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業務の都合により、第19条の所定労働時間を超え、又は第20条の所定休日に労働させることがある。 2 前項の場合、法定労働時間を超える労働又は法定休日における労働については、あらかじめ会社は労働者の過半数代表者と書面による労使協定を締結するとともに、これを所轄の労働基準監督署長に届け出るものとする。 3 妊娠中の女性、産後1年を経過しない女性労働者(以下「妊産婦」という。)であって請求した者及び18歳未満の者については、第2項による時間外労働又は休日若しくは深夜(午後10時から午前5時まで)労働に従事させない。 4 災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、第1項から前項までの制限を超えて、所定労働時間外又は休日に労働させることがある。ただし、この場合であっても、請求のあった妊産婦については、所定労働時間外労働又は休日労働に従事させない。
【第21条 時間外及び休日労働等】 1 法定労働時間(1週40時間(特例措置対象事業場おいては1週44時間)、1日8時間)を超え、又は法定休日(週1回又は4週4日の休日)に労働させる場合、労基法第36条に基づく労使協定(いわゆる三六協定)の締結及び届出が義務付けられています。 使用者は、労働者代表と労使協定を締結し、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出た場合に、当該協定の範囲内で労働者に時間外労働又は休日労働をさせることができます。 2 「労働者代表」とは、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような労働組合がない場合にはその事業場の労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)をいいます。 過半数代表者は、次の①、②のいずれにも該当する者でなければなりません(労基則第6条の2)。 ① 労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと ② 労使協定の締結等を行う者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手 等の方法により選出された者でであって、使用者の以降に基づき選出されたものでないこと 3 過半数代表者に対する不利益な取扱いは禁止されています。過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと、又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、解雇や賃金の減額、降格等労働条件について不利益な取扱いをしてはなりません。また、使用者は、過半数代表者が労使協定の締結等に関する事務を円滑に遂行することができるよう、必要な配慮(たとえば、労働者の意見集約等を行うに当たって必要な事務機器や事務スペースの提供などが含まれます。)を行わなければなりません。 4 就業規則と同様、三六協定についても労働者に周知する必要があります(労基法第106条第1項)。 5 三六協定において定める労働時間の延長の限度等に関しては、労基法で定められており、上限を超えた時間を協定することはできません。 <時間外労働の上限規制> ①限度時間 時間外労働は1か月45時間以内、1年360時間以内(1年単位の変形労働時間制が適用される労働者については1か月42時間以内、1年320時間以内)としなければならなりません。 ②限度時間を超えて労働させる場合 臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合には、①の限度時間を超えて労働させることが可能ですが、その場合にも、1か月の時間外労働と休日労働を合算した時間について100時間未満、1年の時間外労働について720時間以内としなければなりません。また、限度時間を超えることができる月数(1年について6か月以内)を定めなければなりません。 ③時間外労働及び休日労働の限度 三六協定で定める時間数の範囲内であっても、時間外労働及び休日労働の合計の時間数については、1か月100時間未満、2~6か月平均80時間以内としなければなりません。
※ 次の事業・業務については、2024(令和6)年3月31日までの間、時間外労働の上限規制の適用が猶予されています。 ・工作物の建設等の事業 ・自動車の運転の業務 ・医業に従事する医師 ・鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造事業
※ 新たな技術、商品または役務の研究開発業務については、上限規制の適用が除外されています。
6 三六協定で協定すべき内容は ① 時間外又は休日労働をさせることができることとされる労働者の範囲 ② 対象期間(1年間に限る) ③ 時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由 ④ 1日、1か月、1年のそれぞれの期間について法定労働時間を超えて労働させることができる時間又は休日労働の日数 ⑤ 協定の有効期間 ⑥ 対象期間(1年間)の起算日 ⑦ 時間外労働及び休日労働の合計が、単月100時間未満及び2~6か月平均80時間以内であること ⑧ 限度時間を超えて労働させる場合の具体的事由 ⑨ 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康福祉確保措置 ⑩ 限度時間を超えた労働に係る割増賃金率 ⑪ 限度時間を超えて労働させる場合における手続 と定められています(労基法第36条第2項、労基則第17条)。 7 年少者(18歳未満の者)については、一定の場合を除き、労基法により時間外労働、休日労働やいわゆる変形労働時間制により労働させることはできません(労基法第60条)。また、原則として午後10時から翌日5時までの深夜時間帯に労働させることもできません(労基法第61条)。 8 使用者は、妊産婦から請求があった場合は、時間外、休日及び深夜労働をさせることはできません(労基法第66条)。また、請求をし、又は請求により労働しなかったことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません(均等法第9条第3項)。
1 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)が改正され、2019年(平成31年)4月1日から、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務となりました。 2 勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとするものです。 3 一定のインターバル時間を確保することで、従業員が十分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができます。 4 インターバル時間の満了時刻が、次の勤務の所定労働時間以降に及ぶ場合の取扱いについては、以下の方法が考えられ、就業規則の規程例は以下のとおりです。 5 このほか、必要に応じ、勤務間インターバル制度に関する申請手続や労働時間の取扱い等についても就業規則等の規定の整備を行う必要があります。
[例1] インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を働いたものとみなす場合
(勤務間インターバル) 第22条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。ただし、災害その他避けることができない場合は、この限りではない。 2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。
[例2] インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複した時、勤務開始時刻を繰り下げる場合
(勤務間インターバル) 第22条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。ただし、災害その他避けることができない場合は、この限りではない。 2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時刻は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。
このほか、ある時刻以降の残業を禁止し、次の始業時刻以前の勤務を認めないこととする等によりインターバル時間を確保する方法も考えられます。