差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン前のリビジョン
次のリビジョン
前のリビジョン
第二章_労働契約 [2023/05/20 20:15] – [労働基準法の関連ページ] norimasa第二章_労働契約 [2023/12/05 20:14] (現在) – [労働基準法の関連ページ] norimasa
行 1: 行 1:
 ====== 第二章 労働契約(労働基準法 ====== ====== 第二章 労働契約(労働基準法 ======
  
- [[https://www.kannosrfp.com/|社会保険労務士事務所の菅野労務FP事務所(茨城県石岡市)]]が作成した法令の参照集で、可能な限りリンクでつないでいます。+ [[https://www.kannosrfp.com/|社会保険労務士事務所の菅野労務FP事務所(茨城県石岡市)]]が作成した法令の参照集で、可能な限りリンクでつないでいます。各ページ基本は章ごとのページにしています。
  
 ===== 第十三条(この法律違反の契約) ===== ===== 第十三条(この法律違反の契約) =====
 +
  この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。  この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
  
行 17: 行 18:
  
  罰則:[[第十三章_罰則#第百二十条|第百二十条]](三十万円以下の罰金)  罰則:[[第十三章_罰則#第百二十条|第百二十条]](三十万円以下の罰金)
 +
 ===== 第十五条(労働条件の明示) ===== ===== 第十五条(労働条件の明示) =====
 +
  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
  
行 25: 行 28:
  
  罰則:[[第十三章_罰則#第百二十条|第百二十条]](三十万円以下の罰金)  罰則:[[第十三章_罰則#第百二十条|第百二十条]](三十万円以下の罰金)
 +
 +==== 参考:労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第五条 ====
 +
 +<労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)>
 +
 +[[https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322M40000100023_20230401_504M60000100158#Mp-At_5|労働基準法施行規則第五条]]\\
 + 使用者が[[第二章_労働契約#第十五条_労働条件の明示|法第十五条]]第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。ただし、第一号の二に掲げる事項については期間の定めのある労働契約であつて当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限り、第四号の二から第十一号までに掲げる事項については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。
 +
 +  * 一 労働契約の期間に関する事項
 +  * 一の二 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
 +  * 一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
 +  * 二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
 +  * 三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
 +  * 四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
 +  * 四の二 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
 +  * 五 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
 +  * 六 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
 +  * 七 安全及び衛生に関する事項
 +  * 八 職業訓練に関する事項
 +  * 九 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
 +  * 十 表彰及び制裁に関する事項
 +  * 十一 休職に関する事項
 +
 +2 使用者は、[[第二章_労働契約#第十五条_労働条件の明示|法第十五条]]第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない。
 +
 +3 [[第二章_労働契約#第十五条_労働条件の明示|法第十五条]]第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、第一項第一号から第四号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)とする。
 +
 +4 [[第二章_労働契約#第十五条_労働条件の明示|法第十五条]]第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。
 +  * 一 ファクシミリを利用してする送信の方法
 +  * 二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信([[https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=359AC0000000086#Mp-At_2|電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条]]第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において「電子メール等」という。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
 +    * ※FAX、電子メール、LINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能 等
 +
 + 参考リンク:厚生労働省[[https://www.mhlw.go.jp/content/000481172.pdf|「労働基準法施⾏規則」 改正(平成31年4月)のお知らせ]](PDF)\\
 +       [[第九章_就業規則#第八十九条_作成及び届出の義務|労働基準法第89条(就業規則の作成と届出の義務)]]
 +
 +==== 労働条件の明示に関する通達・規定等 ====
 +
 +<「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」(平成11年1月29日 基発第45号)(抄)>
 +
 +2 労働条件の明示([[第二章_労働契約#第十五条_労働条件の明示|法第15条]]第1項関係)
 +
 +3 書面の交付により明示すべき事項
 +  * (2) 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
 +    * 雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りるものであるが、将来の就業場所や従事させる業務を併せ網羅的に明示することは差し支えないこと。
 +  * (4) 退職に関する事項
 +    * 退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければならないこと。なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りるものであること。
 +
 +==== < 令和6年4月1日に新しく追加される明示事項 > ====
 +
 +全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時
 +  * 1. 就業場所・業務の変更の範囲
 +    * 有期労働契約の締結時と更新時
 +  * 2. 更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容
 +    * 併せて、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明することが必要になる。
 +
 +無期転換ルール※に基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時
 +  * 3. 無期転換申込機会
 +  * 4. 無期転換後の労働条件
 +    * 併せて、無期転換後の労働条件を決定するに当たって、就業の実態に応じて、正社員等とのバランスを考慮した事項について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならないこととなる。
 +
 +参考リンク:\\
 + [[https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html|厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」]]\\
 + [[https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156050.pdf|厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが変わります」(PDF)]]
 +
 ===== 第十六条(賠償予定の禁止) ===== ===== 第十六条(賠償予定の禁止) =====
 +
  使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。  使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
  
行 31: 行 99:
  
 ===== 第十七条(前借金相殺の禁止) ===== ===== 第十七条(前借金相殺の禁止) =====
 +
  使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。  使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
  
  罰則:[[第十三章_罰則#第百十九条|第百十九条]](六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)  罰則:[[第十三章_罰則#第百十九条|第百十九条]](六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)
 +
 ===== 第十八条(強制貯金) ===== ===== 第十八条(強制貯金) =====
  
行 62: 行 132:
  
 ===== 第二十条(解雇の予告) ===== ===== 第二十条(解雇の予告) =====
 +
  使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。  使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
  
-② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。+2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
  
-③ 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。+3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。
  
  罰則:[[第十三章_罰則#第百十九条|第百十九条]](六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)  罰則:[[第十三章_罰則#第百十九条|第百十九条]](六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)
  
