差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン前のリビジョン
次のリビジョン
前のリビジョン
就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日_年変形 [2023/04/30 07:56] norimasa就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日_年変形 [2024/05/30 18:10] (現在) – [解説【第19条 労働時間及び休憩時間】【第20条 休日】] norimasa
行 1: 行 1:
-====== 〔例3〕1年単位の変形労働時間制の規程例 ======+====== 第4章 労働時間、休憩及び休日(年変形、厚労省モデル就業規則 ====== 
 + 
 + [[https://www.kannosrfp.com/|社会保険労務士事務所の菅野労務FP事務所(茨城県石岡市)]]が作成した法令や厚労省モデル就業規則の参照集で、可能な限りリンクでつないでいます。 
 + 
 +===== 〔例3〕1年単位の変形労働時間制の規程例 =====
  
 ===== 第19条(労働時間及び休憩時間) ===== ===== 第19条(労働時間及び休憩時間) =====
 +
  労働者代表と1年単位の変形労働時間制に関する労使協定を締結した場合、当該協定の適用を受ける労働者について、1週間の所定労働時間は、対象期間を平均して1週間当たり40時間とする。  労働者代表と1年単位の変形労働時間制に関する労使協定を締結した場合、当該協定の適用を受ける労働者について、1週間の所定労働時間は、対象期間を平均して1週間当たり40時間とする。
 +
 2 1年単位の変形労働時間制を適用しない労働者について、1週間の所定労働時間は40時間、1日の所定労働時間は8時間とする。 2 1年単位の変形労働時間制を適用しない労働者について、1週間の所定労働時間は40時間、1日の所定労働時間は8時間とする。
-3 1日の始業・終業の時刻、休憩時間は次のとおりとする。 
  
-① 通常期間+3 1日の始業・終業の時刻、休憩時間は次のとおりとする。\\ 
 + 
 +(表) 
 + 
 +①通常期間\\
 始業・終業時刻 休憩時間 始業・終業時刻 休憩時間
-始業  午前  時    時  分から  時  分まで +始業  午前〇〇〇〇分 〇〇〇〇分から〇〇〇〇分まで 
-終業  午後  時  +終業  午後〇〇〇〇
  
-② 特定期間(1年単位の変形労働時間制に関する労使協定で定める特定の期間を  +②特定期間(1年単位の変形労働時間制に関する労使協定で定める特定の期間を  
-いう。)+いう。)\\
 始業・終業時刻 休憩時間 始業・終業時刻 休憩時間
-始業  午前  時    時  分から  時  分まで +始業  午前〇〇〇〇分 〇〇〇〇分から〇〇〇〇分まで 
-終業  午後  時  +終業  午後〇〇〇〇
  
-③ 1年単位の変形労働時間制を適用しない労働者の始業・終業の時刻、休憩時間は次のとおりとする。+③1年単位の変形労働時間制を適用しない労働者の始業・終業の時刻、休憩時間は次のとおりとする。\\
  
 始業・終業時刻 休憩時間 始業・終業時刻 休憩時間
-始業  午前  時    時  分から  時  分まで +始業  午前〇〇〇〇分 〇〇〇〇分から〇〇〇〇分まで 
-終業  午後  時   +終業  午後〇〇〇〇
- +
  
 ===== 第20条(休日) ===== ===== 第20条(休日) =====
- 1年単位の変形労働時間制の適用を受ける労働者の休日については、1年単位の変形労働時間制に関する労使協定の定めるところにより、対象期間の初日を起算日とする1週間ごとに1日以上、1年間に  日以上となるように指定する。その場合、年間休日カレンダーに定め、対象期間の初日の30日前までに各労働者に通知する。+ 1年単位の変形労働時間制の適用を受ける労働者の休日については、1年単位の変形労働時間制に関する労使協定の定めるところにより、対象期間の初日を起算日とする1週間ごとに1日以上、1年間に__日以上となるように指定する。その場合、年間休日カレンダーに定め、対象期間の初日の30日前までに各労働者に通知する。\\ 
 2 1年単位の変形労働時間制を適用しない労働者の休日については、以下のとおり指定し、月間休日カレンダーに定め、対象期間の初日の30日前までに各労働者に通知する。 2 1年単位の変形労働時間制を適用しない労働者の休日については、以下のとおり指定し、月間休日カレンダーに定め、対象期間の初日の30日前までに各労働者に通知する。
-① 日曜日(前条第3号の特定期間を除く。) +  - 日曜日(前条第3号の特定期間を除く。) 
-② 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日) +  国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日) 
-③ 年末年始(12月  日~1月  日) +  年末年始(12月〇〇日~1月〇〇日) 
-④ 夏季休日(  月  日~  月  日) +  夏季休日(〇〇〇〇日~〇〇〇〇日) 
-⑤ その他会社が指定する日+  その他会社が指定する日
  
