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第二編 株式会社(会社法

 社会保険労務士事務所の菅野労務FP事務所(茨城県石岡市)が作成した法令の参照集で、可能な限りリンクでつないでいます。各ページ基本は章ごとのページにしています。

第三章 新株予約権

第五節 株式会社による自己の新株予約権の取得

第一款 募集事項の定めに基づく新株予約権の取得

第二百七十三条(取得する日の決定)

 取得条項付新株予約権(第二百三十六条第一項第七号イに掲げる事項についての定めがある新株予約権をいう。以下この章において同じ。)の内容として同号ロに掲げる事項についての定めがある場合には、株式会社は、同号ロの日を株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。ただし、当該取得条項付新株予約権の内容として別段の定めがある場合は、この限りでない。

2 第二百三十六条第一項第七号ロの日を定めたときは、株式会社は、取得条項付新株予約権の新株予約権者(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、次条第一項の規定により決定した取得条項付新株予約権の新株予約権者)及びその登録新株予約権質権者に対し、当該日の二週間前までに、当該日を通知しなければならない。

3 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

第二百七十四条(取得する新株予約権の決定等)

 株式会社は、新株予約権の内容として第二百三十六条第一項第七号ハに掲げる事項についての定めがある場合において、取得条項付新株予約権を取得しようとするときは、その取得する取得条項付新株予約権を決定しなければならない。

2 前項の取得条項付新株予約権は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって定めなければならない。ただし、当該取得条項付新株予約権の内容として別段の定めがある場合は、この限りでない。

3 第一項の規定による決定をしたときは、株式会社は、同項の規定により決定した取得条項付新株予約権の新株予約権者及びその登録新株予約権質権者に対し、直ちに、当該取得条項付新株予約権を取得する旨を通知しなければならない。

4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

第二百七十五条(効力の発生等)

 株式会社は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、第一号に掲げる日又は第二号に掲げる日のいずれか遅い日。次項及び第三項において同じ。)に、取得条項付新株予約権(同条第一項第七号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定したもの。次項及び第三項において同じ。)を取得する。

  • 一 第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日
  • 二 前条第三項の規定による通知の日又は同条第四項の公告の日から二週間を経過した日

2 前項の規定により株式会社が取得する取得条項付新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、株式会社は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日に、当該新株予約権付社債についての社債を取得する。

3 次の各号に掲げる場合には、取得条項付新株予約権の新株予約権者(当該株式会社を除く。)は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた日に、同号に定める事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。

  • 一 第二百三十六条第一項第七号ニに掲げる事項についての定めがある場合 同号ニの株式の株主
  • 二 第二百三十六条第一項第七号ホに掲げる事項についての定めがある場合 同号ホの社債の社債権者
  • 三 第二百三十六条第一項第七号ヘに掲げる事項についての定めがある場合 同号ヘの他の新株予約権の新株予約権者
  • 四 第二百三十六条第一項第七号トに掲げる事項についての定めがある場合 同号トの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者

4 株式会社は、第二百三十六条第一項第七号イの事由が生じた後、遅滞なく、取得条項付新株予約権の新株予約権者及びその登録新株予約権質権者(同号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、前条第一項の規定により決定した取得条項付新株予約権の新株予約権者及びその登録新株予約権質権者)に対し、当該事由が生じた旨を通知しなければならない。ただし、第二百七十三条第二項の規定による通知又は同条第三項の公告をしたときは、この限りでない。

5 前項本文の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

第二款 新株予約権の消却

第二百七十六条

 株式会社は、自己新株予約権を消却することができる。この場合においては、消却する自己新株予約権の内容及び数を定めなければならない。

2 取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。

第六節 新株予約権無償割当て

第二百七十七条(新株予約権無償割当て)

 株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の新株予約権の割当て(以下この節において「新株予約権無償割当て」という。)をすることができる。

第二百七十八条(新株予約権無償割当てに関する事項の決定)