 +==== 参考:解雇予告手当の税金等 ====
 +
 + 労働基準法第20条(解雇の予告)の規定により、使用者が30日前までに予告をしないで労働者を解雇する場合に、その使用者から支払われる予告手当は、退職所得とされる退職手当等に該当します。
 +
 + 国税庁:[[https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2736.htm|解雇予告手当や未払賃金立替払制度に基づき国が弁済する未払賃金を受け取ったとき(退職所得)]]
  
 ===== 第二十一条 ===== ===== 第二十一条 =====
行 80: 行 156:
  
 ===== 第二十二条(退職時等の証明) ===== ===== 第二十二条(退職時等の証明) =====
 +
  労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。  労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
  
行 92: 行 169:
  
 ===== 第二十三条(金品の返還) ===== ===== 第二十三条(金品の返還) =====
 +
  使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。  使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
  
行 101: 行 179:
  
   * [[労働基準法|労働基準法トップへ]]   * [[労働基準法|労働基準法トップへ]]
-  * [[第一章 総則]](第一条~第十二条) +  * [[第一章 総則]] (第一条~第十二条) 
-  * [[第二章 労働契約]](第十三条~第二十三条) +  * [[第二章 労働契約]] (第十三条~第二十三条) 
-  * [[第三章 賃金]](第二十四条~第三十一条) +  * [[第三章 賃金]] (第二十四条~第三十一条) 
-  * [[第四章 労働時間、休憩|第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇]](第三十二条~第三十四条) +  * [[第四章 労働時間、休憩|第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇]] (第三十二条~第三十四条) 
-  * [[[第四章_労働時間_休憩#第四章 労働時間、休憩|第四章 労働時間、休憩]](第三十二条~第三十四条) +  * [[[第四章_労働時間_休憩#第四章 労働時間、休憩|第四章 労働時間、休憩]] (第三十二条~第三十四条) 
-  * [[第四章 休日、割増賃金等]](第三十五条~第三十八条の四) +  * [[第四章 休日、割増賃金等]] (第三十五条~第三十八条の四) 
-  * [[第四章 年次有給休暇]](第三十九条) +  * [[第四章 年次有給休暇]] (第三十九条) 
-  * [[第四章 その他]](第四十条~第四十一条の二) +  * [[第四章 その他]] (第四十条~第四十一条の二) 
-  * [[第五章 安全及び衛生]](第四十二条~第五十五条) +  * [[第五章 安全及び衛生]] (第四十二条~第五十五条) 
-  * [[第六章 年少者]](第五十六条~第六十四条) +  * [[第六章 年少者]] (第五十六条~第六十四条) 
-  * [[第六章の二 妊産婦等]](第六十四条の二~第六十八条) +  * [[第六章の二 妊産婦等]] (第六十四条の二~第六十八条) 
-  * [[第七章 技能者の養成]](第六十九条~第七十四条) +  * [[第七章 技能者の養成]] (第六十九条~第七十四条) 
-  * [[第八章 災害補償]](第七十五条~第八十八条) +  * [[第八章 災害補償]] (第七十五条~第八十八条) 
-  * [[第九章 就業規則]](第八十九条~第九十三条) +  * [[第九章 就業規則]] (第八十九条~第九十三条) 
-  * [[第十章 寄宿舎]](第九十四条~第九十六条の三) +  * [[第十章 寄宿舎]] (第九十四条~第九十六条の三) 
-  * [[第十一章 監督機関]](第九十七条~第百五条) +  * [[第十一章 監督機関]] (第九十七条~第百五条) 
-  * [[第十二章 雑則]](第百五条の二~第百十六条) +  * [[第十二章 雑則]] (第百五条の二~第百十六条) 
-  * [[第十三章 罰則]](第百十七条~第百二十一条)+  * [[第十三章 罰則]] (第百十七条~第百二十一条) 
 +  * [[労働基準法 附則|労働基準法 附則]]
   * [[労働基準法別表|労働基準法 別表]]   * [[労働基準法別表|労働基準法 別表]]
  
-===== 全体の関連ページ ===== +{{page>[労働基準法]#[全関連ページ]}}
- +
-  * [[労働基準法]+
-  * [[第十三章_罰則|労働基準法罰則]] +
-  * [[労働安衛生法]] +
-  * [[安衛法_第十二章_罰則|労働安全衛生法罰則]] +
-  * [[労働契約法]] +
-  * [[パートタイム・有期雇用労働法]] +
-  * [[厚生労働省モデル就業規則]] +
-  * [[育児・介護休業法]] +
-  * [[高年齢雇用安定法|高年齢者等雇用安定法]] +
-  * [[派遣法|労働者派遣法]] +
-  * [[男女雇用機会均等法]] +
-  * [[パワハラ防止法]] +
-  * [[労災法|労働者災害補償保険法]] +
-  * [[雇用保険法]] +
-  * [[労保徴収法|労働保険料徴収等法]] +
-  * [[健康保険法]] +
-  * [[厚生年金保険法]] +
-  * [[国民年金法]] +
-  * [[社会保険労務士法]] +
-  * [[各法令の罰則一覧]] +
-  * [[日本国憲法]] +
-  * [[民法]] +
-  * [[会社法]] +
-  * [[刑法]] +
- +
-  * [[start|トップページ]+
-  * [[https://www.kannosrfp.com/|菅野労務FP事務所(茨城県石岡市の社会保険労務士事務所)]] +
- +
- このページへのアクセス  今日: {{counter|today}} / 昨日: {{counter|yesterday}} / 総計: {{counter|total}}+
  
第二章_労働契約.1684581340.txt.gz · 最終更新: 2023/05/20 20:15 by norimasa

菅野労務FP事務所(茨城県石岡市の社会保険労務士事務所)