 +==== 解説【第19条 労働時間及び休憩時間】【第20条 休日】 ====
  
-【第19条 労働時間及び休憩時間】 +1 1年単位の変形労働時間制は、労使協定により、1か月を超え1年以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲において、特定された日及び特定された週に1日8時間及び1週間40時間を超えて労働させることができるという制度です([[第四章_労働時間_休憩#第三十二条の四|労基法第32条の4]])。1年のうち特定の期間が忙しいことが予測できる場合などに適しています。
-【第20条 休日】 +
-1 1年単位の変形労働時間制は、労使協定により、1か月を超え1年以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲において、特定された日及び特定された週に1日8時間及び1週間40時間を超えて労働させることができるという制度です(労基法第32条の4)。1年のうち特定の期間が忙しいことが予測できる場合などに適しています。 +
-2 1年単位の変形労働時間制を採用する場合には、次の要件を満たす必要があります。 +
-① 就業規則において1年単位の変形労働時間制を採用する旨を定めること。また、 +
- 各労働日の始業・終業の時刻、休憩時間、休日等についても定めること。 +
-② 労働者代表と以下の事項について書面による労使協定を締結し、所定の様式によ +
-り所轄の労働基準監督署長に届け出ること。この場合の労使協定で定めるべき事項は以下のとおりです。 +
-(ア) 対象となる労働者の範囲 +
-(イ) 対象期間(1か月を超え1年以内の一定期間とすること)及びその起算日 +
-(ウ) 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間について設定できます。) +
-(エ) 対象期間における労働日及び労働日ごとの所定労働時間(対象期間を1か月 +
-以上の期間に区分する場合は、最初の期間については労働日及び労働日ごとの所定労働時間を特定する必要がありますが、その後の期間については各期間の総労働日数と総労働時間を定めれば差し支えありません。) +
-(オ) 有効期間(1年程度とすることが望ましい。) +
-ただし、上記(エ)について、労働日数は対象期間が3か月を超える場合は原則として1年当たり280日以内、連続労働日数は原則として6日以内(特定期間においては1週間に1日の休日が確保できる範囲内)、所定労働時間は1日10時間以内、1週52時間以内(対象期間が3か月を超える場合は、1週48時間を超える週は連続3週間以内、1週48時間を超える週の初日の数は3か月に3以内)としなければなりません。 +
-3 1年単位の変形労働時間制を採用して、週40時間労働制に適合するためには、1日の所定労働時間に応じて下表の年間休日を確保することが必要です。例えば、1日8時間の所定労働時間で1年単位の変形労働時間制を採用した場合、年間休日を105日以上としなければ週40時間労働制の枠内に収まらないこととなります。 +
-4 労使協定の労働者代表の選出方法等については、本規程例第19条の解説を参照してください+
  