 株式会社は、新株予約権無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。

  • 一 株主に割り当てる新株予約権の内容及び数又はその算定方法
  • 二 前号の新株予約権が新株予約権付社債に付されたものであるときは、当該新株予約権付社債についての社債の種類及び各社債の金額の合計額又はその算定方法
  • 三 当該新株予約権無償割当てがその効力を生ずる日
  • 四 株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該新株予約権無償割当てを受ける株主の有する株式の種類

2 前項第一号及び第二号に掲げる事項についての定めは、当該株式会社以外の株主(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の種類株主)の有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の株式)の数に応じて同項第一号の新株予約権及び同項第二号の社債を割り当てることを内容とするものでなければならない。

3 第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

第二百七十九条(新株予約権無償割当ての効力の発生等)

 前条第一項第一号の新株予約権の割当てを受けた株主は、同項第三号の日に、同項第一号の新株予約権の新株予約権者(同項第二号に規定する場合にあっては、同項第一号の新株予約権の新株予約権者及び同項第二号の社債の社債権者)となる。

2 株式会社は、前条第一項第三号の日後遅滞なく、株主(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の種類株主)及びその登録株式質権者に対し、当該株主が割当てを受けた新株予約権の内容及び数(同項第二号に規定する場合にあっては、当該株主が割当てを受けた社債の種類及び各社債の金額の合計額を含む。)を通知しなければならない。

3 前項の規定による通知がされた場合において、前条第一項第一号の新株予約権についての第二百三十六条第一項第四号の期間の末日が当該通知の日から二週間を経過する日前に到来するときは、同号の期間は、当該通知の日から二週間を経過する日まで延長されたものとみなす。

第七節 新株予約権の行使

第一款 総則

第二百八十条(新株予約権の行使)

 新株予約権の行使は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

  • 一 その行使に係る新株予約権の内容及び数
  • 二 新株予約権を行使する日

2 証券発行新株予約権を行使しようとするときは、当該証券発行新株予約権の新株予約権者は、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を株式会社に提出しなければならない。ただし、当該新株予約権証券が発行されていないときは、この限りでない。

3 証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提示しなければならない。この場合において、当該株式会社は、当該新株予約権付社債券に当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅した旨を記載しなければならない。

4 前項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合において、当該新株予約権の行使により当該証券発行新株予約権付社債についての社債が消滅するときは、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提出しなければならない。

5 第三項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債についての社債の償還後に当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提出しなければならない。

6 株式会社は、自己新株予約権を行使することができない。

第二百八十一条(新株予約権の行使に際しての払込み)

 金銭を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、新株予約権者は、前条第一項第二号の日に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、その行使に係る新株予約権についての第二百三十六条第一項第二号の価額の全額を払い込まなければならない。

2 金銭以外の財産を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、新株予約権者は、前条第一項第二号の日に、その行使に係る新株予約権についての第二百三十六条第一項第三号の財産を給付しなければならない。この場合において、当該財産の価額が同項第二号の価額に足りないときは、前項の払込みの取扱いの場所においてその差額に相当する金銭を払い込まなければならない。

3 新株予約権者は、第一項の規定による払込み又は前項の規定による給付をする債務と株式会社に対する債権とを相殺することができない。

第二百八十二条(株主となる時期等)

 新株予約権を行使した新株予約権者は、当該新株予約権を行使した日に、当該新株予約権の目的である株式の株主となる。

2 新株予約権を行使した新株予約権者であって第二百八十六条の二第一項各号に掲げる者に該当するものは、当該各号に定める支払若しくは給付又は第二百八十六条の三第一項の規定による支払がされた後でなければ、第二百八十六条の二第一項各号の払込み又は給付が仮装された新株予約権の目的である株式について、株主の権利を行使することができない。

3 前項の株式を譲り受けた者は、当該株式についての株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

第二百八十三条(一に満たない端数の処理)

