目次

第五編 組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付(会社法

第三章 会社分割

第一節 吸収分割

第一款 通則

第七百五十七条(吸収分割契約の締結)

 会社(株式会社又は合同会社に限る。)は、吸収分割をすることができる。この場合においては、当該会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継する会社(以下この編において「吸収分割承継会社」という。)との間で、吸収分割契約を締結しなければならない。

第二款 株式会社に権利義務を承継させる吸収分割

第七百五十八条(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割契約)

 会社が吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社が株式会社であるときは、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。

第七百五十九条(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)

 吸収分割承継株式会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継する。

2 前項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、第七百八十九条第二項(第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第七百八十九条第三項(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割会社に対して、吸収分割会社が効力発生日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

3 第一項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割承継株式会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割承継株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

4 第一項の規定にかかわらず、吸収分割会社が吸収分割承継株式会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って吸収分割をした場合には、残存債権者は、吸収分割承継株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、吸収分割承継株式会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

5 前項の規定は、前条第八号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。

6 吸収分割承継株式会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。効力発生日から十年を経過したときも、同様とする。

7 吸収分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、吸収分割承継株式会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。

8 次の各号に掲げる場合には、吸収分割会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、当該各号に定める者となる。

9 前条第五号に規定する場合には、効力発生日に、吸収分割契約新株予約権は、消滅し、当該吸収分割契約新株予約権の新株予約権者は、同条第六号に掲げる事項についての定めに従い、同条第五号ロの吸収分割承継株式会社の新株予約権の新株予約権者となる。

10 前各項の規定は、第七百八十九条(第一項第三号及び第二項第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第七百九十九条の規定による手続が終了していない場合又は吸収分割を中止した場合には、適用しない。

第三款 持分会社に権利義務を承継させる吸収分割

第七百六十条(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割契約)

 会社が吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社が持分会社であるときは、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。

第七百六十一条(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)

 吸収分割承継持分会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継する。

2 前項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、第七百八十九条第二項(第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第七百八十九条第三項(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割会社に対して、吸収分割会社が効力発生日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

3 第一項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割承継持分会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割承継持分会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

4 第一項の規定にかかわらず、吸収分割会社が吸収分割承継持分会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って吸収分割をした場合には、残存債権者は、吸収分割承継持分会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、吸収分割承継持分会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

5 前項の規定は、前条第七号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。

6 吸収分割承継持分会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。効力発生日から十年を経過したときも、同様とする。

7 吸収分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、吸収分割承継持分会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。

8 前条第四号に規定する場合には、吸収分割会社は、効力発生日に、同号に掲げる事項についての定めに従い、吸収分割承継持分会社の社員となる。この場合においては、吸収分割承継持分会社は、効力発生日に、同号の社員に係る定款の変更をしたものとみなす。

9 前条第五号イに掲げる事項についての定めがある場合には、吸収分割会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、同号イの社債の社債権者となる。

10 前各項の規定は、第七百八十九条(第一項第三号及び第二項第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第八百二条第二項において準用する第七百九十九条(第二項第三号を除く。)の規定による手続が終了していない場合又は吸収分割を中止した場合には、適用しない。

第二節 新設分割

第一款 通則

第七百六十二条(新設分割計画の作成)

 一又は二以上の株式会社又は合同会社は、新設分割をすることができる。この場合においては、新設分割計画を作成しなければならない。

2 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をする場合には、当該二以上の株式会社又は合同会社は、共同して新設分割計画を作成しなければならない。

第二款 株式会社を設立する新設分割

第七百六十三条(株式会社を設立する新設分割計画)

 一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割により設立する会社(以下この編において「新設分割設立会社」という。)が株式会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。

2 新設分割設立株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項第三号に掲げる事項は、設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別して定めなければならない。

第七百六十四条(株式会社を設立する新設分割の効力の発生等)

 新設分割設立株式会社は、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設分割会社の権利義務を承継する。