-【参考】 +2 1年単位の変形労働時間制を採用する場合には、次の要件を満たす必要があります。\\ 
- 週40時間労働制に適合するために確保が必要な年間日日は、のとりと    +  *①就業規則において1年単位の変形労働時間を採用する旨を定めること。ま、各労働日の始業・終業の時刻、休憩時間、休日等についても定ること。\\ 
-なりま+  *②労働者代表と以下の事項ついて書面による労使協定を締結し、所定の様式により所轄の労働基準監督署長に届け出ること。この場合の労使協定で定めるべき事項は以下のとおりです。\\ 
 +  *(ア) 対象とる労働者の範囲\\ 
 +  *(イ) 対象期間(1か月を超え1以内の一定期とすること)及びその起算\\ 
 +  *(ウ) 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間について設定できます。)\\ 
 +  *(エ) 対象期間における労働及び労働日ごとの所定労働時間(対象期間を1か月 
 +以上の期間に区分する場合は、最初期間については労働日及び労働日ごと所定労働時間を特定する必要がありますが、その後の期間については各期間の総労働日数総労働時間を定めれば差し支えあません。)\\ 
 +  *(オ) 有効期間(1年程度することが望ましい。)\\ 
 + ただし、上記(エ)について、労働日数は対象期間が3か月を超える場合は原則として1年当たり280日以内、連続労働日数は原則として6日以内(特定期間においては1週間に1日の休日が確保できる範囲内)、所定労働時間は1日10時間以内、1週52時間以内(対象期間が3か月を超える場合は、1週48時間を超える週は連続3週間以内、1週48時間を超える週の初日の数は3か月に3以内)としなければなりません
  
 +3 1年単位の変形労働時間制を採用して、週40時間労働制に適合するためには、1日の所定労働時間に応じて下表の年間休日を確保することが必要です。例えば、1日8時間の所定労働時間で1年単位の変形労働時間制を採用した場合、年間休日を105日以上としなければ週40時間労働制の枠内に収まらないこととなります。
  
-        年+4 労使協定の労働者代表の選出方法等については、[[就業規則_第4章_労働時_休憩及び休(週休2日#第19条(労働時間及び休憩時間)|本規程例第19条]]の解説を参照してください。
  
-1日の所定労働時間数 365日 366日 +**【参考】週40時間労働制に適合すために確保が必要な年間休日日数は、次の表のとおりとなります。**
-(うう年)  +
- 年間休日日数 +
  
- 9 時 間 +(表)
-8 時 間 +
-7時間50分 +
-7時間45分 +
-7時間30分 +
-7時間15分 +
-7 時 間 134日 +
-105日 +
- 99日 +
-96日 +
-87日 +
-※85日 +
-※85日 134日 +
-105日 +
-100日 +
- 97日 +
-88日 +
-※86日 +
-※86日 +
  
 -計算方法- -計算方法-
-(1日の所定労働時間×7日-40時間)×365日(又は366日)+(1日の所定労働時間×7日-40時間)×365日(又は366日)≦ 年間休日日数 
 1日の所定労働時間×7日 1日の所定労働時間×7日
  
-※ 1年単位の変形労働時間制における1年間の労働日数の限度は280日なので、標記の休日を確保する必要があります。+※ 1年単位の変形労働時間制における1年間の労働日数の限度は280日なので、標記の休日を確保する必要があります。
  
 +5 1年単位の変形労働時間制は、恒常的な時間外労働時間及び休日労働はないことを前提とした制度です。したがって、突発的に時間外労働等がある場合、当然[[第四章_休日_割増賃金等#第三十六条(時間外及び休日の労働)|労基法第36条]]に基づいて時間外労働等に関する協定の締結及びその届出をするとともに、該当する労働者に対し割増賃金の支払が必要となります。
 +
 +**【参考】**
  
-5 1年単位の変形労働時間制は、恒常的な時間外労働時間及び休日労働はないことを前提とした制度です。したがって、突発的に時間外労働等がある場合、当然労基法第36条に基づいて時間外労働等に関する協定の締結及びその届出をするとともに、該当する労働者に対し割増賃金の支払が必要となります。 
-【参 考】 
  下の年間休日カレンダーは、1年単位の変形労働時間制を活用して、1日の所定労働時間を業務が閑散な通常期間(ここでは、〇〇年4月、5月、7月、8月、11月、12月、〇×年1月、3月とします。)は8時間、業務が繁忙な特定期間(ここでは、〇〇年6月、9月、10月、〇×年2月とします。)は8時間30分とし、年間休日を111日とすることにより、週40時間労働制を実施する場合の規定例です。  下の年間休日カレンダーは、1年単位の変形労働時間制を活用して、1日の所定労働時間を業務が閑散な通常期間(ここでは、〇〇年4月、5月、7月、8月、11月、12月、〇×年1月、3月とします。)は8時間、業務が繁忙な特定期間(ここでは、〇〇年6月、9月、10月、〇×年2月とします。)は8時間30分とし、年間休日を111日とすることにより、週40時間労働制を実施する場合の規定例です。
 起算日を4月1日とし、休日については色で染めた日とします。 起算日を4月1日とし、休日については色で染めた日とします。
 +
 +(表)
    