 新株予約権を行使した場合において、当該新株予約権の新株予約権者に交付する株式の数に一株に満たない端数があるときは、株式会社は、当該新株予約権者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額にその端数を乗じて得た額に相当する金銭を交付しなければならない。ただし、第二百三十六条第一項第九号に掲げる事項についての定めがある場合は、この限りでない。

  • 一 当該株式が市場価格のある株式である場合 当該株式一株の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
  • 二 前号に掲げる場合以外の場合 一株当たり純資産額

第二款 金銭以外の財産の出資

第二百八十四条

 株式会社は、第二百三十六条第一項第三号に掲げる事項についての定めがある新株予約権が行使された場合には、第二百八十一条第二項の規定による給付があった後、遅滞なく、同号の財産(以下この節において「現物出資財産」という。)の価額を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。

2 前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。

3 裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。

4 第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。

5 裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。

6 第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、株式会社に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。

7 裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、現物出資財産について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。

8 第一項の新株予約権の新株予約権者は、前項の決定により現物出資財産の価額の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その新株予約権の行使に係る意思表示を取り消すことができる。

9 前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。

  • 一 行使された新株予約権の新株予約権者が交付を受ける株式の総数が発行済株式の総数の十分の一を超えない場合 当該新株予約権者が給付する現物出資財産の価額
  • 二 現物出資財産について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額の総額が五百万円を超えない場合 当該現物出資財産の価額
  • 三 現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合 当該有価証券についての現物出資財産の価額
  • 四 現物出資財産について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 当該証明を受けた現物出資財産の価額
  • 五 現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る。)であって、当該金銭債権について定められた第二百三十六条第一項第三号の価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合 当該金銭債権についての現物出資財産の価額

10 次に掲げる者は、前項第四号に規定する証明をすることができない。

  • 一 取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人
  • 二 新株予約権者
  • 三 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
  • 四 弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号又は第二号に掲げる者のいずれかに該当するもの

第三款 責任

第二百八十五条(不公正な払込金額で新株予約権を引き受けた者等の責任)

 新株予約権を行使した新株予約権者は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める額を支払う義務を負う。

  • 一 第二百三十八条第一項第二号に規定する場合において、募集新株予約権につき金銭の払込みを要しないこととすることが著しく不公正な条件であるとき(取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役又は執行役。次号において同じ。)と通じて新株予約権を引き受けた場合に限る。) 当該新株予約権の公正な価額
  • 二 第二百三十八条第一項第三号に規定する場合において、取締役と通じて著しく不公正な払込金額で新株予約権を引き受けたとき 当該払込金額と当該新株予約権の公正な価額との差額に相当する金額
  • 三 第二百八十二条第一項の規定により株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足する場合 当該不足額

2 前項第三号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した新株予約権者が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第二百三十六条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、新株予約権の行使に係る意思表示を取り消すことができる。

第二百八十六条(出資された財産等の価額が不足する場合の取締役等の責任)

 前条第一項第三号に掲げる場合には、次に掲げる者(以下この条において「取締役等」という。)は、株式会社に対し、同号に定める額を支払う義務を負う。

  • 一 当該新株予約権者の募集に関する職務を行った業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役。以下この号において同じ。)その他当該業務執行取締役の行う業務の執行に職務上関与した者として法務省令で定めるもの
  • 二 現物出資財産の価額の決定に関する株主総会の決議があったときは、当該株主総会に議案を提案した取締役として法務省令で定めるもの
  • 三 現物出資財産の価額の決定に関する取締役会の決議があったときは、当該取締役会に議案を提案した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役又は執行役)として法務省令で定めるもの

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、取締役等は、現物出資財産について同項の義務を負わない。

  • 一 現物出資財産の価額について第二百八十四条第二項の検査役の調査を経た場合
  • 二 当該取締役等がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合

3 第一項に規定する場合には、第二百八十四条第九項第四号に規定する証明をした者(以下この条において「証明者」という。)は、株式会社に対し前条第一項第三号に定める額を支払う義務を負う。ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

