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就業規則_第14章_副業・兼業 [2023/05/03 12:53] – [(副業・兼業に関する裁判例)] norimasa就業規則_第14章_副業・兼業 [2023/05/28 18:08] (現在) – [厚生労働省モデル就業規則の関連ページ] norimasa
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 ====== 第14章 副業・兼業(厚労省モデル就業規則 ====== ====== 第14章 副業・兼業(厚労省モデル就業規則 ======
 +
 + [[https://www.kannosrfp.com/|社会保険労務士事務所の菅野労務FP事務所(茨城県石岡市)]]が作成した法令や厚労省モデル就業規則の参照集で、可能な限りリンクでつないでいます。
  
 ===== 第70条(副業・兼業) ===== ===== 第70条(副業・兼業) =====
-  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。 
  
-2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。\\ + 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。 
-① 労務提供上の支障がある場合\\ + 
-② 企業秘密が漏洩する場合\\ +2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。 
-③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合\\ +  ① 労務提供上の支障がある場合 
-④ 競業により、企業の利益を害する場合+  ② 企業秘密が漏洩する場合 
 +  ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合 
 +  ④ 競業により、企業の利益を害する場合
  
 ==== 解説【第70条 副業・兼業】 ==== ==== 解説【第70条 副業・兼業】 ====
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 なお、どのような形で副業・兼業を行う場合でも、過労等により業務に支障を来さないようにする観点から、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいです。 なお、どのような形で副業・兼業を行う場合でも、過労等により業務に支障を来さないようにする観点から、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいです。
  
-3 労働者の副業・兼業を認める場合、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩がないか(※1)、長時間労働を招くものとなっていないか等を確認するため、第2項において、労働者からの事前の届出により労働者の副業・兼業を把握することを規定しています。特に、労働者が自社、副業・兼業先の両方で雇用されている場合には、労基法第38条等を踏まえ、労働者の副業・兼業の内容等を把握するため、次の事項を確認することが考えられます。+3 労働者の副業・兼業を認める場合、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩がないか(※1)、長時間労働を招くものとなっていないか等を確認するため、第2項において、労働者からの事前の届出により労働者の副業・兼業を把握することを規定しています。特に、労働者が自社、副業・兼業先の両方で雇用されている場合には、[[第四章_休日_割増賃金等#第三十八条(時間計算)|労基法第38条]]等を踏まえ、労働者の副業・兼業の内容等を把握するため、次の事項を確認することが考えられます。
  
   * 他の使用者の事業場の事業内容   * 他の使用者の事業場の事業内容
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   * これらの事項について確認を行う頻度   * これらの事項について確認を行う頻度
  
-※1 副業・兼業の開始後に、副業・兼業の状況について労働者からの報告等により把握し、労働者の健康状態に問題が認められた場合には適切な措置を講ずること、副業・兼業を行う労働者に対して、禁止される競業行為の範囲や、自社の正当な利益を害しないことについて注意喚起すること等が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定、令和2年9月及び令和4年7月改定)に記載されていますので、ご参考ください。+※1 副業・兼業の開始後に、副業・兼業の状況について労働者からの報告等により把握し、労働者の健康状態に問題が認められた場合には適切な措置を講ずること、副業・兼業を行う労働者に対して、禁止される競業行為の範囲や、自社の正当な利益を害しないことについて注意喚起すること等が「[[https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf|副業・兼業の促進に関するガイドライン(PDF)]]」(平成30年1月策定、令和2年9月及び令和4年7月改定)に記載されていますので、ご参考ください。
  
-※2 副業・兼業を行う場合の労働時間管理については、「副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等について」(令和2年9月1日付け基発0901第3号)に、労働時間の通算や簡便な労働時間管理の方法について考え方を示していますので、その考え方に基づき通算を行うことになります。+※2 副業・兼業を行う場合の労働時間管理については、「[[https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000673995.pdf|副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等について(PDF)]]」(令和2年9月1日付け基発0901第3号)に、労働時間の通算や簡便な労働時間管理の方法について考え方を示していますので、その考え方に基づき通算を行うことになります。
  
 (参考)\\ (参考)\\
-・労基法\\ +[[第四章_休日_割増賃金等#第三十八条(時間計算)|労基法 第38条]]\\ 
- 第38条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。\\ + 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。\\ 
-・昭和23年5月14日付け基発第769号\\+[[https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000673995.pdf|昭和23年5月14日付け基発第769号]]\\
  「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む。  「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む。
  
-4 裁判例では、労働者の副業・兼業について各企業の制限が許される場合は、第2項各号で規定したような場合であることが示されていると考えられます。\\+4 裁判例では、労働者の副業・兼業について各企業の制限が許される場合は、第2項各号で規定したような場合であることが示されていると考えられます。
  
