業主が死亡したとき その相続人
  • 二 法人が合併により消滅したとき その法人を代表する役員であった者
  • 三 法人が破産手続開始の決定により解散したとき その破産管財人
  • 四 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき その清算人
  • 五 厚生年金適用事業所の事業主でなくなったとき(前各号に掲げる場合を除く。) 厚生年金適用事業所の事業主であった個人又は厚生年金適用事業所の事業主であった法人を代表する役員

 罰則:第百二十四条(十万円以下の過料)

第四十八条(政令への委任)

 この節に定めるもののほか、企業型年金の終了に関し必要な事項は、政令で定める。

第八節 雑則

第四十八条の二(情報収集等業務及び資料提供等業務の委託)

 事業主は、給付の支給を行うために必要となる企業型年金加入者等に関する情報の収集、整理又は分析の業務(運営管理業務を除く。以下「情報収集等業務」という。)及び企業型年金加入者等による運用の指図に資するために行う資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置に係る業務(以下「資料提供等業務」という。)の全部又は一部を、企業年金連合会(確定給付企業年金法第九十一条の二第一項に規定する企業年金連合会をいう。以下同じ。)に委託することができる。

第四十八条の三(企業年金連合会の業務の特例)

 企業年金連合会は、確定給付企業年金法の規定による業務のほか、前条第七十三条において準用する場合を含む。)の規定による委託を受けて、情報収集等業務及び資料提供等業務を行うことができる。

第四十八条の四(区分経理)

 企業年金連合会は、情報収集等業務及び資料提供等業務に係る経理については、その他の経理と区分して整理しなければならない。

第四十八条の五(確定給付企業年金法の適用)

 第四十八条の三の規定により企業年金連合会の情報収集等業務又は資料提供等業務が行われる場合には、確定給付企業年金法第百二十一条中「この法律」とあるのは、「この法律又は確定拠出年金法第四十八条の三」とするほか、同法の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第四十九条(運営管理業務に関する帳簿書類)

 事業主(運営管理業務を行う者である場合に限る。)は、厚生労働省令で定めるところにより、運営管理業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

 罰則:第百二十三条(二十万円以下の過料)

第五十条(報告書の提出)

 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、企業型年金に係る業務についての報告書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

 罰則:第百二十三条(二十万円以下の過料)

第五十一条(報告の徴収等)

 厚生労働大臣は、この法律の施行に必要な限度において、事業主に対し、企業型年金の実施状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして事業所に立ち入って関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。

2 前項の規定によって質問及び検査を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 罰則:第百二十条(六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金)

第五十二条(事業主に対する監督)

 厚生労働大臣は、前条の規定により報告を徴し、又は質問し、若しくは検査した場合において、事業主がその実施する企業型年金に関し法令、企業型年金規約若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、又は事業主の企業型年金の運営が著しく適正を欠くと認めるときは、期間を定めて、事業主に対し、その違反の是正又は改善のため必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。

2 事業主が前項の命令に違反したとき、又は企業型年金の実施状況によりその継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、当該事業主の企業型年金規約の承認を取り消すことができる。

 罰則:第百二十三条(二十万円以下の過料)

第五十三条(企業年金基金の業務の特例)

 企業年金基金は、その規約で定めるところにより、資産管理契約に係る業務を行うことができる。

2 企業年金基金は、資産管理契約に係る業務に係る経理については、その他の経理と区分して整理しなければならない。

3 第一項の規定により企業年金基金の業務が行われる場合には、確定給付企業年金法第百二十一条中「この法律」とあるのは、「この法律又は確定拠出年金法第五十三条第一項」とするほか、同法の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第五十四条(他の制度の資産の移換)

 企業型年金の資産管理機関は、政令で定めるところにより、当該企業型年金の実施事業所において実施される確定給付企業年金、中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)の規定による退職金共済又は退職手当制度に係る資産の全部又は一部の移換を受けることができる。