-===== 関連ページ =====+===== 厚生労働省モデル就業規則の関連ページ =====
  
 +  * [[厚生労働省モデル就業規則|厚生労働省モデル就業規則トップへ]]
   * [[就業規則_はじめに|はじめに]]   * [[就業規則_はじめに|はじめに]]
   * [[就業規則_第1章_総則|第1章 総則]]   * [[就業規則_第1章_総則|第1章 総則]]
行 105: 行 90:
   * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日(月変形|第4章 労働時間、休憩及び休日(月変形]]   * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日(月変形|第4章 労働時間、休憩及び休日(月変形]]
   * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日(年変形|第4章 労働時間、休憩及び休日(年変形]]   * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日(年変形|第4章 労働時間、休憩及び休日(年変形]]
-  * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日4|第4章 労働時間、休憩及び休日]]+  * [[就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日4|第4章 労働時間、休憩及び休日(時間外労働等]]
   * [[就業規則_第5章_休暇等|第5章 休暇等]]   * [[就業規則_第5章_休暇等|第5章 休暇等]]
-  * [[就業規則_第6章_賃金1|第6章 賃金1]] +  * [[就業規則_第6章_賃金1|第6章 賃金1(賃金の構成等]] 
-  * [[就業規則_第6章_賃金2|第6章 賃金2]] +  * [[就業規則_第6章_賃金2|第6章 賃金2(割増賃金等]] 
-  * [[就業規則_第6章_賃金3|第6章 賃金3]]+  * [[就業規則_第6章_賃金3|第6章 賃金3(賃金の計算方法等]]
   * [[就業規則_第7章_定年_退職及び解雇|第7章 定年、退職及び解雇]]   * [[就業規則_第7章_定年_退職及び解雇|第7章 定年、退職及び解雇]]
   * [[就業規則_第8章_退職金|第8章 退職金]]   * [[就業規則_第8章_退職金|第8章 退職金]]
行 119: 行 104:
   * [[就業規則_第14章_副業・兼業|第14章 副業・兼業]]   * [[就業規則_第14章_副業・兼業|第14章 副業・兼業]]
  
-  * [[労働基準法]+{{page>[労働基準法]#[全関連ページ]}}
-  * [[第十三章_罰則|労働基準法罰則]] +
-  * [[労働安衛生法]] +
-  * [[安衛法_第十二章_罰則|労働安全衛生法罰則]] +
-  * [[厚生労働省モデル就業規則]] +
-  * [[労働契約法]] +
-  * [[パートタイム・有期雇用労働法]] +
-  * [[育児・介護休業法]] +
-  * [[男女雇用機会均等法]] +
-  * [[パワハラ防止法]] +
-  * [[労働者災害補償保険法]] +
-  * [[雇用保険法]] +
-  * [[労働保険料徴収等法]] +
-  * [[健康保険法]] +
-  * [[厚生年金保険法]] +
-  * [[国民年金法]] +
-  * [[社会保険労務士法]] +
-  * [[各法令の罰則一覧]] +
-  * [[憲法]] +
-  * [[民法]] +
-  * [[刑法]] +
- +
-  * [[start|トップページ]+
-  * [[https://www.kannosrfp.com/|菅野労務FP事務所(茨城県石岡市の社会保険労務士事務所)]] +
- +
- このページへのアクセス  今日: {{counter|today}} / 昨日: {{counter|yesterday}} / 総計: {{counter|total}}+
  
就業規則_第4章_労働時間_休憩及び休日_年変形.1682808972.txt.gz · 最終更新: 2023/04/30 07:56 by norimasa

菅野労務FP事務所(茨城県石岡市の社会保険労務士事務所)