  各号に該当するかどうかは各企業で判断いただくものですが、就業規則の規定を拡大解釈して、必要以上に労働者の副業・兼業を制限することのないよう、適切な運用を心がけていただくことが肝要です。\\  各号に該当するかどうかは各企業で判断いただくものですが、就業規則の規定を拡大解釈して、必要以上に労働者の副業・兼業を制限することのないよう、適切な運用を心がけていただくことが肝要です。\\
- また、第1号(労務提供上の支障がある場合)には、副業・兼業が原因で自社の業務が十分に行えない場合や、長時間労働など労働者の健康に影響が生じるおそれがある場合、労基法第36条第6項第2号及び第3号に基づく時間外労働の上限規制(時間外労働及び休日労働の合計の時間数について、1か月100時間未満及び2~6か月平均80時間以内とすること)や自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号)等の法令等に基づく使用者の義務が果たせないおそれがある場合が含まれると考えられます。+ また、第1号(労務提供上の支障がある場合)には、副業・兼業が原因で自社の業務が十分に行えない場合や、長時間労働など労働者の健康に影響が生じるおそれがある場合、[[第四章_休日_割増賃金等#第三十六条(時間外及び休日の労働)|労基法第36条]]第6項第2号及び第3号に基づく時間外労働の上限規制(時間外労働及び休日労働の合計の時間数について、1か月100時間未満及び2~6か月平均80時間以内とすること)や[[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html|自動車運転者の労働時間等の改善のための基準]](平成元年労働省告示第7号)等の法令等に基づく使用者の義務が果たせないおそれがある場合が含まれると考えられます。
  
  裁判例でも、自動車運転業務について、隔日勤務に就くタクシー運転手が非番日に会社に無断で輸出車の移送、船積み等をするアルバイトを行った事例において、「タクシー乗務の性質上、乗務前の休養が要請されること等の事情を考えると、本件アルバイトは就業規則により禁止された兼業に該当すると解するのが相当である」としたものがあることに留意が必要です(都タクシー事件 広島地裁決定昭和59年12月18日)。  裁判例でも、自動車運転業務について、隔日勤務に就くタクシー運転手が非番日に会社に無断で輸出車の移送、船積み等をするアルバイトを行った事例において、「タクシー乗務の性質上、乗務前の休養が要請されること等の事情を考えると、本件アルバイトは就業規則により禁止された兼業に該当すると解するのが相当である」としたものがあることに留意が必要です(都タクシー事件 広島地裁決定昭和59年12月18日)。
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   * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日(月変形|第4章 労働時間、休憩及び休日(月変形]]   * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日(月変形|第4章 労働時間、休憩及び休日(月変形]]
   * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日(年変形|第4章 労働時間、休憩及び休日(年変形]]   * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日(年変形|第4章 労働時間、休憩及び休日(年変形]]
-  * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日4|第4章 労働時間、休憩及び休日]]+  * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日4|第4章 労働時間、休憩及び休日(時間外労働等]]
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-  * [[就業規則_第6章_賃金3|第6章 賃金3]]+  * [[就業規則_第6章_賃金3|第6章 賃金3(賃金の計算方法等]]
   * [[就業規則_第7章_定年_退職及び解雇|第7章 定年、退職及び解雇]]   * [[就業規則_第7章_定年_退職及び解雇|第7章 定年、退職及び解雇]]
   * [[就業規則_第8章_退職金|第8章 退職金]]   * [[就業規則_第8章_退職金|第8章 退職金]]
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   * [[就業規則_第14章_副業・兼業|第14章 副業・兼業]]   * [[就業規則_第14章_副業・兼業|第14章 副業・兼業]]
  
-===== 全体の関連ページ ===== +{{page>[労働基準法]#[全関連ページ]}}
- +
-  * [[労働基準法]+
-  * [[第十三章_罰則|労働基準法罰則]] +
-  * [[労働安衛生法]] +
-  * [[安衛法_第十二章_罰則|労働安全衛生法罰則]] +
-  * [[厚生労働省モデル就業規則]] +
-  * [[労働契約法]] +
-  * [[パートタイム・有期雇用労働法]] +
-  * [[育児・介護休業法]] +
-  * [[男女雇用機会均等法]] +
-  * [[パワハラ防止法]] +
-  * [[労災法|労働者災害補償保険法]] +
-  * [[雇用保険法]] +
-  * [[労働保険料徴収等法]] +
-  * [[健康保険法]] +
-  * [[厚生年金保険法]] +
-  * [[国民年金法]] +
-  * [[社会保険労務士法]] +
-  * [[各法令の罰則一覧]] +
-  * [[憲法]] +
-  * [[民法]] +
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就業規則_第14章_副業・兼業.1683085980.txt.gz · 最終更新: 2023/05/03 12:53 by norimasa

菅野労務FP事務所(茨城県石岡市の社会保険労務士事務所)