2 前項の規定にかかわらず、第八百十条第一項第二号(第八百十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者であって、第八百十条第二項(第三号を除き、第八百十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第八百十条第三項(第八百十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、新設分割計画において新設分割後に新設分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割会社に対して、新設分割会社が新設分割設立株式会社の成立の日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

3 第一項の規定にかかわらず、第八百十条第一項第二号の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、新設分割計画において新設分割後に新設分割設立株式会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割設立株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

4 第一項の規定にかかわらず、新設分割会社が新設分割設立株式会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って新設分割をした場合には、残存債権者は、新設分割設立株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

5 前項の規定は、前条第一項第十二号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。

6 新設分割設立株式会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、新設分割会社が残存債権者を害することを知って新設分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。新設分割設立株式会社の成立の日から十年を経過したときも、同様とする。

7 新設分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、新設分割設立株式会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。

8 前条第一項に規定する場合には、新設分割会社は、新設分割設立株式会社の成立の日に、新設分割計画の定めに従い、同項第六号の株式の株主となる。

9 次の各号に掲げる場合には、新設分割会社は、新設分割設立株式会社の成立の日に、新設分割計画の定めに従い、当該各号に定める者となる。

10 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をする場合における前二項の規定の適用については、第八項中「新設分割計画の定め」とあるのは「同項第七号に掲げる事項についての定め」と、前項中「新設分割計画の定め」とあるのは「前条第一項第九号に掲げる事項についての定め」とする。

11 前条第一項第十号に規定する場合には、新設分割設立株式会社の成立の日に、新設分割計画新株予約権は、消滅し、当該新設分割計画新株予約権の新株予約権者は、同項第十一号に掲げる事項についての定めに従い、同項第十号ロの新設分割設立株式会社の新株予約権の新株予約権者となる。

第三款 持分会社を設立する新設分割

第七百六十五条(持分会社を設立する新設分割計画)

 一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割設立会社が持分会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。

2 新設分割設立持分会社が合名会社であるときは、前項第三号ロに掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を定めなければならない。

3 新設分割設立持分会社が合資会社であるときは、第一項第三号ロに掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を定めなければならない。

4 新設分割設立持分会社が合同会社であるときは、第一項第三号ロに掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を定めなければならない。

第七百六十六条(持分会社を設立する新設分割の効力の発生等)

 新設分割設立持分会社は、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設分割会社の権利義務を承継する。

2 前項の規定にかかわらず、第八百十条第一項第二号(第八百十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者であって、第八百十条第二項(第三号を除き、第八百十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第八百十条第三項(第八百十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、新設分割計画において新設分割後に新設分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割会社に対して、新設分割会社が新設分割設立持分会社の成立の日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

3 第一項の規定にかかわらず、第八百十条第一項第二号の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、新設分割計画において新設分割後に新設分割設立持分会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割設立持分会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

4 第一項の規定にかかわらず、新設分割会社が新設分割設立持分会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って新設分割をした場合には、残存債権者は、新設分割設立持分会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

5 前項の規定は、前条第一項第八号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。

6 新設分割設立持分会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、新設分割会社が残存債権者を害することを知って新設分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。新設分割設立持分会社の成立の日から十年を経過したときも、同様とする。

7 新設分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、新設分割設立持分会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。

8 前条第一項に規定する場合には、新設分割会社は、新設分割設立持分会社の成立の日に、同項第三号に掲げる事項についての定めに従い、当該新設分割設立持分会社の社員となる。

9 前条第一項第六号に掲げる事項についての定めがある場合には、新設分割会社は、新設分割設立持分会社の成立の日に、新設分割計画の定めに従い、同号の社債の社債権者となる。

10 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をする場合における前項の規定の適用については、同項中「新設分割計画の定めに従い、同号」とあるのは、「同項第七号に掲げる事項についての定めに従い、同項第六号」とする。

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