4 新株予約権者がその給付した現物出資財産についての前条第一項第三号に定める額を支払う義務を負う場合において、次に掲げる者が当該現物出資財産について当該各号に定める義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

  • 一 取締役等 第一項の義務
  • 二 証明者 前項本文の義務

第二百八十六条の二(新株予約権に係る払込み等を仮装した新株予約権者等の責任)

 新株予約権を行使した新株予約権者であって次の各号に掲げる者に該当するものは、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。

  • 一 第二百四十六条第一項の規定による払込み(同条第二項の規定により当該払込みに代えてする金銭以外の財産の給付を含む。)を仮装した者又は当該払込みが仮装されたことを知って、若しくは重大な過失により知らないで募集新株予約権を譲り受けた者 払込みが仮装された払込金額の全額の支払(当該払込みに代えてする金銭以外の財産の給付が仮装された場合にあっては、当該財産の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払))
  • 二 第二百八十一条第一項又は第二項後段の規定による払込みを仮装した者 払込みを仮装した金銭の全額の支払
  • 三 第二百八十一条第二項前段の規定による給付を仮装した者 給付を仮装した金銭以外の財産の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)

2 前項の規定により同項に規定する新株予約権者の負う義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。

第二百八十六条の三(新株予約権に係る払込み等を仮装した場合の取締役等の責任)

 新株予約権を行使した新株予約権者であって前条第一項各号に掲げる者に該当するものが当該各号に定める行為をする義務を負う場合には、当該各号の払込み又は給付を仮装することに関与した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役を含む。)として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該払込み又は当該給付を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。

2 新株予約権を行使した新株予約権者であって前条第一項各号に掲げる者に該当するものが当該各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

第四款 雑則

第二百八十七条

 第二百七十六条第一項の場合のほか、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。

第八節 新株予約権に係る証券

第一款 新株予約権証券

第二百八十八条(新株予約権証券の発行)

 株式会社は、証券発行新株予約権を発行した日以後遅滞なく、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を発行しなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、株式会社は、新株予約権者から請求がある時までは、同項の新株予約権証券を発行しないことができる。

 罰則:第九百七十六条(百万円以下の過料)

第二百八十九条(新株予約権証券の記載事項)

 新株予約権証券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

  • 一 株式会社の商号
  • 二 当該新株予約権証券に係る証券発行新株予約権の内容及び数

第二百九十条(記名式と無記名式との間の転換)

 証券発行新株予約権の新株予約権者は、第二百三十六条第一項第十一号に掲げる事項についての定めによりすることができないこととされている場合を除き、いつでも、その記名式の新株予約権証券を無記名式とし、又はその無記名式の新株予約権証券を記名式とすることを請求することができる。

第二百九十一条(新株予約権証券の喪失)

 新株予約権証券は、非訟事件手続法第百条に規定する公示催告手続によって無効とすることができる。

2 新株予約権証券を喪失した者は、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定を得た後でなければ、その再発行を請求することができない。

第二款 新株予約権付社債券

第二百九十二条

 証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券には、第六百九十七条第一項の規定により記載すべき事項のほか、当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権の内容及び数を記載しなければならない。

2 証券発行新株予約権付社債についての社債の償還をする場合において、当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅していないときは、株式会社は、当該証券発行新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券と引換えに社債の償還をすることを請求することができない。この場合においては、株式会社は、社債の償還をするのと引換えに、当該新株予約権付社債券の提示を求め、当該新株予約権付社債券に社債の償還をした旨を記載することができる。

第三款 新株予約権証券等の提出

第二百九十三条(新株予約権証券の提出に関する公告等)

 株式会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、当該各号に定める新株予約権に係る新株予約権証券(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券。以下この款において同じ。)を発行しているときは、当該株式会社は、当該行為の効力が生ずる日(第一号に掲げる行為をする場合にあっては、第百七十九条の二第一項第五号に規定する取得日。以下この条において「新株予約権証券提出日」という。)までに当該株式会社に対し当該新株予約権証券を提出しなければならない旨を新株予約権証券提出日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該新株予約権の新株予約権者及びその登録新株予約権質権者には、各別にこれを通知しなければならない。