2 前項の規定により資産管理機関が資産の移換を受けたときは、各企業型年金加入者が当該実施事業所の事業主に使用された期間(当該企業型年金加入者が六十歳に達した日の前日が属する月以前の期間に限る。)その他これに準ずる期間のうち政令で定めるものは、当該企業型年金加入者に係る第三十三条第一項の通算加入者等期間に算入するものとする。

第五十四条の二(脱退一時金相当額等の移換)

 企業型年金の資産管理機関は、政令で定めるところにより、脱退一時金相当額等(確定給付企業年金の脱退一時金相当額(確定給付企業年金法第八十一条の二第一項に規定する脱退一時金相当額をいう。)又は企業年金連合会の規約で定める積立金(確定給付企業年金法第五十九条に規定する積立金をいう。)をいう。以下同じ。)の移換を受けることができる。

2 前項の規定により資産管理機関が脱退一時金相当額等の移換を受けたときは、各企業型年金加入者等が当該確定給付企業年金の実施事業所の事業主に使用された期間(当該企業型年金加入者が六十歳に達した日の前日が属する月以前の期間に限る。)その他これに準ずる期間のうち政令で定めるものは、当該企業型年金加入者等に係る第三十三条第一項の通算加入者等期間に算入するものとする。

第五十四条の三(他の制度の資産等の移換があった場合の運用の指図の特例)

 第五十四条第一項又は前条第一項の規定により移換される資産又は脱退一時金相当額等がある場合における第二十五条の二の規定の適用については、同条第三項中「及び同日後」とあるのは「、同日後」と、「をいう」とあるのは「及び同日後に第五十四条第一項又は第五十四条の二第一項の規定により移換される資産又は脱退一時金相当額等について運用の指図が行われていないものをいう」とする。

第五十四条の四(確定給付企業年金の加入者となった者の個人別管理資産の移換)

 企業型年金の企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)は、確定給付企業年金の加入者の資格を取得した場合であって、当該確定給付企業年金の規約において、あらかじめ、当該企業型年金の資産管理機関からその個人別管理資産の移換を受けることができる旨が定められているときは、当該企業型年金の資産管理機関にその個人別管理資産の移換を申し出ることができる。

2 企業型年金の資産管理機関は、前項の規定による申出があったときは、当該確定給付企業年金の資産管理運用機関等(確定給付企業年金法第三十条第三項に規定する資産管理運用機関等をいう。以下同じ。)に当該申出をした者の個人別管理資産を移換するものとする。

第五十四条の五(企業型年金加入者であった者の個人別管理資産の移換)

 企業型年金の企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限り、第十五条第一項第一号に規定する企業型年金運用指図者を除く。)は、企業年金連合会の規約において、あらかじめ、当該企業型年金の資産管理機関からその個人別管理資産の移換を受けることができる旨が定められているときは、当該企業型年金の資産管理機関にその個人別管理資産の移換を申し出ることができる。

2 企業型年金の資産管理機関は、前項の規定による申出があったときは、企業年金連合会に当該申出をした者の個人別管理資産を移換するものとする。

第五十四条の六(退職金共済契約の被共済者となった者等の個人別管理資産の移換)

 実施事業所の事業主が会社法(平成十七年法律第八十六号)その他の法律の規定による合併、会社分割その他の行為として厚生労働省令で定める行為(以下この条において「合併等」という。)をした場合であって、当該合併等に係る事業主が、当該合併等により企業型年金の企業型年金加入者の資格を喪失した者を中小企業退職金共済法第二条第七項に規定する被共済者として同条第三項に規定する退職金共済契約を締結するときは、当該事業主は、当該企業型年金加入者であった者の同意を得て、当該企業型年金の資産管理機関に独立行政法人勤労者退職金共済機構(次条において「機構」という。)への当該同意を得た企業型年金加入者であった者の個人別管理資産の移換を申し出ることができる。

第五十四条の七(政令への委任)

 第五十四条から前条までに定めるもののほか、企業型年金の資産管理機関への資産及び脱退一時金相当額等並びに確定給付企業年金の資産管理運用機関等、企業年金連合会及び機構への個人別管理資産の移換に関し必要な事項は、政令で定める。

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菅野労務FP事務所(茨城県石岡市の社会保険労務士事務所)