  • 一 第百七十九条の三第一項の承認 売渡新株予約権
  • 一の二 取得条項付新株予約権の取得 当該取得条項付新株予約権
  • 二 組織変更 全部の新株予約権
  • 三 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 全部の新株予約権
  • 四 吸収分割 第七百五十八条第五号イに規定する吸収分割契約新株予約権
  • 五 新設分割 第七百六十三条第一項第十号イに規定する新設分割計画新株予約権
  • 六 株式交換 第七百六十八条第一項第四号イに規定する株式交換契約新株予約権
  • 七 株式移転 第七百七十三条第一項第九号イに規定する株式移転計画新株予約権

2 株式会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、新株予約権証券提出日までに当該株式会社に対して新株予約権証券を提出しない者があるときは、当該各号に定める者は、当該新株予約権証券の提出があるまでの間、当該行為(第一号に掲げる行為をする場合にあっては、新株予約権売渡請求に係る売渡新株予約権の取得)によって当該新株予約権証券に係る新株予約権の新株予約権者が交付を受けることができる金銭等の交付を拒むことができる。

  • 一 第百七十九条の三第一項の承認 特別支配株主
  • 二 取得条項付新株予約権の取得 当該株式会社
  • 三 組織変更 第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
  • 四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
  • 五 吸収分割 第七百五十八条第一号に規定する吸収分割承継株式会社
  • 六 新設分割 第七百六十三条第一項第一号に規定する新設分割設立株式会社
  • 七 株式交換 第七百六十八条第一項第一号に規定する株式交換完全親株式会社
  • 八 株式移転 第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社

3 第一項各号に定める新株予約権に係る新株予約権証券は、新株予約権証券提出日に無効となる。

4 第一項第一号の規定による公告及び通知の費用は、特別支配株主の負担とする。

5 第二百二十条の規定は、第一項各号に掲げる行為をした場合において、新株予約権証券を提出することができない者があるときについて準用する。この場合において、同条第二項中「前条第二項各号」とあるのは、「第二百九十三条第二項各号」と読み替えるものとする。

第二百九十四条(無記名式の新株予約権証券等が提出されない場合)

 第百三十二条の規定にかかわらず、前条第一項第一号の二に掲げる行為をする場合(株式会社が新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式を交付する場合に限る。)において、同項の規定により新株予約権証券(無記名式のものに限る。以下この条において同じ。)が提出されないときは、株式会社は、当該新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる株式に係る第百二十一条第一号に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを要しない。

2 前項に規定する場合には、株式会社は、前条第一項の規定により提出しなければならない新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる株式の株主に対する通知又は催告をすることを要しない。

3 第二百四十九条及び第二百五十九条第一項の規定にかかわらず、前条第一項第一号の二に掲げる行為をする場合(株式会社が新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の他の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付する場合に限る。)において、同項の規定により新株予約権証券が提出されないときは、株式会社は、当該新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる当該他の新株予約権(無記名新株予約権を除く。)に係る第二百四十九条第三号イに掲げる事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを要しない。

4 前項に規定する場合には、株式会社は、前条第一項の規定により提出しなければならない新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる新株予約権の新株予約権者に対する通知又は催告をすることを要しない。

5 第二百四十九条及び第二百五十九条第一項の規定にかかわらず、前条第一項第一号の二に掲げる行為をする場合(株式会社が新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付する場合に限る。)において、同項の規定により新株予約権証券が提出されないときは、株式会社は、当該新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる新株予約権付社債(無記名新株予約権付社債を除く。)に付された新株予約権に係る第二百四十九条第三号イに掲げる事項を新株予約権原簿に記載し、又は記録することを要しない。

6 前項に規定する場合には、株式会社は、前条第一項の規定により提出しなければならない新株予約権証券を有する者が交付を受けることができる新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者に対する通知又は催告をすることを要しない。

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